先日、入社が決まった人の中に個人事業主から会社員に戻るという人がいて「個人事業主から会社員になる場合に必要な手続きを教えて欲しい」という質問を受けました。
個人事業主から会社に戻る場合は、国民健康保険や国民年金などの手続きがありますが、意外と忘れがちなのが「個人事業の廃業届」です!
個人で事業(フリーランス)している方が、個人事業をやめる場合は、事業をやめた日から1ヶ月以内に税務署へ「個人事業の廃業届出書」を提出する必要があります。
そこで今回は、「個人事業の開業・廃業等届出書」の書き方を記入例付で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
個人事業の開業・廃業等届出書の書き方
それでは、「個人事業の開業・廃業等届出書」の記入方法を上から順番に解説していきます。
※今回の記入例は、『個人事業主をやめて(就職して)会社員になるケース』で記入しています。また、この届出書は、開業と廃業が兼用になっています。
「個人事業の開業・廃業等届出書」は、こちらの国税庁HPからダウンロードすることができます。
あなたの情報
今回は廃業届になりますので、まず、「個人事業の開業・廃業等届出書」の「開業」を二重線で消します。
続いて、「税務署長」と「提出日」を記入します。
「税務署長」欄には、「個人事業の開業届」を提出している税務署の名称を記入し、「提出日」欄には、「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出する日付を記入してください。
次に、右側の「納税地」~「屋号(フリガナ)」までを記入していきますが、こちらは「個人事業の開業届」に記入した内容をそのまま転記すればokです。
(上記の記入例を参考にしてみてください。)
届出の区分
こちらは、「廃業」に〇をつけ、(事由)の横に廃業する理由を記入します。
(記入例:「売上減少のため」、「会社員(就職)になるため」、「法人設立のため」)
所得の種類
こちらは、[廃業の場合・・・]の「全部」に〇をつけます。
(※いくつかの事業を展開していて、その一部を廃業する場合は「一部」に〇をつけ、カッコ内に廃業する事業を記入します。)
開業・廃業等日
こちらには「廃業した日」を記入します。
「廃業した日」ってどのように決めたらいいの?と、悩む方もいると思います。そこで、税務署に確認したところ、「個人の方の場合は、例えば、取引先からの入金が終わった後や、事業用の支払いが終わった後など、ある程度自由に決めてもらって大丈夫です。」ということでした。
ただ、「個人事業の廃業届出書」の提出期限は、廃業した日から1ヶ月以内となっています。
提出期限を過ぎても特にペナルティはありませんが、廃業日は「個人事業の廃業届出書」を提出する1ヶ月以内に設定するのが無難かもしれませんね。
事業所等を新増設、移転、廃止した場合
こちらは、記入不要です。
廃業の事由が法人設立に伴うものである場合
こちらは、個人事業から法人成りした場合に記入する欄です。個人事業から就職して会社員になる場合は、記入不要です。
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無
青色申告を受けていた方は、青色申告をやめる届出も必要です。「青色申告の取りやめ届出書」の記入方法については、こちらの記事で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
▶青色申告をやめたい!「青色申告の取りやめ届出書」の書き方と記入例
また、消費税の課税事業者を選択していた場合は、「事業廃止届出書」も提出する必要があります。
事業の概要
こちらは、廃業する前に行っていた事業の内容について記入する欄です。
給与等の支払の状況
こちらは、給与を支払っている従業員がいた場合に記入する欄なので、個人(1人)で活動をしていた方は空欄でOKです。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」については、給与を支払っていた(源泉徴収していた)従業員がいない場合、申請書は提出していないと思いますので「無」に〇をつけます。
「給与支払を開始する年月日」については、廃業なので記入不要です。
以上で、記入は完了です。お疲れ様でした。
最後に
「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出する際は、提出用と控用を2部持参して、控用に収受印をもらって保管しておくことをおすすめします。