今回は、失業手当の受給資格がある人の中で、障がいのある人やその他の理由で再就職までの期間が長期化しそうな人(就職困難者)が、安定した職業に就いたときに支給される「常用就職支度手当」の計算方法を解説しています。
計算方法は非常にシンプルなので、支給額を調べている方がいたら、ぜひ参考にしてみてください。
常用就職支度手当を計算する前に
常用就職支度手当の支給額を調べるためには、事前に「所定給付日数」・「支給残日数」・「基本手当日額」の3点を確認する必要がありますので、それぞれの確認方法から解説していきます。
所定給付日数の確認方法
所定給付日数は、「雇用保険受給資格者証」の「20.所定給付日数」↓で確認することがきます。
所定給付日数とは「失業手当がもらえる日数」のことで、退職理由、雇用保険加入期間、年齢、障がい者などの就職困難者かどうかで決まる仕組みになっています。
所定給付日数が決まる仕組みについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶失業手当がもらえる期間は?1円でも多くもらうために所定給付日数を確認
支給残日数の確認方法
支給残日数は、「雇用保険受給資格者証」の裏面にある「残日数」↓で確認することがきます。
支給残日数とは、失業手当の残りの支給日数のことで、失業認定日ごとに残りの日数が印字されていきますので、直近の日数を確認するようにしてください。
基本手当日額の確認方法
基本手当日額は、「雇用保険受給資格者証」の「19.基本手当日額」↓で確認することがきます。
基本手当日額とは、「1日あたりもらえる失業手当の金額」です。
<基本手当日額の上限額(令和5年8月1日~令和6年7月31日までの金額)>
60歳未満:6,290円
60歳以上~65歳未満:5,085円
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上になる場合
雇用保険受給資格者証の裏面の(支給)残日数が20.所定給付日数の「3分の1以上」ある人は、常用就職支度手当は支給対象外となります。
「えっ!どういうこと!?」と思った人もいると思いますが、安心してください。
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合は、「再就職手当」の支給対象になりますので、「常用就職支度手当」を申請することはできません。
このように、再就職手当と常用就職支度手当は、両方申請することができない仕組みになっています。
それでは、「所定給付日数」・「支給残日数」・「基本手当日額」が確認できたところで、常用就職支度手当の支給額の計算方法を解説していきます。
常用就職支度手当の計算方法
常用就職支度手当は、「所定給付日数」や「支給残日数」によって、使う計算式が異なりますので、順番に解説をしていきます。
所定給付日数が「270日以上」ある人の計算方法
雇用保険受給資格者証の20.所定給付日数が「270日以上」ある人は、次の計算式を使って求めます。
基本手当日額 × 36日 = 常用就職支度手当の支給額
支給残日数が「270日以上」ある場合は、支給残日数にかかわらず基本手当日額の36日分が常用就職支度手当の支給額となります。
支給残日数が「90日以上」ある人の計算方法
雇用保険受給資格者証の裏面の残日数が「90日以上」残っている人は、次の計算式を使って求めます。
基本手当日額 × 36日 = 常用就職支度手当の支給額
支給残日数が「90日以上」ある場合は、基本手当日額の36日分が常用就職支度手当の支給額となります。
支給残日数が「45日以上90日未満」の人の計算方法
雇用保険受給資格者証の裏面の残日数が「45日以上90日未満」の人は、次の計算式を使って求めます。
支給残日数 × 40% × 基本手当日額 = 常用就職支度手当の支給額
支給残日数が「45日未満」の人の計算方法
雇用保険受給資格者証の裏面の残日数が「45日未満」の人は、次の計算式を使って求めます。
基本手当日額 × 18日 = 常用就職支度手当の支給額
支給残日数が「45日未満」の場合は、基本手当日額の18日分が常用就職支度手当の支給額となります。
以上が常用就職支度手当の計算方法となります。
最後に
それぞれの計算式を確認して気付いた方もいると思いますが、常用就職支度手当には支給日数に下限が設定されています。
つまり、支給残日数が1日しか残っていないくても、支給残日数を45日残したものとみなして計算されますので、もらいきる直前に就職した人ほど有利な給付になっています。
こちらの記事では、常用就職支度手当の申請方法などについて、ハローワークで確認した内容をまとめていますので、よろしければ、あわせて参考にしてみてください。
▶常用就職支度手当の支給要件・申請方法をハローワークで聞いてみた!