今回のテーマはズバリ!「学生の年金」についてです!国民年金は日本に住む20歳以上~60歳未満まで全員の加入が義務付けられていますが、20歳以上の収入のない(少ない)学生の場合は、「学生年金納付特例」という制度を利用することができます。

この学生年金納付特例制度とは、どんな制度なのか?また、学生の間の年金は免除されるのか?など、これから20歳を迎える学生さんは気になると思います。

そこで今回は、学生年金納付特例制度の仕組みや対象者の条件、申請方法や申請期間の確認方法について、年金事務所で確認した内容をもとにまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。

国民年金の「学生納付特例制度」ってなに?

学生 年金免除
日本に住む20歳以上60歳未満の人は、全員、国民年金の加入が義務付けられています。学生でも20歳になると国民年金に加入することになっていますが、学生の方は社会人とは違い十分な収入がなく、毎月16,980円(令和6年度)の国民年金保険料を負担することは難しいですよね。


そこで、学生の方には国民年金保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が用意されています。


この制度の仕組みを簡単に説明すると、「学生の期間中は年金の支払いを待ってあげますよ!その代り将来、満額の老齢基礎年金を受け取りたいなら、学生の期間中に納めなかった年金は社会人になってから納めてくださいね!」ということです。


この学生納付特例制度は「年金を払わなくていい」という免除でなく、「払うべき年金を先延ばし後払いする」猶予になります。


次の項目で「学生納付特例制度」について、もう少し詳しく見ていきましょう。

「学生納付特例制度」のメリットとデメリット

事前にチェック!

国民年金は、

老齢基礎年金:老後(65歳以降)に受け取ることができる年金

障害基礎年金:不慮の事故などで障害が残ってしまったときに受け取ることができる年金

遺族基礎年金:家族の働き手が亡くなったときに子供のいる配偶者や子供が受け取ることができる年金

の3つの種類があります。


老齢基礎年金を受け取るためには、国民年金保険料の納付済期間が最低でも10年以上必要です。(※将来、満額の老齢基礎年金を受け取るためには、40年の納付済期間が必要です。)


「学生納付特例制度」を受けた期間は、この年金を受け取るための受給資格期間にはカウントされますが、年金額の計算にはカウントされません。(不慮の事故などで障害を負った場合に受け取れる障害基礎年金の受給資格期間もカウントされる。)


そのため、将来、満額の老齢基礎年金を受け取るためには、10年以内に国民年金保険料を後払いする必要があります。


これを追納といいますが、「学生納付特例」を受けた年度の翌年度から起算して、3年度目以降に国民年金保険料を追納する場合には、猶予されていたときの国民年金保険料に一定の加算額が加わります。


では、ここで「学生納付特例制度」のメリットとデメリットを確認しておきましょう。

メリット

・収入の少ない学生期間中に国民年金保険料を負担しなくて済む。

・老齢基礎年金を受け取るための「受給資格期間」にカウントされる。

・在学中に不慮の事故や病気で障害を負った場合に満額の年金(障害基礎年金)を受け取ることができる。

・所得税や住民税が安くなる。(※)

※社会人になってから追納した国民年金保険料は全額社会保険料控除の対象となりますので、所得税や住民税が安くなる場合があります。


デメリット

・老齢基礎年金額の計算には反映されない。

・3年度目以降に年金を追納する場合は、猶予されていたときの保険料に一定の加算額が加わる。

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「学生納付特例」の対象者を確認

それでは次に、学生納付特例を受けることができる人の条件を確認していきましょう。

  • 日本国内の大学(大学院)・短大・専門学校・高等専門学校・高等学校・専修学校などに在籍している(していた)20歳以上の方
  • 夜間部・定時制課程・通信課程も対象となるので、20歳以上の学生は、ほとんどの方が該当すると思います。

    詳しくは日本年金機構HP:学生納付特例対象校一覧で確認することができます。


  • 本人の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下の方
  • 学生納付特例制度を利用する条件の中には収入の審査もあります。「事業をしている」または、「アルバイトをしている」という学生の方は確認が必要です。


Point!
「学生納付特例」は、本人のみの所得で審査されます。

また、ここでの所得とは収入ではありませんので注意してください。「所得=収入-必要経費」となります。


申請期間を確認

「学生納付特例制度」の申請期間は毎年4月から翌年3月まで(申請日が1月~3月までの場合、前年4月から3月まで)となります。(令和6年度分は、令和6年4月~令和7年3月までですね。)


