今年もいよいよ確定申告のシーズンがやってきましたね。先日、職場の後輩から「妻の確定申告をしたいんですけど、どうすればいいですか?」と、尋ねられました。
この後輩の奥さんは、年の途中で会社を退職し、結婚後は専業主婦になったため、働いていた期間の税金が清算(年末調整)されていません。
退職までに給与から源泉徴収された税金は1年間収入が続くことが前提になっているため、年の途中で退職して再就職していない場合は、税金を払い過ぎている可能性があります。
そこで、今回は後輩の奥さんを例に「年の途中で会社を退職し、再就職していない人の確定申告書(令和元年分)の書き方」と「還付金はいくら戻るのか?」記入例と計算方法を解説していますので、良かったら参考にしてみてください。
(退職後、すぐに再就職をした人は新しい会社で年末調整が行われていると思いますので、会社に確認するようにしてください。)
面倒な計算等は不要なので、こちらの記事を参考にしみてください。
▶<令和4年分>年の途中で退職した人の確定申告書を入力だけで作成する方法
確定申告書の書き方と記入例
まず、事前に以下のものを用意してください。
<事前に準備するもの>
その他、生命保険や損害保険に加入していた場合は、保険会社から発行される「生命保険・地震保険料などの控除証明書」を、退所後に国民年金や国保に加入した方は、日本年金機構などから発行される「国民年金・国民健康保険料の控除証明書」を用意してください。
今回は後輩の奥さん(以下)を例に解説していきます。
税 花子(26歳 専業主婦)
結婚したため、9月に会社を退職。結婚後は、専業主婦となり夫の扶養に入る。
退職までの年収270万円(給与所得171万円)
自分で支払った生命保険保険料は10万円(旧一般生命保険料の金額)
それでは、確定申告書を記入していきましょう。
確定申告書A(第二表)から記入する
まず、「確定申告書A(第二表)」から記入していきます。今回の税花子さんの場合は、「確定申告書A(第二表)」のA・B・Cを記入します。
では、順番に記入内容を確認していきましょう。
「A・B」欄の書き方と記入例
住所・氏名を記入したら、退職した会社から発行された源泉徴収票を確認し、「〇所得の内訳」欄に、「給与」・「会社名」・「赤枠の金額」・「緑枠の金額」を転記していきます。
そして、「㊳所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額」欄に、合計を記入します。
「C」欄の書き方と記入例
続いて、「〇所得から差し引かれる金額に関する事項」欄を記入していきます。
※退職後、国民年金保険料や国民健康保険料(税)を支払っている方は、こちらの覧にそれぞれ記入してください。
<⑥社会保険料控除>
「社会保険の種類」⇒「源泉徴収票の通り」と記入。
「支払保険料」⇒源泉徴収票の「青枠(社会保険料等の金額)」から転記し、その下の合計も記入します。(※退職後、国民年金保険料や国民健康保険料(税)を支払っている方は、その金額も記入してください。)
<⑧生命保険料控除>
ここは、保険会社から送られてきた生命保険・地震保険料などの控除証明書を見ながら記入してください。(控除額ではなく、支払った保険料を記入します。)
ここまでで、花子さんの「確定申告書A(第二表)」の記入は完了です。
続いて、「確定申告書A(第一表)」を記入していきます。
確定申告書A(第一表)を記入する
ここでも、「確定申告書A(第一表)」をA・B・C・Dの4つに分けて順番に解説していきます。
Aの記入例
記入例を参考に住所・氏名・マイナンバー(個人番号)等の情報を記入していきます。
生年月日の記入方法は、「明治⇒1・大正⇒2・昭和⇒3・平成⇒4」を頭に記入してから、年月日を記入するようにしてください。
▶マイナンバー<通知カード>を紛失したときは?再発行の手続き方法
「B」欄の書き方と記入例
次にB欄の「収入額」「所得額」「所得から差し引かれる金額」を記入をしていきます。
まず、源泉徴収票を見ながら、「赤枠」「青枠」へ金額を記入します。
(※退職後、国民年金保険料や国民健康保険料(税)を支払っている方は、控除証明書や領収書を参考に合算した金額を青枠の「社会保険料控除」へ記入してください。)
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★1:給与の所得金額を計算して記入します。
2,700,000円÷4×2.8-180,000円=1,710,000円
給与所得の計算式はこちらで確認することができます。⇒国税庁HP:所得金額を計算する
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★2:所得金額の合計(①+②+③+④)を記入します。
花子さんの所得は給与だけなので、そのまま1,710,000円となります。
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★3:生命保険料控除に金額を記入します。
平成23年までの契約分は生命保険と個人年金の保険料が対象で、それぞれ最高5万円、合計で最高10万円が控除額の上限です。
(平成24年からは、生命・介護・個人年金保険が対象で、それぞれ最高4万円、合計で最高12万円が上限となります。)
今回、花子さんは(旧)生命保険料10万円を支払っていたので、上限の5万円が控除額となります。
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★4:基礎控除の金額を記入します。
基礎控除の「380,000円」は、すべての人が一律で受けることのできる控除です。
※その他、該当する控除があれば記入してください。
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★5:⑥~⑧の合計を記入します。
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★6:所得から差し引かれる金額の合計(⑯+⑰+⑱+⑲)を記入します。
花子さんの所得から差し引かれる金額は790,558円となりました。
「C」欄の書き方と記入例
C欄では、いよいよ「税金の計算」を行います。
★7:「㉑課税される所得金額」を計算していきます。
計算方法は「⑤所得金額の合計」-「⑳所得から差し引かれる金額」です。
今回の花子さんのケースだと、1,710,000円-790,558円=919,442円となります。
ただし、実際に記入する金額は「千円未満は切り捨て」なので、919,000円となります。
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★8:次に「上の㉑に対する税額」を計算します。
所得金額が195万円以下の場合、税率は5%になりますので、919,000円×5%=45,950円と記入します。
詳しくは、こちらの記事で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
▶確定申告書A:税金の計算「上の㉑に対する税額」の計算方法を解説!
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㉜差し引くものがなければ、そのまま記入していきます。
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㉞差し引くものがなければ、そのまま記入していきます。
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★9:復興特別所得税額を計算します。
計算方法は、「㉞×2.1%」です。
45,950円×2.1%=964円(1円未満は切り捨て)
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★10:㊱所得税及び復興特別所得税の額を計算します。
計算方法は、「㉞+㉟」です。
45,950円+964円=46,914円
この46,914円が、本来、花子さんが納める所得税となります。
源泉徴収票の源泉徴収額は68,400円なので、多く納めていることがわかりますね。
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★11:還付される税金を計算します。
46,914円-68,400円=-21,486円
花子さんは、21,486円が戻ってくることになります。
「D欄」の書き方と記入例
ここには、還付金の受け取り先の口座情報を記入します。還付金がある場合は、忘れずに記入してください。
郵便局の窓口で受け取る場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶<確定申告の還付金>郵便局の窓口で受取る方法と受取先を変更する手続き
以上で、確定申告書の記入は完了です!
最後に
今回計算してみたとおり、年の途中で会社を退職し、その後再就職をしていない場合は、税金が戻ってくる可能性がありますので、面倒だとは思いますが確定申告をおススメします。
※2020年4月6日追記
新型コロナウィルスの感染拡大により、確定申告の期限が令和2年4月16日(木)まで延長されていましたが、期限内に申告することが困難な方については、(期限を区切らず)4月17日(金)以降も確定申告が可能となりました。