現在、私は会社の総務部に所属していますが、会社を退職する人の中には、雇用保険(失業手当)の手続きについて知らない人が意外と多いです。

中には、「あと〇日、会社にいれば失業手当がもらえるのに…」と、失業手当の受給資格を満たす寸前に会社を辞めていく人もいます。

そこで、今回は、退職したあとに失業手当をもらうことができる人の条件をまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。

失業手当をもらうための条件

失業手当 受給資格条件

会社を辞めて失業手当をもらうためには、まず、大前提に「雇用保険に加入していること」が条件となります。


勤務先で社会保険(健康保険・厚生年金など)に加入している場合は心配ないと思いますが、雇用形態がアルバイト、契約・派遣社員、歩合制の外交員の場合は雇用保険に加入していない場合もありますので、給与明細等で「雇用保険料」が天引きされているかを確認するようにしてください。


雇用保険に加入できる基準は「31日以上の雇用見込みがあり、週20時間以上働いている人」です。


パートやアルバイトをしている人で、条件をクリアしているのに「雇用保険に加入していない!」という場合は、勤務先で確認するようにしてくださいね。


中には、「雇用保険の加入条件を満たしていたのに会社が加入してくれなかった」という人もいると思います。


諦めないでくださいね!


既に仕事を辞めたあとでも、雇用保険は過去にさかのぼって加入することができます!
雇用保険に未加入!過去にさかのぼって加入して失業手当を全額もらう方法


ただし、雇用保険に加入しているだけでは、失業手当をもらうことはできません。失業手当をもらうためには、雇用保険に一定期間加入している必要があります。


この期間は、会社を辞めた理由が「自己都合」または「会社都合(解雇・倒産など)」で変わってきます。


ここからは、それぞれのケースごとに解説していきます。

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自己都合で退職する人の場合

『会社を辞めた日以前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が12ヶ月以上あること』


雇用保険の加入期間とは、「賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月」または、「賃金支払の基礎となった労働時間が80時間以上ある月」1ヶ月として換算します。(※令和2年8月1日から日数だけでなく労働時間の基準も新たに設定されました。)



自ら辞表を出して辞めた場合でも、入社時から雇用保険に加入していて12ヶ月以上勤めていれば失業手当をもらう資格が発生します。


「12ヶ月未満は無理か….」という人も、まだ諦めないでください。


ここにある『会社を辞めた日以前の2年間』に注目していください。


例えば、下の図のように、B社で雇用保険に加入していた期間が6ヶ月間の場合は、「12ヶ月以上」に当てはまらないので受給資格を満たさないことなりますが、

失業手当 受給資格


次の図のように、B社を退社した日以前にA社に6ヶ月間雇用保険に加入していた場合、A社とB社の雇用保険加入期間を通算して12ヶ月以上あれば失業手当の受給資格アリ!となります。
雇用保険 受給資格 

ただし、通算できる期間は、B社を退社した日から過去2年の範囲内である必要があります。


また、A社を退職してB社に入社するまでの期間が、1年以上空いてしまうと通算してカウントすることができませんので注意してください。
失業手当 受給資格 期間


<追記>
先日読者の方から「雇用保険の加入期間12ヶ月以上の確認方法がわからない….」というご質問をいただきました。


確かに月の途中で入社(雇用保険加入)した人の場合、「賃金支払基礎日数が11日以上あれば、1ヶ月として換算する」という文言があるので「自分の場合は、1ヶ月に換算できるのか?」悩んでしまうことがあると思います。(※令和2年8月1日から「賃金支払の基礎となった労働時間が80時間以上ある月」も「1ヶ月」としてカウントすることができるようになりました。)


そこで失業手当をもらうための条件にある『雇用保険加入期間12ヶ月以上』の確認方法についてまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。

<失業手当の受給資格>12ヶ月以上とは?雇用保険加入期間の確認方法


会社都合で退職する人の場合

『会社を辞めた日以前の1年間に、雇用保険に加入していた期間が6ヶ月以上あること』


雇用保険の加入期間とは、「賃金支払の基礎となった日数が11日以上ある月」または、「賃金支払の基礎となった労働時間が80時間以上ある月」1ヶ月として換算します。(※令和2年8月1日から日数だけでなく労働時間の基準も新たに設定されました。)



会社都合の場合は、半年間、雇用保険に加入していれば失業手当の受給資格を得ることができます。


契約社員の人など、契約期間満了(希望しても更新されず)の場合は、特定理由離職者になりますので、加入期間はこの6ヶ月に該当します。

こちらの記事では、失業手当の支給額の調べ方や計算方法についてまとめていますので、よろしければ参考にしてみてください。
ハローワークの失業手当はいくらもらえるの?支給額の計算方法を確認

自己都合退職した人の給付制限が「3ヶ月」→「2ヶ月」に!

令和2年(2020年)10月1日から自己都合で退職した人の給付制限が、これまでの「3ヶ月」から「2ヶ月」に短縮されました。(つまり、2020年10月1日以降に自己都合で退職された方は、1ヶ月早く失業手当が受給できるようになります。)

失業手当の初回っていつもらえるの?退職してから振込までの日数を確認


また、令和2年2月25日以降に新型コロナの影響で自己都合退職した場合は、給付制限ナシで受給できるようになっていますので、こちらの記事もチェックしてみてください。

<失業手当のコロナ特例>自己都合で退職しても給付制限が付かない人の条件

まとめ

最後に今回の記事の内容をまとめると、

会社を退職したあとに、失業手当をもらうためには、

・自己都合の場合→雇用保険に12ヶ月以上加入している

・会社都合の場合→雇用保険に6ヶ月以上加入している

ことが条件となりますね。

また、雇用保険の加入期間は2年の範囲内であれば、通算してカウントすることができますので、以前、他の会社に勤めていたという人で雇用保険を受給していない場合は、(手当がもらえる日数にも影響しますので)必ず確認するようにしてください。

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