ハローワークには雇用保険に加入していない場合でも、失業手当のように毎月一定の給付金を受け取ることができる制度があるのをご存知ですか?

この制度は「求職者支援制度」といって、職業訓練を受ければ、毎月一定の給付金(職業訓練受講給付金)をもらうことができるお得な制度です。

そこで、今回は求職者支援制度の職業訓練受講給付金について、支給条件や支給金額、申込方法から職業訓練受講給付金を受け取るまでの流れなどをまとめてみました。

「退職したけど失業手当がもらえない…」「失業手当をもらっている期間に就職が決まらなかった…」という人でも、条件に合えば利用することができる制度なので、よろしければ参考にしてみてください。

求職者支援制度の対象者

ハローワークでもらえるお金
まず、求職者支援制度は、「どのような人が利用できる制度なのか?」を確認していきましょう。


<求職者支援制度の対象者>

  • 雇用保険に加入できなかった人
  • 雇用保険の加入期間が足りず、失業手当をもらうことができなかった人
  • 失業手当の受給中に再就職できず、受給終了になった人
  • 自営業で廃業した人
  • 学校を卒業後、就職できなかった人



雇用保険に加入できなかった人や、失業手当をもらいきっても就職が決まらなかった人は、是非活用したい制度ですね。


もちろん、現在、無職の人や専業主婦の人も対象になりますので、かなり幅広い層が対象になっています。

雇用保険は過去にさかのぼって加入することができます!

雇用保険の加入条件を満たしているのに、会社が雇用保険に加入してくれなかったため、失業手当の申請ができないという方がいたら、こちらの記事をチェックしてみてください。

雇用保険に未加入!過去にさかのぼって加入して失業手当を全額もらう方法

職業訓練受講給付金は月々いくらもらえるの?

次に、職業訓練受講給付金はいくらもらえるのか?気になりますよね。


職業訓練受講給付金は10万円(+交通費)です。


これは、訓練受講期間中(訓練開始日から1ヶ月ごとに区切り)、月1回「10万円+交通費」が、訓練コース受講終了まで支給されることになっています。


求職者支援制度は、職業訓練の受講料も無料(教材費は自己負担)で、次の就職に向けてスキルアップをしながら毎月10万円が支給されるという、ありがたい制度です。


ただし、職業訓練受講給付金は、求職者支援制度の対象者に当てはまればすべての人がもらえるという訳ではありません。職業訓練受講給付金をもらうには、いくつかの条件がありますので、次の項目で確認していきましょう。

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職業訓練受講給付金の支給条件

「職業訓練受講給付金」をもらうためには、以下の条件をすべてクリアする必要があります。

  • 本人収入が月8万円以下
    収入とは、税引前の給与などを指します。(通勤手当は収入としてカウントされないことになりました。)

  • 世帯全体の収入が月25万円以下(年300万円以下)
    世帯は、同居または生計を一つにする別居の配偶者、子、父母も対象で、「源泉徴収票などの所得証明書で前年の収入が300万円以下」であることの確認が行われます。(通勤手当は収入としてカウントされないことになりました。)

  • 世帯全体の金融資産が300万円以下
    こちらも申請者本人や同居配偶者などの通帳、その他、ハローワークから提出を求められたもので審査が行われます。

  • 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない

  • 全ての訓練実施日に出席
    病気やケガなど、やむを得ない理由がある場合は8割以上出席すればokです。

  • 同世帯で同時に職業訓練受講給付金を受給している人がいない

  • 過去に職業訓練受講給付金を受給したことがある場合は、前回の受給から6年以上経過している
    ※緊急人材育成支援事業の「訓練・生活支援給付金」は該当しません。



