今回は、働きながら年金(在職老齢年金)をもらう場合、年金はいくら減額されるのか?減額後の年金額の調べ方を解説していきます。
「定年後は働きながら年金を受給する」という方も多いと思いますので、調べている方がいたら参考にしてみてください。
※令和4年4月から在職老齢年金制度の一部が変更になりましたので、記事の内容を更新しています。
在職老齢年金とは
60歳以上の方で老齢厚生年金を受け取る権利がある人が、勤務先で社会保険に加入すると、会社からもらう給料・ボーナスに応じて年金が減額される仕組みになっています。
これを「在職老齢年金制度」といい、定年後も(社会保険に加入して)働きながら年金を受給する場合は、減額された年金「在職老齢年金」が支給される場合があります。
社会保険に加入しなければok?
確かに、社会保険に加入しなければ、年金が減額されることはありませんが、社会保険の加入要件を満たしているのに加入しないで働くというのはNGです!
▶<定年後の再就職>社会保険に未加入で年金満額受給がバレたらどうなる?
年金が減額されない働き方については、こちらで解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
▶年金受給者のパート・アルバイトはok?年金が減額されない働き方を確認
令和4年4月から在職老齢年金制度の一部が変更されています!
これまで、60歳~64歳の方は月給+賞与の1ヶ月分+年金(特別支給の老齢厚生)の1ヶ月分の合計が「28万円」を超えると年金が減額されていましたが、令和4年4月からは、65歳未満の方も65歳以上の方と同じように、月給+賞与の1ヶ月分+年金(特別支給の老齢厚生)の1ヶ月分の合計が「47万円」を超えない場合は年金額の支給停止は行われず、「47万円」を上回る場合に年金額の全部または一部が支給停止されることになりました。
このように年金を受け取りながら働く方にとっては、うれしい改正となっていますが、今回の改正の対象になるのは60歳~64歳の間に年金を受け取る一部の方となりますので、多くの方に恩恵がある改正ではないということになります。
令和4年6月の支払いから、法改正後の年金となります。令和4年4月支払いの年金が増えるわけではありませんので、注意してください。(※この改正での手続きは不要です。自動的に変わります。)
では、在職老齢年金の調べ方について、解説していきます。
在職老齢年金制度によって減額された後の年金額の調べ方
在職老齢年金制度によって減額された後の年金受給額(月額)を調べるには、まず「基本月額」と「総報酬月額相当額」を確認する必要があります。
「基本月額」とは、年金(年額)を月額に直したものですが、加給年金は除きますので、以下の計算式で求めます。
基本月額=加給年金を除いた年金(年額)÷12
(※共済組合にも加入していた方は、各制度の年金を合算して計算します。)
続いて、「総報酬月額相当額」についてですが、こちらは「月給」になります。ただし、この月給にはその月以前1年間のボーナスを12等分した額(賞与1ヶ月分)も加えて計算しますので、計算式は次のようになります。
総報酬月額相当額=月給+その月以前1年間のボーナスを12等分した額(賞与1ヶ月分)
(※正確にいうと、月給は「標準報酬月額」で計算を行いますが、ここでは省略しています。)
それでは、計算方法を解説していきます。
まずは早見表を使った調べ方から解説していきます。
早見表を使って調べる方法
下記の早見表を使うと、おおよその年金受給額(月額)を確認することができます。
<早見表の見方>
この表は、おおよその年金受取額(月額)を表しています。
例えば、基本月額(一ヶ月の年金額)が110,000円で、総報酬月額相当額(給料+12等分したボーナス)が400,000円だった場合は、「約90,000円」の年金を受け取ることになります。つまり、約2万円の年金が減額されるということになります。
※色が付いている部分は、働いても年金が減額されない部分です。
続いて、計算式を使って減額後の年金受給額(月額)を調べる方法を解説していきます。
計算式を使って調べる方法
減額後の年金の受給額(月額)を計算する場合は、次の計算式を使って求めます。
①基本月額と総報酬月額相当額(※)の合計額が47万円以下のとき
年金は全額支給されます。(支給停止額は0円です。)
※70歳以上の方は、厚生年金に加入しないため、標準報酬月額に相当する額、標準賞与額に相当する額となります。
②基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えるとき
年金受給額(月額)=基本月額 -(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2
つまり、月給+賞与の1ヶ月分+年金の1ヶ月分の合計額が47万円を超えると、超えた額の半分の年金が支給停止されることになります。
▶高年齢雇用継続給付を受けると年金はいくら減る?調べ方と計算方法を解説
最後に
在職老齢年金を計算するときには、直近1年間のボーナスを入れて計算するため、定年退職後に再雇用され給料が大幅に下がった場合でも、直近1年間のボーナスが高い場合は、その高いボーナスで計算されるため、年金が大幅に減額されるというケースがあります。