会社を辞めると、今まで会社で加入していた社会保険(健康保険・厚生年金)の資格を喪失するため、新たに健康保険に加入する手続きが必要ですが、退職後の健康保険は、市区町村で加入する国民健康保険、親や夫(妻)が勤務先で加入している健康保険の扶養に入る任意継続に加入する、のいずれかとなります。

そこで今回は、協会けんぽの「任意継続に加入する」ときの手続き方法をご紹介します。

こちらの記事では、任意継続に加入できる条件や期間、保険料について、協会けんぽの窓口で確認した内容をもとにまとめていますので、よろしければ参考にしてみてください。

「任意継続」とは?

任意継続 加入方法

「任意継続」とは、退職後も会社で加入していた健康保険に個人で継続して加入できる保険制度です。


ただし、会社に勤めていたときの健康保険料は会社と本人で半分ずつ負担することになっていたと思いますが、任意継続に加入した場合の保険料は本人が全額負担することになっています。


※被扶養者(妻や子)は、今まで通り保険料は発生しませんが、国保の場合は、無職の妻や子でも保険料が発生します。
国民健康保険料の計算方法、収入のない妻や子供の保険料も確認!


<退職後の健康保険>

退職後の健康保険は、下の図のように①②③を選択できるようになっています。
任意継続

退職後の健康保険(国民健康保険か任意継続)で迷っている人の中は、「保険料次第!」という人が多いと思います。


こちらの記事では、国民健康保険と任意継続(協会けんぽ)の保険料を収入別に比較していますので、よろしければ参考にしてみてください。

退職後の国保と任意継続どっちがお得?保険料を収入別に比較してみた!

「任意継続」に加入できる期間

任意継続に加入できる期間は、退職日の翌日から2年間です。

任意継続 加入期間

「2年間を過ぎたらどうすればいいの?」や「途中で辞めることができる?」「加入期間中に再就職が決まったときは?」という方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
<社会保険の任意継続>資格喪失後はどうすればいい?手続き内容を確認

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「任意継続」の保険料はいくら?

任意継続の保険料は、退職時の「標準報酬月額」にお住まいの都道府県ごとに設定されている保険料率を掛けた額が保険料となります。


下の表で保険料の調べ方を確認していきましょう。


こちらは、令和5年度の神奈川県の健康保険料額表です。

令和5年 任意継続保険料

例えば、退職時の標準報酬月額が20万円だった場合の保険料(全額負担)は次のとおりです。

40歳未満・65歳以上(介護保険該当しない) 20,040円
40歳以上~65歳未満(介護保険該当する) 23,680円

ただし、任意継続の保険料には上限が設定されており、標準報酬月額30万円を超える場合は30万円の標準報酬月額で計算した保険料となります。


つまり、退職時の標準報酬月額が35万円であっても、標準報酬月額30万円で計算された保険料ということになるので、給与を多くもらっていた人ほどお得になるということですね。


退職時の標準報酬月額が30万円以上の人の保険料は次のとおりです。

40歳未満・65歳以上(介護保険該当しない) 30,060円
40歳以上~65歳未満(介護保険該当する) 35,520円

(※令和5年度の神奈川県の保険料です。)



このように、任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額で決まり、保険料は2年間変わらないことになっていますが、加入期間中に40歳を迎えた場合(65歳を迎えた場合も)は、介護保険第2号被保険者に該当する(該当しなくなった)ため、保険料が変わることになります。

「任意継続」の加入条件

任意継続に加入する条件は、「資格喪失日(退職日の翌日)までに健康保険に加入していた期間が継続して2ヵ月以上あること」です。


この「2ヶ月以上」というのは、1社で2ヶ月以上の加入期間がない場合でも、「協会けんぽ」または「健康保険組合」に加入していた期間が、空白期間なく2ヶ月以上あれば加入期間を合算することができ、任意継続に加入することができます。

任意継続の加入手続き

どこで?

お住まいの住所地を管轄する「協会けんぽ支部」で、加入手続きをすることができます。

全国の協会けんぽ支部はこちから検索することができます。全国健康保険協会(協会けんぽ)HP>都道府県支部

いつまで?

任意継続に加入できる期間は、退職日の翌日から20日以内(20日目が土・日・祝日の場合は翌営業日)となります。


※郵送で申請する場合は、書類到着まで20日以内となりますので注意してくださいね。

任意継続は、健康保険のみで厚生年金(共済年金)には加入できませんので、退職後は「国民年金」に切替える手続きが必要です。
退職したときの「国民年金」切替え手続き!保険料はいつから払う?

