今回は「年金の納付猶予制度」について、制度の仕組み、申請できる人の所得条件、申請期間などをまとめています。

「免除を受けることができなかった」「学生納付特例を利用しているが、学校を退学・中退することになった」という方でも、年金の納付猶予制度を利用できる場合がありますので、是非参考にしてみてください。

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国民年金保険料の納付猶予制度ってどんな制度?

年金 猶予
経済的な理由で「年金を払うことができない!」という場合は、年金免除納付猶予を申請することができます。


納付猶予は「収入が少なく年金を支払うことができない!」という方を対象に「申請をすれば、年金の支払いを待ってあげますよ!その代り将来、満額の老齢基礎年金を受けるためには、猶予期間の分を後で納めてくださいね!」という制度です。


納付猶予制度は「年金を払わなくていい」という免除でなく、「払うべき年金を先延ばし後で払う」ということになります。

学生の方は「学生納付特例制度」が利用できますので、こちらの記事を確認してみてください。
学生の年金は免除できる?学生納付特例の申請方法と時効までの期間を確認

年金免除の場合、申請者・配偶者・世帯主の所得で審査されるため、申請者本人の所得審査はクリアしていても他の配偶者(結婚相手)や世帯主(両親)の所得が基準をオーバーしていると免除の対象外となってしまいますが、年金の納付猶予の場合は、申請者(本人)と配偶者(結婚相手)の所得で審査されるため免除よりはハードルが低く、制度を利用しやすくなっています。


「免除はダメだった・・」という方は、この納付猶予制度の内容を確認してみてください!


「なんだぁ~結局払うのか・・・」と思う方もいると思いますが、この納付猶予制度にはいくつかのメリットがありますので、次の項目で確認していきましょう。

納付猶予制度のメリットとデメリット

メリット

  • 納付猶予期間中も老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の受給資格期間にカウントされる
  • 老齢基礎年金を受け取るためには、国民年金保険料の納付済期間が最低でも10年以上必要です。(※将来、満額の老齢基礎年金を受け取るためには、40年の納付済期間が必要です。)


    納付猶予期間中であっても、この受給資格期間としてカウントされます。(※但し、老齢基礎年金額の計算には反映されません。)


    また、事故や病気で障害が残ってしまったときの障害基礎年金や、万一事故や病気で亡くなったときに残された家族が受け取ることのできる遺族基礎年金の受給資格期間としてもカウントされるので、、面倒でも申請する価値がありますね^^

  • 申請しておけば、あとから年金を払うことができる
  • 納付猶予制度を利用した場合は、年金を全額納付した人に比べ、将来受け取れる年金額が少なってしまいますが、生活に余裕が出てから年金を払えば、将来もらえる年金額に反映されることなっています。


    この制度のことを後から年金を納める「追納」といい、10年以内に支払えば全額納付した人と同じ受給条件となります。

    Check!
    但し、納付猶予を受けた年度の翌年度から起算して、3年度目以降に国民年金保険料を追納する場合には、猶予されていたときの国民年金保険料に一定の加算額が加わります。

  • 所得税や住民税が安くなる
  • 将来、追納した国民年金保険料は全額社会保険料控除の対象となりますので、所得税や住民税が安くなる場合があります。

デメリット

デメリットは、老齢基礎年金額の計算には反映されないことと、猶予期間中の年金を3年目以降に納める場合、利子が発生するという点ですね。

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納付猶予制度の対象者と所得条件を確認


対象者

国民年金保険料の納付猶予制度は、20歳~49歳までの人が対象です。(これまで30歳未満の人が対象でしたが、平成28年7月から年齢が「50歳未満」に引き上げられています。)


所得条件

納付猶予制度を利用する場合も所得の審査があります。


申請者(本人)と配偶者(結婚相手)の所得が下の計算式で計算した額より低いことが条件となります。


(扶養親族の数+1)×35万円+22万円


例えば、


<独身の場合>

(0+1)×35万円+22万円=57万円

前年の所得が57万円の範囲内であれば、所得条件を満たすことになります。

<結婚して夫婦2人(妻はパート収入103万円以下)の場合>

(1+1)×35万円+22万円=92万円

夫の前年の所得が92万円の範囲内であれば、所得条件を満たすことになります。(妻の所得は57万円以下で所得審査はクリア)