そのため、「学生納付特例」を希望する期間は毎年、申請書の提出が必要です。


また、平成26年4月からは、申請時点から2年1ヶ月前までさかのぼって申請ができるようになりました。


例えば、令和6年4月に申請する場合は、下の図のように令和4年3月までさかのぼって申請することができます。

学生納付特例 令和6年

以降、1ヶ月経過するごとにさかのぼって申請できる期間が1ヶ月縮小していきますので、申請を忘れていたという方は早めに手続きをするようにしてください。


下の表では、申請年度ごとに申請期間と審査の対象となる前年所得をわかりやすいようにまとめてみました。

(令和6年4月に申請した場合)

年度 申請が可能な期間 審査対象になる前年所得
令和3年度分 令和3年4月から令和4年3月 令和2年(1月~12月)の所得
令和4年度分 令和4年4月から令和5年3月 令和3年(1月~12月)の所得
令和5年度分 令和5年4月から令和6年3月 令和4年(1月~12月)の所得
令和6年度分 令和6年4月から令和7年3月 令和5年(1月~12月)の所得

Check!
年度ごとに申請書が必要

「学生納付特例」の年度は4月~翌年3月までを1年度としてカウントしますので、過去にさかのぼって申請する場合は、年度ごとに複数枚の申請書を提出する必要があります。

例えば、令和6年5月に、令和4年4月から令和7年3⽉までの期間を申請する場合、

①令和4年度分(令和4年4⽉〜令和5年3月)

②令和5年度分(令和5年4⽉〜令和6年3月)

③令和6年度分(令和6年4⽉〜令和7年3月)

の3枚の申請書が必要となります。

※この例の場合、令和4年3月以前は時効となり、申請することができません。

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学生納付特例制度の申請方法

ここからは、学生納付特例制度の申請方法について、「どこで手続きをすればいいのか?」また申請に必要な書類などを確認していきましょう。

申請する場所

申請は次の場所で受付けています。

  • 住民票のある市区町村の窓口(年金担当課など)
  • 最寄りの年金事務所

全国の年金事務所はこちらから検索することができます。⇒日本年金機構ホームページ

※その他、学校側で申請を代行してくれる場合もあります。
代行事務の許可を受けている学校はこちらで確認することができます。⇒日本年金機構HP:学生納付特例対象校一覧


手続きに必要なもの

  • 国民年金保険料学生納付特例申請書
  • 年金手帳また基礎年金番号通知書
  • 学生証または在学証明書

年金手帳を紛失してしまった方は、こちらの記事をご確認ください。

年金手帳が廃止!令和4年以降~年金手帳を紛失したときの対処法



また、学生納付特例の申請は郵送でも受付けています。


<郵送で申請する場合に必要なもの>

  • 国民年金保険料学生納付特例申請書
  • 年金手帳(氏名が記載されているページのコピー)
  • 学生証のコピーまたは在籍証明書の原本
国民年金保険料学生納付特例申請書の書き方について、こちらの記事でまとめていますので、良かったら参考にしてみてください。
学生の年金後払い!「学生納付特例申請書」の書き方を記入例で解説

国民年金保険料学生納付特例申請書はこちからダウンロードすることができます。⇒日本年金機構ホームページ<国民年金保険料学生納付特例申請書PDFファイル>


申請が済むと日本年金機構で審査が行われ、2~3ヶ月後に郵送で審査結果が送られてきます。審査結果が出る前に届いた納付書の支払いは保留でokです。


また、これから20歳になる方は、20歳になる前に送られてくる「国民年金被保険者資格届」と同時に「学生納付特例」の申請をすることができますので、書類が届いたら「国民年金保険料学生納付特例申請書」も同封して申請するようにしてください。

まとめ

「学生年金納付特例制度」のポイントは「学生の期間中の年金は払わなくていいのではなく後払いになる。」という点ですね。私の勤めている職場にも、学生期間中の年金を追納している人がいますが、納めた年金は全額社会保険料控除となりますので、うまく節税できているようです。

現在、年金の未納分がある方で、未納分が学生期間中のものであれば(時効を迎えていなければ)、さかのぼって申請することができますので、早めに確認するようにしてください。

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