現在、収入が少なく本当に生活に困っていてる人が対象となりますので、貯金や資産がある人は対象外です。

職業訓練の申込方法と職業訓練受講給付金を受け取るまでの流れ

それでは、求職支援制度の申請方法と職業訓練受講給付金の受給方法を確認していきましょう。


求職支援制度は、「訓練受講の手続き」と「職業訓練受講給付金手続き」があります。今回は同時に手続きの流れを確認できるように次の①~⑥にまとめてみました。


①ハローワークで求職申込手続き

まず、ハローワークの窓口で求職者支援制度の説明を受け、職業訓練受講給付金の受給を希望することを伝えます。


②訓練コースを選択する

求職者支援制度の説明と同時に、自分が希望する訓練コースを選択します。


このとき、就職活動の状況や訓練コース受講の必要性などについて聞かれますので、事前に答える内容(職業訓練を希望する目的など)を準備しておきましょう。


訓練が必要でないと判断されると訓練コースの受講申込みができないことがありますので、注意してください。


<職業訓練受講給付金の手続き>
ここでは、職業訓練受講給付金の事前審査の説明を受け、職業訓練受講給付金の審査に必要な書類等を受け取ります。


③訓練コースの申込み

希望した訓練コースの受講申込書を記入し、ハローワークの窓口に提出します。


次に、提出した書類にハローワークの受付印を押してもらい、受付印の押された申込書一式を訓練を実施する機関に自分で提出(郵送)します。


<職業訓練受講給付金の手続き>
訓練コースの申込と同時に、ハローワークの窓口で職業訓練受講給付金の事前審査を申請します。(※後日、事前審査を申請することもできますが、手続きが遅れると支給が遅れたり、給付金がもらえない場合もありますので、このタイミングで申請することをおすすめします。)


職業訓練受講給付金の事前審査には、以下の書類が必要となります。

  • 住民票 原本(直近3ヶ月以内に発行されたもので、続柄が記載されているもの)
  • 申請日の前月分の収入証明(給与明細など)
  • 前年の収入証明(源泉徴収票や課税証明書など)
    同居または生計を一つにする配偶者や父母がいる場合は世帯全員分の収入証明が必要です。
  • 預金通帳(申請日に残高が50万円以上あるものは全て)
    同居または生計を一つにする配偶者や父母がいる場合は世帯全員分の通帳が必要です。
  • 通帳(給付金の受取先の口座情報がわかるもの)
  • 本人確認書類(※)

※本人確認書類については、顔写真付きの身分証明書(運転免許証・パスポート・個人番号カード・在留カード・特別永住者証明書・身体障害者手帳など)をお持ちの方はいずれか1点。


顔写真付の身分証明書を持っていない人は、(健康保険証・年金手帳・介護保険被保険者証・社員証・学生証・母子手帳など)のうちいずれか2点必要です。


④訓練コースの実施する機関で選考

訓練コースを実施する機関で面接や筆記試験などを行います。


筆記試験の内容については、訓練コースによっても異なりますが、中学生レベルの国語や数学が多いようです。訓練コースのパンフレットに前年の試験内容等が記載されている場合がありますので、事前によく確認するようにしてください。


筆記試験の目的は、毎日の授業についていく基礎学力があるか?という点なので、それほど神経質にならなくても良いと思いますが、面接でのアピールは重要だと思います。


なぜ、この訓練コースを受講したいのか?しっかりアピールできるように準備しておきましょう。


⑤選考結果連絡

訓練コース実施機関から合否通知が自宅に送られてきます。「合格」の場合は、訓練開始日の前日までにハローワーク窓口で「就職支援計画」を発行してもらいます。


<職業訓練受講給付金の手続き>
訓練コースの選考で「合格」した人は、ハローワークから職業訓練受講給付金の事前審査の結果(郵送または窓口で)が知らされますので、無事に事前審査をパスした人は、職業訓練受講給付金の支給申請方法について説明を受けてください。(選考に不合格の場合は、結果通知はされません。)


⑥訓練開始と受講期間中の職業相談

訓練コース受講中と訓練終了後3ヶ月間は、月に1回、ハローワークが指定する日(指定来所日)に、ハローワークで職業相談を受ける必要があります。


この職業相談の目的は、訓練コースの受講状況(出欠席など)の報告と給付金の支給申請ですね。


この指定来所日に職業相談を受けないと、職業訓練受講給付金の支給申請ができない仕組みになっていますので、注意してください。


<職業訓練受講給付金の手続き>

職業訓練受講給付金の支給申請は、月に1回、指定来所日にハローワークの窓口で支給申請を行うことになっています。そして支給申請後(約2日~5日後)に、給付金が自分の指定した口座に入金される仕組みになっています。

最後に

求職者支援制度は、真面目に訓練を受け積極的に求職活動を行う人向けに作られた制度なので、訓練日の遅刻・欠席・早退(病気やケガなど除く)は厳しいですが、真面目に取り組みたいと思っている人には、メリットが多い制度だと思います。

ただし、人気のあるコースは倍率も高くなりますので、事前に情報の確認をしておくことをおススメします。職業訓練のコースや募集時期などについてはこちら「求職者支援機構HP」で最新の情報をチェックすることができます。

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