今回は、令和5年分・保険料控除申告書の「生命保険料控除」欄の書き方と保険会社の自動計算ツールを使って簡単に控除額を計算する方法を解説します。
勤務先が年末調整の電子化に対応している場合は「保険料控除申告書」をデータのまま提出することができますが、勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合は、今まで通り「給与所得者の保険料控除申告書」に記入して提出する必要がありますので、記入方法を調べている方がいたら、ぜひ参考にしてみてください。
(※国税庁からリリースされている「年末調整ソフト」を利用して作成したデータをプリントアウトして提出することも可能です。)
<令和5年分>給与所得者の保険料控除申告書「生命保険料控除」欄の書き方
今年(令和5年)の「生命保険料控除」は、下記の<令和5年分>給与所得者の保険料控除申告書へ記載します。
この「生命保険料控除」欄には、下記のように「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つにわかれていますので、それぞれ順番に解説していきます。
「一般の生命保険料」の記入方法
まず、「一般の生命保険料」の記入方法から確認していきましょう。
こちらは、保険会社から郵送されてくる「保険料控除証明書」を見ながら、申告書へ転記していきます。
下記の画像は、オリックス生命保険の「保険料控除証明書」から保険料控除申告書へ転記する例です。
基本的には、「保険料控除証明書」の通りに記入すれば問題ありませんが、私の勤務先で多い質問をまとめましたので、参考にしてみてください。
<記入のポイント!>
保険会社の名称
記入欄に書ききれない場合は、省略してもokです。
保険金等の受取人の氏名
契約者はあなたでも被保険者や保険金の受取人が親族などの場合は、その親族の氏名を記入してください。
あなたとの続柄
契約者(あなた)との関係「本人・妻・夫・父・母など」を記入してください。
新・旧の区分
「新」・「旧」どちらか該当するものに〇を付けてください。
【旧制度】契約日が平成23年12月31日以前
【新制度】契約日が平成24年1月1日以後
あなたが本年中に支払った保険料の金額(分配を受けた剰余均等の控除後の金額)
本年中の保険料額を記載しますので、「12月末時点の申告予定額※」を記入してください。(※保険会社ごとに呼び名が異なります。)
その他の「生命保険料控除証明書」をお持ちの場合は、同様に記入してください。
契約者が配偶者や扶養親族の場合であっても、あなたが保険料を負担している場合は、控除の対象となりますので、こちらに記入してください。
(例)
契約者が「妻」で保険金の受取人が「あなた(本人)」の場合や、契約者が「息子」で保険金の受取人が「息子」の場合など、あなた本人が保険料を負担している場合は、こちらに記入することができます。
このときの「保険金等の受取人」の「あなたとの続柄」は、保険料を負担している「あなた(本人)」と「保険金等の受取人」の続柄を記入してください。
(例)
契約者が「妻」で保険金の受取人が「あなた(本人)」の場合→「あなたとの続柄」は「本人」
契約者が「息子」で保険金の受取人が「息子」の場合→「あなたとの続柄」は「子」
となります。
一般の生命保険料控除額については、このあと自動計算ツールで計算しますので、ここで一旦記入をストップしてください。
続いて、「介護医療保険料」の記入方法を確認していきましょう。
「介護医療保険料」の記入方法
下記の画像は、「セコム損害保険」の保険料控除証明書から保険料控除申告書へ転記する例です。
<記入のポイント!>
保険会社の名称
記入欄に書ききれない場合は、省略してもokです。
保険金等の受取人の氏名
契約者はあなたでも被保険者や保険金の受取人が親族などの場合は、その親族の氏名を記入してください。
あなたとの続柄
契約者(あなた)との関係「本人・妻・夫・父・母など」を記入してください。
※介護医療保険料控除は、平成24年から新設されたため、旧・新の区分はありません。
あなたが本年中に支払った保険料の金額(分配を受けた剰余均等の控除後の金額)
本年中の保険料額を記載しますので、「本年12月迄のお支払予定額※」を記入してください。(※保険会社ごとに呼び名が異なります。)
その他の「生命保険料控除証明書(介護医療分)」をお持ちの場合は、同様に記入してください。
(※契約者が配偶者や扶養親族の場合であっても、あなたが保険料を負担している場合は、控除の対象となりますので、こちらに記入してください。)
介護医療保険料の控除額については、このあと自動計算ツールで計算しますので、ここで一旦記入をストップしてください。
続いて、「個人年金保険料」の記入例を確認していきましょう。
「個人年金保険料」の記入方法
個人年金保険料も先ほどと同様に保険会社から送られてきた「保険料控除証明書」を見ながら、保険料控除申告書へ転記してください。
<記入のポイント!>
保険会社の名称
記入欄に書ききれない場合は、省略してもokです。
保険金等の受取人の氏名
契約者はあなたでも年金受け取り人が親族などの場合は、その親族の氏名を記入してください。
あなたとの続柄
契約者(あなた)との関係「本人・妻・夫・父・母など」を記入してください。
新・旧の区分
「新」・「旧」どちらか該当するものに〇を付けてください。
【旧制度】契約日が平成23年12月31日以前
【新制度】契約日が平成24年1月1日以後
あなたが本年中に支払った保険料の金額(分配を受けた剰余均等の控除後の金額)
本年中の保険料額を記載しますので、「本年12月迄のお支払予定額※」を記入してください。(※保険会社ごとに呼び名が異なります。)
その他の「生命保険料控除証明書(個人年金保険料)」をお持ちの場合は、同様に記入してください。
個人年金保険料の控除額については、このあと自動計算ツールで計算しますので、ここで一旦記入は終了です。
自動計算ツールで「生命保険料控除額」を計算!
