年末調整のときに提出する<扶養控除等申告書>や<配偶者控除等申告書>で「非居住者である親族」を控除対象扶養親族として申告するときには、親族関係書類送金関係書類を添付することになっていますが、具体的にどんな書類を添付すればいいのか?わからない人もいると思います。

そこで、今回は「親族関係書類」と「送金関係書類」について、税務署で確認した内容をまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。

親族関係書類とは

年末調整 非居住者の親族関係書類

「非居住者である親族」がいる場合に添付する「親族関係書類」は、次の2点です。


  • 戸籍の附票(ふひょう)
  • 戸籍の附票とは、戸籍が作られてから現在に至るまでの住所が記載されてる書類です。

    日本から出国するときに転出先(外国)の住所を提出している場合は、その住所が戸籍附票上に記載されています。

    (戸籍の附票は、本籍地のある市区町村で発行することができます。)


  • パスポートのコピー
  • パスポートのコピーについては、顔写真が載っているページ出国日が記載(スタンプ)されている「査証」ページのコピーが必要です。

この2点をセットで提出してください。


ただ、いくつか疑問に思ったことがあったので、税務署の職員の方に聞いてみました。





そもそも戸籍の附票では、親族の確認はできないと思いますが、「親族関係の書類」ということで添付すればいいですか?

税務署の職員の回答:「はい、結構です。」




例えば、留学中に引っ越しをして、戸籍附票上の住所と最新の住所が異なる場合は、どうすればいいですか?

税務署の職員の回答:「パスポートで出国日と日本に帰国していないことが確認できるので、戸籍の附票とパスポートで大丈夫です。」

余談ですが、私が勤務している会社では、戸籍の附票と現住所が異なる場合、親族がその国の運転免許証を持っていれば「免許証のコピー」と「パスポートのコピー」を添付してもらうようにしていました(笑)。




給与所得者の扶養控除等申告書や配偶者控除等申告書の説明欄にある「親族関係書類」には、次のように記載されていますが、これはどのような場合に必要になりますか?

親族関係書類

税務署の職員の回答:「外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類は、非居住者である親族が外国人の場合に添付する書類です。」




「外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類」とは、具体的にどんな書類ですか?

税務署の職員の回答:「国や地域が発行する書類で、非居住者である親族の氏名、生年月日、住所が記載されているものです。日本の住民票のようなものです。」


Point!

外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類は、外国語で作成されているため、別紙に日本語訳(書かれている内容)を記載し、一緒に提出するようにしてください。

証明書の日本語訳は、全ての内容を翻訳する必要なく、どんな内容の証明書なのか?メモのような感じで良いそうです。

<別紙(日本語訳)の例>

この書類は、添付書類〇〇の日本語訳です。

(日本語に翻訳した内容を記載する。)

令和〇年〇月〇日 翻訳者の氏名 


続いて、送金関係書類について、確認していきましょう。

スポンサーリンク

送金関係書類とは

「送金関係書類」とは、生活費や教育費、医療費など、あなたが非居住者の親族へ支払ったことを証明する書類で、次のようなものを添付することになっています。

  • 海外送金依頼書の控え
  • 日本の銀行から海外へ送金するときに利用する書類です。

  • 通帳のコピー
  • 振込先が非居住者である親族になっている必要があります。

  • クレジットカードの利用明細書のコピー
  • 非居住者である親族が海外で利用した分の明細書です。



あなたの名義で「あなた名義の海外の銀行口座」へ送金している場合は、注意してください!

例えば、父親が日本から父親名義の外国のA銀行へ送金し、外国に住んでいるお子さんが、そのA銀行のキャッシュカードで現金を引き出している場合、送金先は「あなた⇒あなた」になってしまうので、「送金関係書類」を提出しても控除を受けることができません。


送金先は「あなた」⇒「非居住者である親族名義の口座」へ送金するようにしてくださいね。


実際によくある事例のようなので、注意してください。


令和5年分から新たに添付する書類

令和5年分以降、非居住者を扶養親族にする要件が次のように見直されたため、新たに添付する書類が必要になる場合があります。

非居住者を扶養親族とできるケース
  • 年齢16歳以上~30歳未満または70歳以上の非居住者
  • (平成7年1月2日から平成21年1月1日までの間に生まれた人、または昭和30年1月1日以前に生まれた人)


  • 年齢30歳以上~70歳未満(昭和30年1月2日から平成7年1月1日までに生まれた人)の非居住者で以下①~③のいずれかに該当する人

    ①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人

    ②障害者

    ③扶養控除の適用を受けよとする居住者から令和6年中において生活費または教育費に充てるための支払を38万円以上受けている人



※改正前は、16歳以上の非居住者を扶養親族にすることができましたが、改正後は30歳以上~70歳未満(昭和30年1月2日から平成7年1月1日までの間に生まれた人)の非居住者は、この①~③のどれかに当てはまらないと扶養親族(扶養控除の対象)にすることができないことになりました。



これを受け、<令和5年分・扶養控除等申告書>から「非居住者である親族」欄が変更になっています。今年の年末調整で提出する令和6年分・扶養控除等申告書↓も同様です。


令和6年 扶養控除等申告書 

新たに必要になる書類は?

  • 「留学」に該当する場合
  • 「留学ビザ等相当書類」として、次の①または②のいずれかの書類を扶養控除等申告書と一緒に提出してください。

    ①外国における査証(ビザ)に類する書類の写し

    ②外国における在留カードに相当する書類の写し


  • 「38万円以上の支払」に該当する場合
  • さきほどの「送金関係書類」の中で支払いを証明できる書類を年末調整の時期(令和6年の年末)に提出してください。


Check!

年末調整の電子化で提出方法が変わる?

令和2年から年末調整の電子化が実施されていますが、「親族関係書類」や「送金関係書類」は電子データで取得(提出)ができませんので、今まで通り、書面等で提示(提出)するようにしてください。


最後に

今回の「親族関係書類」については、税務署の職員の方も答えられる人が少なく、何度も問い合わせてしまいました。

最終的に、詳しい職員の方に確認することができましたが、基本的に「戸籍の附票とパスポートのコピー」の2点セットで良いということでした。



スポンサーリンク