年末調整で各種控除を受けるときには、申告書のほかに証明書の添付が必要なケースがありますが、令和2年から年末調整の電子化がスタートしたため「今まで通り、添付が必要なもの」と「添付が不要になったもの」があります。

そこで今回は、年末調整のときに会社へ提出する証明書類(令和5年版)について、税務署で確認した内容をまとめましたので、よろしければ参考にしてみてください。

年末調整で添付書類が必要なケースを確認

年末調整 添付書類

申告書で「非居住者である親族」に〇をつけた場合

「扶養控除等申告書」や「配偶者控除等申告書」で「非居住者である親族」に〇をつけた場合は、親族関係書類送金関係書類を添付することになっています。


令和2年から年末調整の電子化に向けた取り組みが実施されていますが、「親族関係書類」や「送金関係書類」は、電子データで取得・提出することができませんので、今まで通り書面で提出(提示)する必要があります。



具体的な添付書類については、こちらの記事で確認することができますので、よろしければ参考にしてみてください。

年末調整2023:親族関係書類と送金関係書類って何を添付すればいい?

※令和5年分~「非居住者を扶養親族にする要件」が改正されたため、新たに添付する書類が必要になる場合があります。


年の途中で転職をした場合

年の途中で転職をした方は、前職で発行された源泉徴収票(令和5年分)を現在の勤務先に提出してください。


勤労学生控除を受ける場合

今年(令和5年)の年末調整で勤労学生を申告する場合は、学生証のコピーまたは、在学証明書を添付する必要があります。

「学生証のコピー」や「在学証明書」についても、電子データで提出することができませんので、今まで通り書面で提出(提示)するようにしてください。


また、勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合は、今まで通り手書きで申告書を作成するか、国税庁からリリースされている「年末調整ソフト」を利用して作成したデータをプリントアウトして提出する必要があります。



「令和6年分・給与所得者の扶養控除等申告書」の「勤労学生」欄の記入方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので、調べている方がいたら参考にしてみてください。

<勤労学生の申告方法>令和6年分・扶養控除等申告書の書き方と記入例


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生命保険料控除・地震保険料控除を受ける場合

勤務先が年末調整の電子化に対応している場合電子化に対応していない場合で手続きが異なります。

勤務先が電子化に対応している場合

これまで保険会社や金融機関などからハガキ等の書面で送られてきた「生命保険料・個人年金保険料・介護医療保険料・地震保険料控除証明書」は、電子データで取得できるようになっています。

これを受け、今まで手書きで記入していた「保険料控除申告書」は、年末調整ソフト(※)で作成することができ、データのまま勤務先に提出できるようになっています。


具体的な手順は、次の①~③です。

①保険会社等のHPから控除証明書等を電子データで取得(ダウンロード)する
(保険会社が電子データを発行していない場合は、ハガキ等の書面を用意してください。)


②年末調整ソフト(※)に、住所・氏名等を入力し、保険会社等のHPからダウンロードした電子データをインポート(ハガキ等の書面の場合は手入力)して電子データを作成する
保険料控除 データインポート


③作成した電子データを(データのまま)勤務先に提出する
令和3年版 保険料控除 年末調整アプリ


※利用する年末調整ソフトの種類については、会社の指示に従って、決められたソフトで作成するようにしてください。国税庁が提供している年末調整ソフトはこちらからダウンロードが可能です。



また、マイナンバーカードを持っている方で、会社がマイナポータルと連携ができる年末調整ソフトを利用している場合は、複数の控除証明書のデータを一括で取得して連携させることができます。


(マイナポータルと連携していない保険会社もありますので、契約している保険会社HPも確認するようにしてください。)

勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合

今まで通り「書面」で申告する必要がありますので、「令和5年分・給与所得者の保険料控除申告書」に(手書き)記入(※)するか、国税庁からリリースされている「年末調整ソフト」を利用して作成したデータをプリントアウトして生命保険料控除証明書地震保険料控除証明書等を添付して提出してください。

<年末調整2023>令和5年分・保険料控除申告書の書き方を解説!



