今回は、今年(令和5年)の年末調整のときに会社に提出する「令和5年分・給与所得者の保険料控除申告書」の「社会保険料控除」欄の書き方を記入例付で解説します。
この記事では、社会保険料控除の対象になる保険料や、控除を受けるときに添付する書類なども確認することができますので、よろしければ参考にしてみてください。
※令和2年から年末調整の電子化がスタートしていますが、勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合は、今年(令和5年)も「書面」で提出する必要があります。
社会保険料控除とは
社会保険料控除とは、あなたが「あなた本人の社会保険料を支払った場合」や「あなたが配偶者や子、その他親族の社会保険料を支払った場合」に受けられる控除です。
ただし、あなたの給与から天引きされている社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料など)は、会社側で計算しているため、「社会保険料控除」欄へ記載する必要はありません。
つまり、あなたが、あなたの給与から天引きされていない社会保険料(配偶者や子、その他の親族を含む)を支払った場合に記載します。
給与からから天引きされていない社会保険料とは、具体的にいうと次のような保険料です。
<記入対象者の例>
・年の途中で就職した人で、就職するまでの間、国民年金(国民年金基金)と国民健康保険に加入していた場合
・国民年金の免除や猶予などを受けていて、その年に後納・追納した場合(未納分を時効前に支払った場合も含む)
・あなたがお子さんの国民年金や国民健康保険料を支払っている場合
・あなたが父母の国民年金や国民健康保険料を支払っている場合
▶<年末調整>親の国民健康保険料は社会保険料控除欄に記載していいの?
支払った社会保険料は全額控除されますので、該当するものがある方は、次の申告書の記入方法をご確認ください。
<令和5年分>給与所得者の保険料控除申告書
「社会保険料控除」は、<令和5年分>給与所得者の保険料控除申告書のこちら↓へ記載することになっています。
「社会保険料控除」欄の記載方法
それでは、「社会保険料控除」欄にある①~⑥の記載方法を解説していきます。
①社会保険の種類
支払った社会保険料の種類を記載します。
例、「国民健康保険」「国民年金」「国民年金基金」など。
②保険料支払先の名称
- 国民健康保険料(税)の場合⇒「市区町村名」
- 国民年金の場合⇒「日本年金機構」
- 国民年金基金の場合⇒「〇〇国民年金基金」
③保険料を負担することになっている人の氏名
- あなた自身の社会保険料を控除する場合⇒「あなた本人の氏名」
- 配偶者や親族の社会保険料を控除する場合⇒「その人の氏名」
④あなたとの続柄
- あなた自身の社会保険料を控除する場合⇒「本人」
- 配偶者や親族の社会保険料を控除する場合⇒「父・母・子」など。
⑤あなたが本年中に支払った保険料の金額
- 国民健康保険料(税)の場合⇒「実際に支払った金額 + 12月中までに支払う見込額」
- 国民年金の場合⇒「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書に記載されている金額」
- 国民年金基金の場合⇒「社会保険料控除証明書の合計金額」(12月までに払い込まれる予定金額を含む)
国民健康保険料(税)には、控除証明書が発行されないため、納付書払いの場合は、納付書の控えを計算し、合計金額を記載してください。
口座振替の場合は、通帳または市区町村から送られくる納付証明書等の金額を確認して記載するようにしてください。
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の納付済保険料の証明額または合計額(納付済額+見込額)となります。
⑥合計(控除額)
そのまま合計額を記入してください。
社会保険料控除は、生命保険控除や地震保険控除と違い、支払った保険料の全額が控除されるため、複雑な計算はありません。
「社会保険料控除」欄の記入例
これで記入は完了です!
添付書類を確認
年末調整で社会保険料控除の適用を受ける場合は、その保険料を支払ったことを証明する書類を添付する必要があります。
- 国民健康保険料(税)の場合⇒「添付不要※」
- 国民年金の場合⇒「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」
- 国民年金基金の場合⇒「社会保険料控除証明書」
※国民健康保険の場合は「保険料控除証明書」が発行されないため、基本的には添付書類は不要となっていますが、会社によっては国民健康保険の納付証明書や納付書の控えを添付する場合がありますので、会社の指示に従ってください。
社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発送は、毎年10月下旬~11月上旬に日本年金機構より発送されることになっています。
まだ届いていない!失くしてしまった!という方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶社会保険料(国民年金保険料)控除証明書が届かないときの対処法!
令和2年から年末調整の電子化がスタートしていますが、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は、電子データで取得することができないため、今まで通り書面(ハガキ等)の「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を提出(提示)してください。
会社は、翌年1月31日までに「保険料控除証明書」を提出することを条件に、その申告書に記載された保険料で控除額を計算して良いことになっています。
ただし、翌年1月31日までに証明書を提出しなかった場合は、年末調整の再計算をして、不足税額は2月1日以降に支給される給与から引かれることになりますので、失してしまった方は、早めに再発行の手続きを取るようにしてください。
最後に
令和2年から年末調整の電子化がスタートしています。勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合は、今まで通り申告書を記入することになりますが、国税庁からリリースされている「年末調整ソフト」を使って作成した申告書データをプリントアウトして提出することも可能です。
年末調整ソフトに住所・氏名等、あなたの情報を入力してから「社会保険料控除証明書内容の入力」に保険料等の情報を入力するだけで、書面印刷用の申告書を作成することができますので、PCやスマホ操作に慣れている方は、ぜひ活用してみてください。