今回は、2019年5月~2019年12月に創業した法人を対象にした「家賃支援給付金・2019年創業特例」の給付条件と必要書類について、コールセンターで確認した内容とあわせてまとめてみました。
「2019年に創業してるけど、決算が済んでいないから確定申告書が提出できない」という方や、「2019年に創業した場合の売上の比較方法がわからない」という方がいたら、ぜひ参考にしてみてください。
※家賃支援給付金の申請受付は2021年2月15日で終了しています。
<家賃支援給付金>2019年創業でまだ決算していない法人の給付条件
まず、家賃支援金の基本条件を確認してから「2019年創業特例(法人)」の給付条件を解説していきます。
家賃支援給付金の基本条件
家賃支援金の基本条件は、次の①~⑤となりますので、事前にチェックしておいてください。
①資本金または出資総額が10億円未満の中堅・中小企業であること。(資本金、出資総額が定められてない場合は、常時使用する従業員数2,000人以下)
※医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も対象です。
②2019年12月31日以前から事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
すでに廃業している場合や、廃業する予定がある場合は対象外となりますので、注意してください。
2020年8月28日(金)から下記に該当する方の申請がスタートします!
- 2020年1月~3月に創業・開業された方
- 前事業者の死亡により2020年4月2日以降に事業承継された方
- 2020年1/1~12/31までに創業・開業した方で、2019年中の売上はないが、2020年1月1日~3月31日までの間に売上がある方
▶<家賃支援給付金>今年1月~3月創業・開業した人の給付条件と必要書類
③事業のために土地や建物を賃貸しており、賃料の支払いがあること
「自宅」兼「事務所」の場合は、経費として計上している部分については対象になりました。
また、親戚(叔父、叔母など)に支払っている家賃についても対象ですが、自分を含め家族(夫婦、親子)へ支払っている家賃は対象外になりました。(親のやっている会社や、夫・妻が経営している会社へ賃料を支払っている場合も対象外です。)
④2020年3月31日の時点と申請日時点で、有効な賃貸借契約があること
2020年3月31日~申請日までの間に、引っ越しや、更新契約をした場合は、2020年3月31日時点の契約書と申請日時点の契約書の2種類が必要となります。
⑤申請日より直前3ヶ月間の賃料の支払い実績があること
では、2019年創業特例(法人)の給付条件を確認していきましょう。
2019年創業特例(法人)の条件
①法人設立日が2019年5月1日~12月31日までの間であること
②2020年5月~2020年12月までの間に新型コロナウイルスの影響により、次の(1)または(2)のいずれかに該当すること
<具体例>
例えば、2019年10月に法人を設立して事業をスタートした場合
まず、2019年10月(設立日)~12月31日までの月の平均売上を求めます。
今回は図のとおり「60万円」です。
この「60万円」を「2020年5月~2020年12月までのいずれか1ヶ月の売上」と比較して50%以上減少している月を探します。
今回の図では、5月の売上「25万円」が50%以上減少しているため、条件クリアとなります。
50%以上減少している月がない場合は、次の条件を確認してみてください。
<具体例>
例えば、2019年10月に法人を設立して、2020年5月~7月の連続する3ヶ月の売上の合計と比較する場合
まず、「2019年の設立月~2019年12月31日までの平均売上の3ヶ月分」を計算します。
今回も「2019年の設立日~12月31日までの平均売上」は、図のとおり「60万円」なので、この60万円を3倍(60万円×3ヶ月)して、「2019年の設立月~2019年12月31日までの平均売上の3ヶ月分」は180万円となります。
次に「2020年5月~7月の連続する3ヶ月の売上の合計」を確認します。
今回の図では、113万円(35万円+38万円+40万円)ですね。
先ほど計算した126万円より少なくなりましたので(30%以上減少しているということで)、条件クリアとなります。
売上0円の月も含め平均売上を出して比較してください。
例:上の図で2019年11月の売上が0円だった場合
「2019年の設立日~2019年12月31日までの平均売上」→(50万円+0円+70万円)÷3ヶ月=40万円となります。
「2019年の設立月~2019年12月31日までの平均売上の3ヶ月分」→40万円×3ヶ月=120万円となります。
続いて、申請する際の必要書類を確認していきましょう。
家賃支援給付金<2019年創業特例>の必要書類
「2019年創業特例」を利用して、家賃支援給付金を申請する場合は、下記の書類が必要です。
- 2019年の売上を証明する書類
- 履歴事項全部証明書
- 売上の減少を証明する書類
- 賃貸契約書
- 直近3ヶ月の家賃の支払い実績を証明する書類
- 法人名義の通帳の写し(給付金の振込先口座を確認するため)
- 誓約書(7月14日追記しました)
「確定申告書別表一」の控え 1枚
「法人事業概況説明書」の控え 表と裏の2枚
※「確定申告書別表一」「確定申告書第一表」には、税務署の「収受日付印」が押される必要があります。
ただし、決算が済んでいなく確定申告書類が提出できない場合は、「税理士による署名・押印済みの事業収入証明書(※)」の提出が認められています。