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手続きに必要なもの

任意継続に加入手続きに必要なものは、以下のとおりです。

加入者が被保険者(本人)のみの場合

  • 任意継続被保険者資格取得申出書(窓口またはHPに用意されています。)
  • 退職証明書のコピー※1
  • 保険証の記号・番号※2(保険証のコピーまたは、メモでもOKです。)



※1.退職証明書が用意できないときは、健康保険資格喪失届(年金事務所に提出する前の)のコピーを会社から受け取り、手続きの際に提出してください。(ただし、どちらも用意できないときは、添付ナシでもOKです。)

※2.退職して既に保険証を会社に返却してしまった場合は、会社に問い合わせて「記号・番号」の確認を取ってください。(記号・番号はメモでもOKです。)


もし、「記号・番号」がわからない場合はマイナンバーで申請することもできますので、「マイナンバー個人番号カード1点」、「通知カード+本人確認書類(運転免許証など)」、「マイナンバー記載ありの住民票(原本)+本人確認書類(運転免許証など)」のいずれか1セットを持参するようにしてください。


「任意継続被保険者資格取得申出書」の書き方については、こちらで解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
健康保険「任意継続被保険者資格取得申出書」の書き方と記入例を確認


被扶養者(扶養に入る人)がいる場合

扶養に入る人がいる場合は、本人の必要書類のほかに以下の書類が必要です。


<勤務していたときから引き続き被扶養者になる場合>

  • 収入を証明する書類(直近3ヶ月分の給与明細コピー、課税・非課税証明書など)
  • 16歳未満の場合は添付不要ですが、16歳以上の方(学生含む)は添付する必要があります。(収入がない場合でも、課税・非課税証明書を添付する必要があります。)

※新たに被扶養者になる方が別居している場合は、「仕送りの事実と仕送り額の確認ができる書類」(通帳のコピーなど)の添付も必要です。(16歳未満・16歳以上の学生の場合は不要です。)


<任意継続の資格取得と同時に(新たに)被扶養者になる場合>

  • 収入を証明する書類(直近3ヶ月分の給与明細コピーまたは課税・非課税証明書など)
  • 16歳未満の場合は添付不要ですが、16歳以上の方(学生含む)は添付する必要があります。(収入がない場合でも、課税・非課税証明書を添付する必要があります。)

  • 住民票(世帯全員分の続柄が確認できるもの)

※新たに被扶養者になる方が別居している場合は、「仕送りの事実と仕送り額の確認ができる書類」(通帳のコピーなど)の添付も必要です。(16歳未満・16歳以上の学生の場合は不要です。)


無職(専業主婦など)で収入のない場合でも、非課税証明書を取得するには住民税の申告が必要です。申告はいつでも受付けていますので、よろしければこちらの記事を参考にしてみてください。
住民税:無職で収入がない人の申告方法と申告書の書き方を記入例で確認

Check!
令和2年4月から扶養に入る条件に「(被扶養者は)日本国内に住民票があること」が追加されることになりました。(※留学するお子さんや、海外赴任する夫に同行する妻など、一部例外もありますが、この場合は別途書類の提出が必要なりますので、詳しくは協会けんぽ窓口で確認するようにしてください。)


保険証はいつもらえるの?

本日、協会けんぽ(神奈川支部)に問い合わせてみましたが、新しい保険証は、退職後、会社が日本年金機構に資格喪失届を出したあと、データが反映されてから発行されるため、任意継続の加入手続き後約2週間ということでした。


保険証が届く前に病院に行く場合は?

保険証が届く前に病院で診察を受け医療費を全額負担した場合でも、任意継続の資格取得日は退職日の翌日からとなっていますので、保険証が届いてから「療養費支給申請書」を協会けんぽ支部にご提出することで保険負担分が戻ってくることになっています。

最後に

実際、任意継続の加入は国民健康保険料と比較して決めたいと思っている方が多いと思います。国民健康保険には扶養という概念がないため、妻や子にも保険料が発生しますので、場合によっては国保の方が割高ということもあります。(任意継続の場合は、被扶養者に保険料は発生しません。)


こちらの記事では、国民健康保険料の計算方法を解説していますので、よろしければ確認してみてください。
国民健康保険料の計算方法、収入のない妻や子供の保険料も確認!

また、会社を退職した理由によっては、国民健康保険料の軽減を受けることもできますので、こちらの記事も参考に保険料の比較をしてみてください。
国保の軽減:失業したときの保険料はいくら?計算方法と申請方法を確認

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