定年退職後にハローワークで失業手当の受給を予定している方もいると思いますが、定年退職の場合、離職理由は「会社都合」or「自己都合」のどちらになるのか、(失業手当の受給額に影響するため)気になっている方もいると思います。
私も過去に職場で「定年退職の場合の離職理由は会社の規則に従った退職だから、会社都合だよね?」という質問を受けたことがあります。
そこで今回は、定年退職の場合の離職理由について、ハローワークの窓口で確認した内容をもとにまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。
定年退職の離職理由は会社都合?自己都合?
雇用保険の失業手当は、会社の倒産や解雇などで突然、職がなくなり生活が困窮するような状況になったときには、手厚い保障が受けられるようになっていますが、定年退職の場合は、何年も前から退職日がわかっていて、退職後の生活設計や転職活動が計画的にできるという観点から、離職理由は『自己都合』となります。
よって、失業手当の給付日数は一般の退職者の給付日数と同じということになります。
▶失業手当がもらえる期間は?1円でも多くもらうために所定給付日数を確認
会社の規定で退職するのに?
確かに、定年退職は自分の都合でやめるわけではないので、納得いかない人もいると思いますが、定年退職の場合はいくつかの優遇措置が設けられていますので、確認しておきましょう。
▶65歳以上の失業手当「高年齢求職者給付金」はいつ?いくらもらえるの?
この「高年齢求職者給付金」は、年金と同時に受給することができますが、実は「失業手当(基本手当)」と「老齢年金」も同時に受給することができるのをご存知ですか?
原則、失業手当(基本手当)と老齢年金は併給できないことになっていますが、65歳の誕生日の前々日までに退職して、65歳になってから失業手当(基本手当)の申請をすれば、失業手当(基本手当)と年金の両方を同時に受給することができます。
「失業手当(基本手当)」の給付日数は最低でも90日分~と「高年齢求職者給付金」の給付日数(30日分~50日分)と比べて大きな差があるため、退職金等に影響がない場合は、65歳になる前(誕生日の前々日まで)に退職して、失業手当と年金の両方を同時に受給するという選択もアリだと思います。
2ヶ月の給付制限がない!
一般的に離職理由が「自己都合」退職の場合は、2ヶ月の給付制限が付きますが、定年退職は自身の都合による退職ではないため、自己都合退職に適用される2ヶ月の給付制限がありません。
つまり、退職後2ヶ月待たずに、すぐに失業手当をもらうことができる仕組みになっています。(※待機期間の7日は必要です。)
自己都合退職した人の給付制限が「3ヶ月」→「2ヶ月」に!
令和2年(2020年)10月1日から自己都合で退職した人の給付制限が、これまでの「3ヶ月」から「2ヶ月」に短縮されました。(つまり、2020年10月1日以降に自己都合で退職された方は、1ヶ月早く失業手当が受給できるようになります。)
受給期間を延長することができる!
失業手当がもらえる期間(受給期間)は、「会社を退職した日の翌日から1年間」という期限が設定されています。
例えば、下の図のように所定給付日数(失業手当がもらえる日数)90日の方が、全ての日数分を受給するためには、支給開始日と支給終了日がこの1年間に収まっている必要があります。
この受給期間をはみ出した場合は、未支給の失業手当が残っていたとしても、その時点で受給権はなくなり失業手当をもらうことができません。(※はみ出した分がもらえなくります。)
しかし、定年退職の場合は、プラス1年間の受給期間を延長することができます。(長年働いてきたので、定年退職後は少しのんびりしてもいいですよ、という趣旨ですね。)
つまり、退職日の翌日から2年以内に、受給を終えればよいということですね。
ただし、受給期間を延長する場合は、退職日の翌日から2ヶ月以内にハローワークに申請する必要があり、先に求職の申込をしてしまうと受給期間を延長することができないので注意してください。
▶受失業手当の受給期間延長はいつからいつまで?申請タイミングと期限を確認
今回の「定年退職後の失業手当」についてまとめると、離職理由は「自己都合」退職となり、失業手当がもらえる日数は一般の退職者と同じ扱いなりますが、2ヶ月の給付制限はなく受給を開始することができます。
また、退職後、少し休んでから求職活動を行えるように受給期間の延長を申請することができるようになっています。
▶ハローワークの失業手当はいくらもらえるの?支給額の計算方法を確認
最後に
私が勤務している会社の定年は60歳ですが「継続雇用制度」を導入しているため、定年後も本人が希望する場合は引き続き働く(再雇用)ことができるようになっていますが、60歳以降の賃金は定年前の賃金と比べると少なくなってしまいます。
60歳以降、賃金が低下する場合は「高年齢雇用継続基本給付金」を受給できる場合がありますので、よろしければこちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
▶60歳からの高年齢雇用継続給付金!受給条件と支給額の計算方法を解説