※様式は自由となっていますので、「月次試算表(2019年創業した月~2019年12月まで)」などを作成して提出してください。(詳しくは、税理士さんと相談してください。)
設立日(会社成立の年月日)が、2019年5月1日~2019年12月31日までのもの
2020年5月以降の対象月・期間(売上が減少した月・期間)の売上台帳等が必要です。(様式の指定はありませんので、会計ソフトから抽出した売上データやエクセルで作成した売上データ、手書きで作成した売上台帳等を用意してください。)
<売上台帳の見本>
(会計ソフトの総勘定元帳から「5月分の売上高」を抽出したもの)
※売上が0円の場合でも、合計額に「0円」と記載した売上台帳等が必要です。また、「2020年〇月」のように対象月・期間が明記されている必要がありますので、注意してください。また、売上が減った月や期間、売上に下線や〇で印をつけてください。
賃貸契約書では、以下①~④の情報が記載されている箇所に印をつけることになっています。
①賃貸契約であることが確認できる箇所に印をつけてください。
②土地・建物契約であることが確認できる箇所に印をつけてください。
③対象となる土地・建物の住所がわかる箇所に印をつけてください。
④申請する該当費用(賃料、共益費・管理費)に印をつけてください。
その他、⑤~⑧の情報が記載されているかも確認するようにしてください。
⑤2020年3月31日時点と申請日時点の両方で有効な契約であることを確認する
(※更新等で契約書が2部に分かれる場合は両方添付する必要があります。)
⑥押印されていることを確認してください。(※署名があれば押印は不要)
⑦賃貸人が現在の賃貸人と同じであることを確認してください。
⑧賃借人が申請者の名義であることを確認してください。
<賃貸契約書(見本)>
(書類が複数枚ある場合は、全ページを1つのPDFファイルにまとめて添付する必要がありますので、申請前に準備しておいてください。)
具体的な書類は、次の3点のうちいずれか1点です。
①振込明細書
②領収書
③通帳の「見開き1ページ目と2ページ目」と「支払い実績(3ヶ月分)が記帳されている部分」の写し
コールセンターに確認したところ、振込金額に光熱費や町内会費などが含まれ、実際の賃料と振込金額が異なる場合でも「契約書に記載されている賃料で算定するので問題ありません。」という回答でした。
※書類を添付するときは、直近3ヶ月分を各月ごとに1枚ずつ添付しますので、ファイルは別々に保存しておくとスムーズに申請できると思います。1枚の書類に複数か月分の支払実績が記載されている場合は、同じ書類を再度添付することができます。
通帳の場合は、「見開き1ページ目と2ページ目」も別途添付する必要がありますので、準備しておいてください。
金融機関名・金融機関コード・支店名・支店コード・種別(普通・当座)・口座番号・口座名義人(※法人の代表者名義でもok)が確認できるものを添付します。
具体的には、通帳の「表面」と「通帳を開いた1・2ページ目」の両方の写しですが、ネットバンク等で紙媒体の通帳がない場合は、WEB通帳等の画面のキャプチャを添付すればokです。
(※通帳の「表面」と「通帳を開いた1・2ページ目」は、別々に添付しますので、2つのファイルに分けて作成しておくと、申請がスムーズにできると思います。)
本日、実際に申請をしてみると、申請時に「誓約書」に住所・名称・代表者名(自署)を記入して添付する必要がありましたので、追記しました。
この誓約書は、家賃支援給付金に関するお知らせの様式集から(中小法人等向け)をダウンロードすることができますので、申請前に記入しておいてください。
<誓約書・記入例>
以上が2019年創業特例(法人)の必要書類となりますが、「賃貸借契約書」については、いつかの例外があります。
上記のようなケースでは、別途証明書などを添付することで認められる場合がありますので、こちら(家賃支援給付金申請要領・中小法人向け別冊)を確認してみてください。
※各証明書の様式については、経済産業省HP:家賃支援給付金に関するお知らせからダウンロードすることができます。
「賃貸借契約書に賃料が記載されていない場合は、どうすればいいのか?」コールセンターに確認を取りましたので、調べている方がいたら、こちらの記事を参考にしてみてください。
添付する書類はスキャン画像以外に、スマホやデジカメで撮影した写真でも(綺麗に映っていれば)OKです。(対応ファイル形式はPDF・PNG・JPGです。)
こちらの記事では、家賃支援給付金の支給額の調べ方や申請方法について解説していますので、よろしければあわせて参考にしてみてください。
家賃支援給付金の申請受付は、2020年7月14日(火)より「家賃支援給付金申請サイト」でスタートしています!
家賃支援給付金の申請ページを進んでいくと、↓特例を選ぶページが出てきますので、「創業特例(2019年に設立した法人)」を選択して申請を進めるようにしてください。
<東京都限定>家賃支援給付金の上乗せ給付が決定!
東京都独自の家賃支援給付金制度が創設されました!中小企業(法人)で最大375,000円、個人事業主(フリーランス含む)の場合は最大187,500円が申請するだけでもらえますので、よろしければチェックしてみてください。
最後に
今回は2019年5月~2019年12月に創業した法人を対象にした「家賃支援給付金」の給付対象と必要書類についてまとめましたが、家賃支援給付金には、いくつかの例外や特例が用意されていますので、個別のケースを確認されたい方は、コールセンターで確認することをおススメします。(持続化給付金のときよりは、繋がりやすいです。)