失業したときに「失業手当はいくらもらえるのか?」気になる人も多いと思います。失業手当の支給額は、「およそ退職前6ヶ月間の平均給与の80%~50%」と言われていますが、できれば正確な金額を把握しておきたいですよね。
そこで今回は、失業手当の支給額の調べ方や計算方法について解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
失業手当はいくらもらえるの?調べ方を確認
まず、事前に確認しておくと、離職後は誰でも失業手当をもらえるわけではありません。受給には一定の条件がありますので、まだチェックしていない人は、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶失業手当は雇用保険に何ヶ月間加入していればもらえるの?受給資格を確認
それでは、「雇用保険受給資格者証」をお持ちの方から計算方法を解説していきます。
調べ方は非常に簡単です!
下の「雇用保険受給資格者証」から①「19.基本手当日額」と、その横の②「20.所定給付日数」を確認してください。
あとは、次の計算式に当てはめるだけです。
これで、失業中にもらえる失業手当の合計金額を確認することができます。
退職前や退職直後で、まだ「雇用保険受給資格者証」を持っていない人は、次の計算方法で失業手当の受給額を調べることができますので、確認していきましょう!
失業手当の計算方法を確認
失業手当の支給額は、先程と同様に「基本手当日額×所定給付日数」で求めますが、「雇用保険受給資格者証」がない場合は、「基本手当日額」と「所定給付日数」を調べなければいけませんね。
失業手当の支給額を調べるためには、次の順番で計算を進めています。
①「賃金日額」(一日あたりの平均賃金)を計算する
↓
②「基本手当日額」(一日当たりもらえる失業手当の金額)を計算する
↓
③「所定給付日数」(失業手当がもらえる日数)を確認し、「基本手当日額×所定給付日数」で失業手当の支給額を計算する
それでは、順番に解説していきますね。
①賃金日額を計算する
賃金日額は次の計算式を使って求めます。
ここでの給与とは、ボーナスを除き、残業代、通勤手当、住宅手当など各種手当を含んだ金額です。社会保険料(健康保険・厚生年金など)や税金などを差し引く前の金額ですね。
例えば、退職前の6ヶ月間の給与が月額20万円だった場合は、
(20万円×6ヶ月)÷180=6,666円(1円未満切り捨て)
賃金日額は6,666円です。
ただし、賃金日額には、離職時の年齢ごとに上限額・下限額が設定さています。計算で出た金額が、以下の上限額(下限額)を超えている(下回る)場合は、上限額(下限額)を使って計算を進めていきます。
<令和5年8月1日~令和6年7月31日までの上限額>
離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 |
---|---|
29歳以下 | 13,890円 |
30歳~44歳まで | 15,430円 |
45歳~59歳まで | 16,980円 |
60歳~64歳まで | 16,210円 |
<令和5年8月1日~令和6年7月31日までの下限額>
離職時の年齢 | 賃金日額の上限額 |
---|---|
全年齢 | 2,746円 |
▶65歳以上の失業手当「高年齢求職者給付金」はいつ?いくらもらえるの?
