私の職場でも「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」の申請準備を進めていますが、助成金の支給要件がイマイチわからない…という方もいると思います。
そこで今回は、助成金の支給要件について、厚生労働省から発表された支給要件の内容を噛み砕いてまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。
また、2020年4月1日以降に取得した休暇の1日あたりの上限額が8,330円から15,000円に引き上げられることになりましたので、こちらについても追記しています。
新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金の条件
私の職場でも、休校期間中のお子さんの面倒をみるため、会社を休んでいる方がいますが、その方たちからよくある質問が「休んでいる期間中の助成金はどのように申請すればいいのか?」です。
同じような疑問をお持ちの方もいると思いますので、まず「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」制度の内容について、簡単におさらいしておきたいと思います。
2020年3月2日から新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、小学校や幼稚園などが臨時休校(休園)になり、会社勤めの方の中には、お子さんの面倒を見る必要があるため、働きたくても働けない状態になってしまいました。
そこで政府は、会社に対して「お子さんの面倒をみるため会社を休む従業員には、特別に(年次有給休暇とは別に)有給休暇を取得させ、その従業員に対して(年次有給休暇を取得したときと同等の)賃金を払ってください!!その従業員へ支払った賃金は、助成金(従業員1人につき1日最大8,330円※)という形で会社に支給しますので!」と呼びかけました。
(※2020年4月1日以降の休暇については、1日あたり15,000円まで引き上げられることになりました。)
つまり、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」は、従業員(個人)に対して支給されるものではなく、対象になる従業員に有給休暇を取得させ、賃金を支払った会社へ支給される助成金となりますので、従業員が個人で手続きをすることはありません。(※個人事業主、フリーランス向けの支援金制度もあります。)
それでは、「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」の支給条件を確認していきましょう。
「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」は、次の①~⑤全ての条件をクリアしている会社が対象となります。
条件①
雇用保険適用事業所の事業主または、労働者災害補償保険適用事業所の事業主であること
まず、今回の「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」が申請できるのは、「雇用保険に加入している会社」または「労災保険に加入している会社」です。(その他、農政事務所などが発行する「農業等個人事業所に係る証明書」がある事業主も申請可能です。)
条件②
雇用する労働者の申し出により、令和2年2月27日から令和3年2月末日までの間に、以下ア・イ・ウのいずれかに該当する有給休暇を取得させたこと
ア.新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子どもの世話を保護者として行うため
(新型コロナウイルス感染の拡大を防ぐため、小学校や幼稚園などが臨時休校(休園)になり、そのお子さんの面倒を見るために従業員に有給休暇を与えた場合)
イ.新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など感染したおそれのある、小学校等に通う子どもの世話を保護者として行うため
(新型コロナウイルスに感染してしまったお子さんや、親族などに感染した方がいて、その方と濃厚接触者であるお子さんの面倒を見るために従業員に有給休暇を与えた場合)
ウ.医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子どもの世話を保護者として行うため
(※令和2年4月1日以降追加されました。)
この条件にの中にある「小学校等」・「保護者」については、下記を参考にしてみてください。
その他、非正規雇用(派遣・有期・パート)の労働者でも対象になります。(※個人事業主、フリーランス向けの助成金については、別途制度が用意されています。)
ここでのポイントは、令和2年2月27日から令和3年2月末日までの間に会社が与えた有給休暇分が助成金の対象となりますので、抑えておいてください。(※対象期間が延長されました。)
春休みなど元々の休校日や閉園日は有給休暇に含めないことになっていますが、春休み中でもお子さんが風邪をひいてお子さんの面倒を見るために有給休暇を取得した場合は(令和2年2月27日から令和3年2月末日までの間であれば)助成金の対象となります。(条件①のイに該当)
また、春休み中に学童やその他の施設に預ける予定で、その学童や施設がコロナウイルス感染拡大防止対策等で休みになる場合は、(子どもの面倒を見る必要があり、有給休暇を取得した場合)助成金の対象となります。
休暇日数に上限はある?
2月27日~令和3年2月末日までの期間中であれば、休暇日数に制限はありません。
条件③
有給休暇は、労働基準法第39条の規定による年次有給休暇として与えられるものではないこと
会社は、対象になる従業員へ「年次有給休暇」とは別の「有給休暇」を与える必要があるという意味ですね。(私の職場では「特別有給休暇」と呼んでいます。)
また、この「有給休暇」は「年次有給休暇」がない(使い切った)方も利用できるようにする必要があります。
年次有給休暇から(事後的に)今回の有給休暇へ振り替えた場合も(従業員に説明の上、同意を得れば)助成金の対象になります。
条件④
有給休暇は、年次有給休暇の場合と同等の賃金が支払われるものであること
こちらは、先ほどの「有給休暇(特別有給休暇)」に対しても、本来「年次有給休暇」を取得した時に支払う賃金額(全額)を支払う必要があるという意味になります。
つまり、今回の助成金の支給額は「1人につき1日上限8,330円」となっていますので、8,330円以上の賃金を支払う場合、オーバーした分は会社負担となります。
(※2020年4月1日以降の休暇については、1日あたりの上限が15,000円まで引き上げられることになりました。)
となると、「有給休暇の賃金を上限8,330円に設定すれば損しない?」と考える方もいると思いますが、条件には「年次有給休暇の場合と同等の賃金を支払う必要がある」ため、この対応をしてしまうと助成金の対象から外れることになりますので、注意してください。
条件⑤
有給休暇を取得した労働者が、申請日時点において1日以上は勤務したことのある労働者であること
こちらは不正受給を防止するためですね。
以上①~⑤が「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金」の支給条件となります。
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最後に
今回の記事の内容で分かるとおり、会社側が、休校等でお子さんの面倒を見る必要がある保護者(従業員)に特別な有給休暇を与え、年次有給休暇と同額の賃金を支払っていれば、今回の助成金の条件は、ほぼクリアしていることになります。
しかし、実際には「年次有給休暇と同額の賃金なんて払えない!」という経営者の方も多く、今後は従業員が直接休業手当を申請できる制度が創設されますので、よろしければ、こちらの記事も参考にしてみてください。
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