先日、退職する予定のある方から、退職後の年金について質問を受けましたが、サラリーマンの方は退職すると、厚生年金・共済組合から脱退することになるため、新たに「国民年金」に加入する手続きが必要です。
ただ、国民年金に加入するときは「どこで?どのように手続きをすればいいのか?」分からないという人もいると思います。
そこで今回は、会社を退職したときの国民年金への切替え手続き(国民年金に加入しなければいけない人、加入方法、必要書類など)について、私の住んでいる市区町村の国民年金課で確認してきましたので、よろしければ参考にしてみてください。
退職したら「年金」はどうなるの?
会社を退職すると、在職中に加入していた「厚生年金・共済組合」を抜けることになるため、(20歳以上~60歳未満の方は)国民年金に加入する手続きが必要です。
ただし、退職後、次のいずれかに該当する人は国民年金の加入手続きは不要です。
手続きを忘れると?
退職後、国民年金の加入手続きを忘れると、将来もらえる年金の受給額が減ったり、万一のときの障害基礎年金や遺族基礎年金が受給できないといったリスクがあります。
また、退職後、国民年金に加入せず、次の就職先で社会保険(厚生年金・共済組合)に加入すると、それまでの期間「国民年金未加入」ということがバレるので、後日、日本年金機構から未加入期間の納付書が送られてきます。
例えば、3月31日に退職し、本来は4月1日~国民年金に加入するところ、手続きを忘れたまま9月1日から就職した場合、10月頃に日本年金機構から「4月分~8月分の国民年金保険料納付書」が送られてきます。
退職後、収入が減り、年金の支払いが難しいという人は、年金の免除・猶予制度を利用できる場合がありますので、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶失業したときは年金免除がお得!申請方法と将来の年金への影響を確認
それでは、国民年金の加入手続きについて確認していきましょう。
国民年金の加入手続き
手続きをする場所
国民年金の加入手続きは、お住まいの役所・役場の国民年金担当課で手続きをすることができます。
手続きに必要なもの
本人が窓口で手続きする場合に必要なものは、次の3点です。
- 基礎年金番号がわかるもの
年金手帳、基礎年金番号通知書、ねんきん定期便など※在職中に扶養に入っていた妻(夫)がいる場合は、妻(夫)も国民年金(第3号被保険者から第1号被保険者に種別変更)に加入することになるため、妻(夫)の年金手帳等も持参するようにしてください。
- 退職日が確認できる書類
離職票、退職証明書、社会保険資格喪失証明書、雇用保険受給資格者証など「離職票」はハローワークで失業手当をもらうときにも必要です。退職後、まだ届いていないという人は、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶退職後に離職票が届かない!郵送されるまでの期間と届かない時の対処法
「社会保険資格喪失証明書」は年金事務所で即日発行が可能です。
▶国保の加入手続き「資格喪失証明書」を年金事務所で即日発行する方法 - 本人確認書類
運転免許証・パスポート・個人番号カードなど
手続きの期限はいつまで?
国民年金の加入手続きは、厚生年金・共済年金をやめた日(退職日の翌日)から14日以内に行うことになっています。
(手続きが遅れても罰則等はありませんが、国民年金保険料は過去にさかのぼって請求されますので、お得になることもありません。)
国民年金の保険料はいつから納めるの?
ここでは、いくつかの例を用意してみましたので、順番に確認していきましょう。
例えば、9月30日に会社を退職して10月1日から就職しない(扶養にも入らない)場合は、10月1日から国民年金(第1号被保険者)に加入することになります。この場合、10月中に再就職しなかった場合は、「10月分」から国民年金保険料を納める必要があります。
9月15日に会社を退職し、9月16日から就職しない(扶養にも入らない)場合は、9月16日から国民年金(第1号被保険者)に加入することになります。この場合も、9月中に再就職しなかった場合は、9月分から国民年金保険料を納める必要があります。
<月末に会社を辞め、翌月の月の途中に就職した場合>
9月30日に会社を退職し、10月1日からは就職せず(扶養にも入らない)、10月16日から就職した場合は、10月1日~10月15日までは国民年金(第1号被保険者)に加入することになりますが、10月末の時点で就職先の厚生年金・共済年金に加入しているため、10月分の国民年金保険料を納める必要はありません。(厚生年金・共済年金が給与から天引きされます。)
<月末に会社を辞め、翌月の月の途中に就職したが、またすぐに会社を辞めた場合>
9月30日に会社を退職し、10月1日からは就職せず(扶養にも入らない)、10月16日から就職したが、また10月20日に会社を退職した場合は、10月1日~10月15日までは国民年金(第1号被保険者)に加入⇒10月16日~10月20日まで厚生年金・共済年金(第2号被保険者)⇒10月21日~再び国民年金(第1号被保険者)に加入するため、10月分から国民年金保険料を納める必要があります。
保険料の納め方
国民年金は日本年金機構から送られてくる納付書(金融機関やコンビニなど)で納めるか、銀行の口座振替で毎月引き落としにすることも可能です。
厚生年金や共済年金のように、給与から天引きされることがないので、納め忘れには注意が必要ですね。
国民年金保険料の口座振替(引き落とし)の手続き方法については、こちらの記事にまとめていますので、よろしければ参考にしてみてください。
▶国民年金の口座振替(引き落とし)手続き方法と前払いの割引額を確認
国民年金の免除・猶予制度
令和6年度(令和6年4月~令和7年3月分)の国民年金保険料は、月額16,980円です。
退職後、収入が減り、年金の支払いが難しいという人向けに、年金の免除・猶予制度が用意されていますので、よろしけれこちらの記事も参考にしてみてください。
▶失業したときは年金免除がお得!申請方法と将来の年金への影響を確認
また、国民健康保険料(税)にも、軽減制度が用意されています。
▶国保の軽減:失業したときの保険料はいくら?計算方法と申請方法を確認
最後に
退職したときは「厚生年金・共済年金⇒国民年金」への加入手続きが必要ですが、逆に就職したときは「国民年金⇒厚生年金・共済年金」への手続きは(会社で厚生年金・共済年金の加入手続きをすると)自動的に切替わるため、特に手続きをすることはありません。