勤労学生控除は、働きながら学校に通っている学生さんを対象にした税金の軽減制度で、一定の手続きをすることで所得金額から38万円(基礎控除)の他に27万円を差し引くことができます。

そこで今回は、勤労学生控除を受けるための条件、年末調整のときに提出する「平成31年分・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の書き方をまとめてみましので、よろしければ参考にしてみてください。

今年(令和5年)の年末調整で提出する「令和6年分給与所得者の扶養控除等申告書」の記入方法については、こちらの記事を参考にしてみてください。

<勤労学生の申告方法>令和6年分・扶養控除等申告書の書き方と記入例

勤労学生控除とは

勤労学生 年末調整 書き方

勤労学生控除とは、働きながら学校に通っている学生さんを対象にした税金の軽減制度で、次の3つの要件すべてに該当する場合、所得金額から基礎控除38万円の他に27万円を差し引くことができます。

勤労学生控除を受けるための条件

①学校についての条件

特定の学校の学生、生徒であること

「特定の学校」については国税庁HPで確認することができます。


②所得の種類についての条件

給与所得など勤労による所得があること

勤労学生控除は、本人の勤労に基づいて得た所得(事業、給与、退職、雑所得)が対象になるため、配当や不動産所得など、本人の勤労に基づいていない所得のみという場合は、控除を受けることができませんので注意してください。


③所得金額についての条件

合計所得金額が65万円以下で、勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること

この合計所得金額とは、給与収入のみの場合は給与収入から給与所得控除(65万円)を差し引いた金額なので、130万円までということになります。

また、勤労に基づく所得以外の所得10万円以下とは、FXや株、オークションの利益などが対象です。


まとめると、学生でアルバイトなどをしている方は、その給与の年収が130万円以下であれば、勤労学生控除を受けるとことができるというこです。

では、ここで勤労学生控除を受けなかった場合と受けた場合の所得税を比較して、どれくらい節税できるのか?確認してみましょう。

例えば、アルバイト収入が年130万円だった場合


<勤労学生控除を受けないときの所得税>

130万円(給与収入)-65万円(給与所得控除)=65万円(所得金額)

65万円(所得金額)-38万円(基礎控除)=27万円(課税所得金額)

課税される所得金額は27万円となります。

この27万円に税率を掛け、所得税は13,700円(復興特別所得税含む)となります。

勤労学生控除 計算1



<勤労学生控除を受けたときの所得税>

130万円(給与収入)-65万円(給与所得控除)=65万円(所得金額)

65万円(所得金額)-38万円(基礎控除)-27万円(勤労学生控除)=0円(課税所得金額)

課税される所得金額は0円となりますので、所得税も0円ですね。

勤労学生控除 計算

このように勤労学生控除を受けると、課税される所得金額から27万円を差し引くことができるため、所得税の負担を減らすことができます。

ただし、ここで注意が必要なのは「所得税が課税されなくても、扶養控除は対象外になる」という点です。


現在、父や母の扶養に入っている方は、注意が必要です。

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勤労学生控除と扶養控除の関係

私の勤務先でも「子どものアルバイト収入が103万円を超えると扶養から外れると聞くけど、学生の場合130万円以下なら勤労学生控除が受けられる(所得税は0円になる)から扶養からは外れないで済むんだよね?」という質問を受けることがあります。


同じような疑問をお持ちの方もいると思いますので、簡単に説明します。

まず、「103万円」についてですが、これは「扶養控除(父の税金)」の話で、お子さんのアルバイト(給与)収入が103万円(給与所得38万円)以下の場合は、父の所得から38万円(19歳~22歳までの学生の場合は63万円)を差し引くことができます。


一方、「130万円」というのは、「お子さん(本人)の税金」の話で、お子さん(学生)のアルバイト(給与)収入が130万円(給与所得65万円)以下の場合は、お子さん本人の所得から27万円(勤労学生控除)を差し引くことができます。


つまり、お子さん(学生)のアルバイト収入が103万円を超えた場合、お子さんは扶養控除対象外となりますので、父の所得から38万円(19歳~22歳までの学生の場合は63万円)を差し引くことはできませんが、お子さん本人の所得からは27万円(勤労学生控除)を差し引くことができるということです。


なので、「勤労学生控除を受けて税金が0円だから、扶養に入っている!」という考えは×ですね!

一般的に大学生の場合は「特定扶養親族(19歳~22歳まで)」に該当するため、親は63万円の控除を受けることができます。(一般の扶養親族の控除額38万円です。)


この特定扶養親族控除が受けられないと親の税金負担が大きくなってしまうので、月8万円以上収入がある方は注意してくださいね。



「勤労学生控除」はどうやって受けれればいいの?


勤労学生控除を受けるためには、手続きが必要です!


ここでは、年末調整をする方の申告方法を解説していきます。(年末調整をしない場合は、確定申告となります。)

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年末調整で勤労学生控除を申告する方法

年末調整の際に勤労学生控除を受ける場合は、下記の「<平成31年分>給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の①と②に必要事項を記入して会社(アルバイト先)へ提出します。

平成31年 扶養控除等申告書 勤労学生


①本人の情報を記入する

勤労学生 書き方

「税務署長」:会社の所在地を管轄する税務署名を記入します。

「市区町村長」:お住まいの市区町村名を記入します。

「あなたの個人番号」:会社によっては記入しない場合がありますので、勤務先の指示に従ってください。


②「C障害者、寡婦・寡夫又は勤労学生」の欄の記入方法

年末調整 勤労学生 書き方

まず、勤労学生に✔を入れます。


勤労学生控除 書き方
左記の内容には、次の内容を記入します。

・学校名

・入学年月日

・所得の種類

・所得の見積り額

「所得の見積額」は、平成31年中の所得の見積額を予想して記入します。


ただし、所得の見積額は年収ではないので注意してくださいね。


所得額は、給与収入のみの方の場合、給与収入から給与所得控除を引いた金額となります。


所得の見積額の計算方法は、こちらの記事(給与所得の見積額)で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
<所得の見積額>年金と給与、両方もらっている場合の記載方法を解説

Point!
「異動月日及び事由」は、平成31年中に変更があった場合に記入する箇所なので、年末調整のときには記入不要です。

以上で、記入は完了です!


あとは、勤労学生を証明する書類を添付して会社(アルバイト先)へ提出してください。

<令和2年版>年末調整で添付書類が必要なケースと証明書類を確認!

まとめ

今回の勤労学生控除は、学生で年収130万円以下の方が受けられる控除ですが、親の扶養に入っている方が年収103万円を超えてしまうと、親が扶養親族控除を受けることができず、世帯トータルで考えると税額が増える可能性が高くなりますので、注意してください。

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