ここでは第一生命の「生命保険料控除額計算サポートツール」を使い、生命保険料控除額を一括で自動計算する方法をご紹介します。
まず、先ほど「保険料控除証明書」から転記した保険料控除申告書を用意します。
次に、第一生命の「生命保険料控除額計算サポートツール」を開き、「一般の生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」にそれぞれの金額を入力します。このとき「新制度」「旧制度」を間違えないようにしてくださいね。
まず、「旧制度」があれば、下記の画像のように金額を入力します。
すると、自動的に保険料が計算された下記の画像が表示されます。
あとは、赤枠内に表示されている金額のとおり「保険料控除申告書」へ転記すれば、「生命保険料控除」の記入は完了です!
「生命保険料控除」は、控除額に上限があるので計算が必要ですが、保険会社が用意している自動計算ツールを使えば面倒な計算をする手間が省けるだけでなく間違えも減ると思いますので、ぜひ活用してみてください。
令和2年から年末調整の電子化がスタートしています!
勤務先が年末調整の電子化に対応している場合
今まで保険会社や金融機関などからハガキ等の書面で送られてきた「生命保険料・個人年金保険料・介護医療保険料・地震保険料控除証明書」は、電子データで取得できるようになり、データのまま勤務先に提出できるようになりました。(年末調整ソフトに電子データを取り込むだけで、控除額の計算は自動で行われます。)
ここでは、国税庁からリリースされている「年末調整ソフト(無償)」を利用した場合の電子データの取得方法をご説明します。
<国税庁の年末調整ソフトの場合>
具体的な手順は、次の①~③です。
今年(令和5年)、電子データで取得・提出できる証明書は、「保険料控除証明書(生命保険料(新・旧)、個人年金保険料(新・旧)、介護保険料、地震保険料)」「住宅借入金等特別控除証明書(居住開始年が平成31年以後のみ)」「年末残高等証明書(居住開始年が平成31年以後のみ)」です。
その他の書類については、今まで通り書面(ハガキ等)で提出(提示)する必要がありますので、注意してください。
勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合
今まで通り「書面」で申告する必要がありますので、「令和4年分・給与所得者の保険料控除申告書」に必要事項を手書きで記入(※)して、各種保険料控除証明書を添付して提出してください。
※国税庁からリリースされている年末調整ソフト(無償)を利用して作成した「令和3年分・給与所得者の保険料控除申告書」をプリントアウトして勤務先に提出することも可能です。
<国税庁の年末調整ソフトの場合>
(年末調整ソフトに住所・氏名等、あなたの情報を入力してから)「生命保険料控除証明書内容の入力」に保険料等の情報を入力するだけで書面印刷用データを作成することができます。
年末調整ソフトを利用して作成したデータをプリントアウトすると↓の様式となりますが、この様式のまま提出してokです。
最後に
国税庁からリリースされている「年末調整ソフト」を利用する場合は、あなたの情報を入力してから「社会保険料控除証明書内容の入力」に保険料等の情報を入力するだけで、書面印刷用の申告書を作成することができますので、PCやスマホ操作に慣れている方は、ぜひ活用してみてください。