ここでの所得とは「給与所得=収入金額-給与所得控除」「事業所得=収入金額-必要経費」です。給与収入のみの場合は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に記載されている金額です。

Point!
納付猶予は、本人(申請者)と結婚相手(配偶者)の前年の所得で審査されます。両親と同居している場合など、世帯主の所得は計算に入りません。

申請期間を確認

「納付猶予制度」の期間は、毎年7月~翌6月を1年度とカウントしていますので、納付猶予の申請期間は、毎年7月からとなります。


但し、平成26年4月からは、申請時点から2年1ヶ月前までさかのぼって申請ができるようになりました。


例えば、平成30年4月に申請する場合は、下の図のように平成28年3月までさかのぼって申請することができます。
学生年金特例 申請期間

以降、1ヶ月経過するごとにさかのぼって申請できる期間が1ヶ月縮小していきますので、申請を忘れていたという方は早めに手続きをするようにしてください。


下の表では、申請年度ごとに「申請期間」「審査対象になる前年所得」をまとめてみました。

(平成30年7月に申請した場合)

年度 申請が可能な期間 審査対象になる前年所得
平成27年度分 平成28年6月 平成26年(1月~12月)の所得
平成28年度分 平成28年7月から平成29年6月 平成27年(1月~12月)の所得
平成29年度分 平成29年7月から平成30年6月 平成28年(1月~12月)の所得
平成30年度分 平成30年7月から平成31年6月 平成29年(1月~12月)の所得

Check!
年度ごとに申請書が必要
過去にさかのぼって申請する場合は、1年度ごとに複数枚の申請書を提出する必要があります。

例えば、平成30年8月に、平成28年7月から平成31年6⽉までの期間を申請する場合、

①平成28年度分(平成28年7⽉〜29年6月)

②平成29年度分(平成29年7⽉〜30年6月)

③平成30年度分(平成30年7⽉〜31年6月)

合計3枚の申請書を提出する必要があります。


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申請方法

納付猶予の申請手続きは住民登録している市区町村の年金担当課最寄りの年金事務所で行うことができます。


最寄りの年金事務所はこちらから検索することができます⇒日本年金機構ホームページ「全国の相談・手続窓口」


<手続きに必要なもの>

  • 国民年金保険料免除・納付猶予の申請書(※)
  • 年金手帳(または基礎年金番号のわかるもの)
  • 印鑑

※「国民年金保険料免除・納付猶予の申請書」は、窓口に用意されています。

郵送で手続きする場合



<手続きに必要なもの>

  • 国民年金保険料免除・納付猶予の申請書(※)
  • 年金手帳(氏名記載ページのコピー)



※「国民年金保険料免除・納付猶予の申請書」は、窓口に用意されていますが、郵送で申請する場合は、こちらでダウンロードすることができます。⇒日本年金機構のホームページ(国民年金保険料免除・納付猶予の申請書PDF)


申請後は日本年金機構で審査が行われ、2~3ヶ月後に審査結果が郵送されてきます。審査中の年金の支払いは督促状が届いても保留でokです。


Check!
申請日以降(審査期間中)に間違って年金を支払った場合は、後日返金されることになっていますが、申請日前に支払った年金は「納付済み」となり、返金されませんので注意してください。

最後に

以前の納付猶予制度は、本人の収入が少なくても、収入のある世帯主と一緒に住んでいる方は利用することができませんでしたが、将来の無年金・低年金で生活保護を申請する人が増えることが予想されるため、今では同居している世帯主の収入は関係なく、本人と配偶者の所得で審査されるようになっています。

審査基準も見直されていますので、「年金は払えないから未納のまま・・」という方も、まずは役所などで相談するようにしてください。

失業や事業を辞めた方で、年金の支払いが困難な場合は、失業(退職)特例を利用することができます。こちらの記事で詳しく解説していますので、良かったら参考にしてみてください。
失業したときは年金免除がお得!申請方法と将来の年金への影響を確認
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