失業手当をもらっている期間に内職やアルバイトをしたいけど、ハローワークの説明会で聞いてもよくわらないし、失業手当の金額を減らされるみたいだからやめておこう…と、最初から諦めている人もいると思います。

確かに、説明会のときって「受給中のバイトは不正受給に該当する恐れあり!」が強調されて、肝心の「いくらまでなら内職で稼いでも失業手当は全額もらえるのか?」が、イマイチわかりにくいですよね。

そこで今回は、内職しながら失業手当を全額もらう方法をまとめてみました。内職のメリットは、就業手当対象外なので(時間制限はありますが)いつでも自由に稼ぐことができます。

この内職を上手く利用すれば、内職の報酬と失業手当を同時に全額受給することができるので、ぜひ参考にしてみてください。

アルバイトと内職の違いは?

失業手当受給中のバイト 

まず、アルバイト内職の区別から確認していきましょう。


<失業認定申告書のカレンダー欄>
失業認定申告書

失業認定申告書のカレンダーには、1日4時間以上のアルバイト・内職・手伝い(自営業を開始する準備など含む)をした場合には「〇」印をつけ、1日4時間未満の短時間アルバイト・内職・手伝いをした場合は「×」印をつけるようになっています。


つまり、アルバイトと内職は仕事内容で区別するのではなく、1日の労働時間が「4時間以上」または「4時間未満」で区別されています。(アルバイトでも1日4時間未満であれば「×」印をつけてください。)

失業認定申告書「アルバイト・内職・手伝いをしたとき」の書き方と記入例

なぜ、このように1日4時間以上と1日4時間未満で区別しているかというと、「1日4時間以上働いた日の失業手当は報酬に関わらず不支給になる」のに対して、「1日4時間未満の労働の場合は1日あたりの報酬額が一定の金額以内に収まれば、不支給ではなく基本手当日額(1日あたりの失業手当)を減額する」という仕組みになっているからです。


ここで注目したいのは、1日4時間未満の内職の場合は1日あたりの報酬が一定の金額未満であれば、基本手当日額は1円も減額されないことになっているので、内職の報酬と失業手当の両方を全額受給することが可能になるという点です。


この仕組みについては、このあと詳しく解説していきます。

内職の報酬と失業手当が全額がもらえる仕組み

まず、いくらまでなら失業手当が減額されずに済むのか?ということから確認していきます。


これは、「基本手当日額」と「1日あたりの内職報酬」を合計した額が、「賃金日額(在職中の1日あたりの平均賃金)の80%」の範囲内であれば、失業手当は減額されずに受給することができます。


ようするに、失業手当と内職の報酬を合わせた収入が退職前の給料の80%までなら、就職活動の合間に家計補助的な労働をしている(失業状態)と認めて、失業手当はそのまま支給しますよということです。


更に嬉しいことに、退職前の給料が少なかった人は、失業手当だけで賃金日額の80%をもらうことができますので、内職して1円でも稼いでしまうと基本手当日額を減額されることになりますが、この制度には税金のような「控除」があり、1日あたり1,331円(令和5年8月1日~令和6年7月31日)までなら80%を超えても基本手当日額は減額されない仕組みになっています。


ただし、アルバイトと同様に内職の場合も就職活動をほとんどしないと「失業の状態にはない」と判断されて、失業手当の支給を停止されてしまいますので、注意してくださいね。

基本手当日額と賃金日額は雇用保険受給資格証で確認することができます。


<雇用保険受給資格証>

①基本手当日額②賃金日額になります。

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いくらまでなら失業手当は減額されない?具体例で確認

今回の「内職をしても失業手当が減額されない」ケースで最も恩恵を受けられる人は、退職前の給料が高かった人で基本手当日額が賃金日額の50%になる人です。


なぜなら、50%の人の場合、基準となる賃金日額の80%に達するまでの30%は内職で稼いでも基本手当日額は減額されないからです。


更に、控除の1,331円もプラスできますので、稼げる余地が広がります。


ここからは、その具体例を見ていきましょう。

Aさん【退職時の年齢45歳・賃金日額15,000円・給付率50%】の場合

Aさんの賃金日額は15,000円なので、失業手当(基本手当日額)は7,500円(15,000円×50%)となります。


内職しても失業手当(基本手当日額)が減額さない基準の80%は12,000円(15,000円×80%)なので、


12,000円-7,500円=4,500円


ここに控除もプラスすると、


4,500円+1,331円=5,831円


ということで、Aさんは1日5,831円までなら内職で報酬をもらっても失業手当(基本手当日額)は、減額されないことになります。


ちょっと極端な話になりますが、週5日(月に20日)この内職をした場合、約116,620円(5,831円×20日=116,620円)の報酬をもらっても、失業手当(基本手当日額)は減額されず全額受給できることになります。

check!
ひとつ厄介なのは、ハローワークは地域によって対応の仕方が異なりますので、今回のケースを実践する場合は、事前に「週5日内職しても問題ないか?」必ず確認するようにしてください。

「そもそも内職って、そんなにある?」と、思う人もいると思います。


確かに以前は、内職と認められるケースはかなり限られていました。


ですが、平成15年の法改正で、「仕事の内容や契約形態にかかわらず、1日4時間未満の労働はすべて内職」と認められるようになっています。


ということは、1日4時間未満の契約で働きさえすれば、普通のアルバイトでも良いということです。


失業手当だけでは、生活がキツイ!という場合は、内職やバイトを1日4時間未満にしておけば、就業手当を気にせず、内職またはバイト代+失業手当を全額受給できますね。

週20時間未満を守ること!

最後に、もうひとつ抑えておくべきポイントがあります!

内職またはバイト代+失業手当を全額受給するためには、働く時間を週20時間未満に抑えないといけない点です。


ハローワークでは「たとえ1日の労働が4時間未満であっても雇用保険の被保険者となる場合は就職または就労したものとみなす。」また、「契約期間が7日以上の雇用契約で、週20時間以上かつ週4日以上働く場合は就職したものとみなす。」とされています。


雇用保険に加入できる基準が週20時間以上なので、それを超えて働くと、失業手当は不支給(後で支給)となり、就業手当の対象にもなりますので、注意してください。


ただし、退職後、独立して自営業などを始める場合は、1日4時間以上働いても、それによって得た収入が賃金日額の下限額(2,746円※)未満であれば内職として認められることになっています。(※令和5年8月1日~の下限額です。)

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