(生命保険料控除証明書の見本)
生命保険料控除証明書


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社会保険料控除を受ける場合

  • 国民年金保険料・国民年金基金(掛金)の控除を受ける場合

「社会保険料(国民年金保険料)控除証明」は、2022年から電子データで取得できるようになっています。また、「国民年金基金(掛金)控除証明」は今年(2023年)から電子データで取得できるようになりましたので、勤務先が年末調整の電子化に対応している場合は、電子データのまま提出することが可能です。



勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合は、今まで通り「令和5年分・給与所得者の保険料控除申告書」の「社会保険料控除」欄に必要事項を記入し「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を添付(提示)してください。

(社会保険料「国民年金保険料」控除証明書の見本)

社会保険料(国民年金保険料)控除証明書

令和5年の「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」の発送は、今のところ11月初旬に予定されています。


まだ届いていない!失くしてしまった!という方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が届かないときの対処法!


  • 国民健康保険料(税)の控除を受ける場合

国民健康保険の場合は「保険料控除証明書」が発行されないため、基本的には添付書類は不要となっていますが、会社によっては国民健康保険の納付証明書や納付書の控えを添付する場合がありますので、会社の指示に従ってください。


私の勤務している会社では、税務署から「税務調査の際に確認することもある」ということで、国民健康保険の納付証明書や納付書の控えを添付してもらうよにしています。

今年(令和5年)の年末調整で国民健康保険料(税)の控除を受ける場合は、「令和5年・給与所得者の保険料控除申告書」の「社会保険料控除」欄に手書きで記入するか、国税庁の年末調整ソフト(無料)を利用して作成した申告書を勤務先に提出する必要があります。


「社会保険料控除」欄の記入方法については、こちらの記事で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください

<年末調整2023>令和5年・保険料控除申告書の「社会保険料控除」の書き方


小規模企業共済等掛金控除を受ける場合

  • 小規模企業共済(退職金積立制度)
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)

「小規模企業共済」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の掛金控除を受ける場合は、小規模企業共済掛金払込証明書(控除証明書)を添付する必要があります。


今年(令和5年分)の年末調整から「小規模企業共済」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の控除証明が電子データで取得することができるようになりました。



(※毎月給与から差し引かれている場合は、証明書の添付は不要です。)

(小規模企業共済掛金払込証明書の見本)
小規模企業共済掛金払込証明書

勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合は、今まで通り「令和5年分・給与所得者の保険料控除申告書」の「小規模企業共済等掛金控除」欄に払込金額を記入するか、国税庁の年末調整ソフト(無料)を利用して作成した「令和5年分・給与所得者の保険料控除申告書」を勤務先に提出する必要があります。

<年末調整2023>令和5年分・保険料控除申告書の書き方を解説!


住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を受ける場合

これまで、年末調整で住宅ローン控除(2年目から)を受ける場合は「住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除申告書)」に必要事項を記入し「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(※)」を添付する必要がありましたが、令和3年の年末調整では、「住宅借入金等特別控除申告書(居住開始年月日が平成31年1月1日以降)」や「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(※)」は、電子データで取得・提出することができるようになってます。(ただし、勤務先が年末調整の電子化に対応している場合)

※金融機関が対応していない場合は、今まで通り原本を添付する必要があります。


(借入金の年末残高等証明書の見本)
借入金の年末残高等証明書 見本
出典:住宅金融支援機構


勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合や居住開始年が平成30年以前の場合は、今まで通り、住宅借入金等特別控除申告書に必要事項を記入(または国税庁の年末調整ソフトに手入力→プリントアウト)してから、「借入金の年末残高等証明書」を添付して勤務先に提出してください。

控除証明書を添付できない場合は?

会社は、翌年1月31日までに「保険料控除証明書」を提出することを条件に、その申告書に記載された保険料で控除額を計算して良いことになっています。


ただし、翌年1月31日までに証明書を提出しなかった場合は、年末調整の再計算をして、不足税額は2月1日以降に支給される給与から引かれることになりますので、紛失してしまった場合は、早めに再発行の手続きを取るようにしてください。

最後に

今年(令和5年)の年末調整の際に、電子データで取得・提出できる証明書は、「保険料控除証明書(生命保険料(新・旧)、個人年金保険料(新・旧)、介護保険料、地震保険料)」「住宅借入金等特別控除証明書(居住開始年月日が平成31年1月1日以降)」「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」です。

その他の書類や電子データで取得できなかった書類については、今まで通り書面(ハガキ等)で提出(提示)する必要があります。



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