それでは、次に基本手当日額の計算方法を解説していきます。
②基本手当日額を計算する
基本手当日額は次の計算式で求めます。
ここでの「給付率」とは、先ほど計算した「賃金日額」を、年齢ごとに区切られている下の表に当てはめて確認していきます。
<離職時の年齢が29歳以下>
賃金日額 | 給付率 |
---|---|
2,746円以上~5,110円未満 | 80% |
5,110円以上~12,580円以下 | 80%~50% |
12,580円超~13,890円以下 | 50% |
13,890円超~(上限額) | -(上限額6,945円が基本手当日額になる) |
<離職時の年齢が30~44歳>
賃金日額 | 給付率 |
---|---|
2,746円以上~5,110円未満 | 80% |
5,110円以上~12,580円以下 | 80%~50% |
12,580円超~15,430円以下 | 50% |
15,430 円超~(上限額) | -(上限額7,715円が基本手当日額になる) |
<離職時の年齢が45~59歳>
賃金日額 | 給付率 |
---|---|
2,746円以上~5,110円未満 | 80% |
5,110円以上~12,580円以下 | 80%~50% |
12,580円超~16,980円以下 | 50% |
16,980円超~(上限額) | -(上限額8,490円が基本手当日額になる) |
<離職時の年齢が60~64歳>
賃金日額 | 給付率 |
---|---|
2,746円以上~5,110円未満 | 80% |
5,110円以上~11,300円以下 | 80%~45% |
11,300円超~16,210円以下 | 45% |
16,210 円超~(上限額) | -(上限額7,294円が基本手当日額になる) |
例えば、年齢が29歳以下の人で賃金日額が「4,500円」だった場合は、賃金日額「2,746円以上~5,110円未満」の範囲内になりますので、給付率「80%」を使い計算していきます。
4,500円×80%=3,600円
つまり、基本手当日額は3,600円となります。
ですが、年齢が29歳以下の人で賃金日額が10,000円だった場合の給付率は「80%~50%」と、はっきりとしていませんね。
「80%~50%」の欄に該当する場合は、次の計算式で「基本手当日額」を求めます。
(令和5年8月1日~の計算式です。)
賃金日額が10,000円の場合は、
0.8×10,000円=8,000円
-0.3×{(10,000円-5,110)÷7,470}×10,000円=-1,963(1円未満切り捨て)
8,000円-1,963円=6,037円
基本手当日額は6,037円となります。
続いて、「80%~45%」の欄に該当する場合は、次の計算式1と計算式2で計算された基本手当日額を比べ、いずれか低い方の額が基本手当日額となります。
計算式2:基本手当日額=(0.05×賃金日額)+4,520
(令和5年8月1日~の計算式です。)
例えば、<離職時の年齢が60~64歳>で賃金日額が10,000円だった場合は、給付率が「80%~45%」になるので、今回の計算式1と計算式2で計算した基本手当日額を比べます。
「計算式1」と「計算式2」の基本手当日額を比べると、「計算式2」の基本手当日額の方が低いので、今回の基本手当日額は「5,020円」となります。
ただし、基本手当日額にも、離職時の年齢ごとに上限額・下限額が設定さています。計算で出た金額が、以下の上限額(下限額)を超えている(下回る)場合は、上限額(下限額)を使って計算を進めていきます。
<令和5年8月1日~令和6年7月31日までの上限額>
離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 |
---|---|
29歳以下 | 6,945円 |
30歳~44歳まで | 7,715円 |
45歳~59歳まで | 8,490円 |
60歳~64歳まで | 7,294円 |
<令和5年8月1日~令和6年7月31日までの下限額>
離職時の年齢 | 基本手当日額の上限額 |
---|---|
全年齢 | 2,196円 |
このように、賃金日額と基本手当日額は給与が少なかった人ほど80%に近い額になる一方で、給与が多かった人は、50%に近い額になるように設定されています。
また、「どんなに給与が安くても下限額」と「どんなに給与が高くても上限額」までと決まっています。
③所定給付日数を確認して失業手当の支給額を計算する
あとは、所定給付日数(失業手当がもらえる日数)を掛けるだけで「失業中にもらえる失業手当の合計額」を確認することができます。
所定給付日数は、雇用保険に加入していた期間や離職理由によって異なりますので、詳しくはこちらの記事で確認してみてください。
▶失業手当がもらえる期間は?1円でも多くもらうために所定給付日数を確認
自己都合退職した人の給付制限が「3ヶ月」→「2ヶ月」に!
令和2年(2020年)10月1日から自己都合で退職した人の給付制限が、これまでの「3ヶ月」から「2ヶ月」に短縮されました。(つまり、2020年10月1日以降に自己都合で退職された方は、1ヶ月早く失業手当が受給できるようになります。)
最後に
離職後の失業手当の額は、「雇用保険受給資格者証」がある場合は計算が簡単ですが、これから退職して失業手当をもらう人の中には「失業手当はいくらもらえるのか?」事前に把握しておきたいという人もいると思いましたので、今回は計算方法を解説してみました。
こちらの記事では、「失業手当の初回はいつ振り込まれるのか?」について、まとめていますので、よろしければあわせて参考にしてみてください。
▶失業手当の初回っていつもらえるの?退職してから振込までの日数を確認