会社の指示で休業しているのに、会社から休業手当が支給されない中小企業で働く社員や契約社員、パート・アルバイトの方には、国から直接、休業手当が支給される「新型コロナ対応休業支援金・給付金」制度が創設されています。
そこで今回は、休業中の新しい給付金「新型コロナ対応休業支援金・給付金」の給付条件や申請方法についてまとめましたので、調べている方がいたら参考にしてみてください。
※郵送申請は2020年7月10日(金)、オンライン申請は2020年10月9日(金)からスタートしています。
休業中の労働者に新たな給付金制度創設へ
まず、「雇用調整助成金」の代わりに「新型コロナ対応休業支援金・給付金」が、創設されることになった経緯を簡単にご説明します。
「雇用調整助成金」とは
会社は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、出勤できない従業員に対して休業手当を支給します。その後、会社は国に賃金(休業手当)の一部が助成される「雇用調整助成金」を申請して、給付を受ける制度です。
①会社が従業員に対して休業手当を支払う。
②後日会社はハローワークへ雇用調整助成金を申請する。
③ハローワークから会社へ雇用調整助成金が支給される。
つまり、「従業員へ支払った休業手当は、あとで国が補填(上限あり)するから、なんとか解雇はしないでください。」という制度です。
一見すると何も問題ない制度に見えますよね。ですが、この制度、、、、利用する会社(特に中小企業)が少ないのが現状なんです。
なぜ雇用調整助成金制度は不人気なのか?
主な理由(実際に私が手続きをして思うこと)は、次の3つです。
このような理由から、雇用調整助成金を申請する会社が少ない=休業手当が支払われないという状況になっています。(雇用調整助成金を申請せず、従業員へ休業手当を支給する会社もあります。)
では、会社が従業員に休業手当を支給しないとどうなるか?
多くの場合、「休業しているが、無給」「有給を消化させられている」「仕事(出勤日数)が減り、給与が激減する」という状況になってしまいます。
つまり、現状では雇用調整助成金の制度自体が機能していないことになります。
このままではマズいということで、失業手当を受給するときと同様に、休業した労働者が直接、国に申請し、給付を受けることができるように、今回「新型コロナ対応休業支援金・給付金」制度が創設されることになりました。
①休業手当が支給されない従業員が直接、国に「新型コロナ対応休業支援金・給付金」を申請する。
②国から従業員(申請者)へ「新型コロナ対応休業支援金・給付金」が直接支給される。
新型コロナ対応休業支援金・給付金の対象者と対象期間
会社からの指示により、令和2年4月1日~令和3年2月28日(※)までの間に休業して、その間休業手当が支給されていない「中小企業で働く社員・契約社員」や、解雇される可能性が高い「パート・アルバイト(週20時間未満の雇用保険に加入していない方も含む)」の方が対象です。(※対象期間が令和3年2月28日まで延長されました。)
下記にも対象者の例を掲載しておきますので、参考にしてみてください。
学生アルバイト | 雇用保険に加入していない昼間学生アルバイトの方も対象 |
---|---|
外国人や技能実習生 | 日本国内で働いている場合は対象 |
日雇労働者 | 雇用関係が継続している場合は対象 |
個人事業主(フリーランス)で、副業している方 | 副業でも雇用されている場合は対象 |
個人事業主の同居親族 | 雇用保険の被保険者になっている場合は対象 |
新卒で4月から採用された方 | 対象(入社日が繰り下げられ1日も勤務していない場合も対象) |
休業していた会社をすでに退職している場合は?
退職後でも離職前の休業していた期間については対象です。
例えば、4月1日~4月30日まで休業して休業手当が支給されず、5月25日に退職して現在は失業手当を受給している場合。
現在、失業手当を受給していても、離職前の休業期間4月1日~4月30日までの分は申請可能です。(※ご自身で申請する場合でも離職した会社の証明をもらう必要があります。)
本業は個人事業主・フリーランスだけど、副業で雇用保険に加入してパート・アルバイトをしている場合は?
副業分の休業手当が支給されていない場合は支給対象です。また、本業でも売上が減少している場合は、条件を満たせば持続化給付金の受給も可能です。
▶返済不要!持続化給付金:個人事業主100万円・中小企業200万円をもらう方法
「新型コロナ対応休業支援金・給付金」は、会社から休業手当が1円でも支給されている場合は対象外です。また、会社から3万円を超える見舞金などを受け取っている場合も対象外となります。
中小企業とは、次のとおりです。
小売業(飲食店含む) | 資本金5,000万円以下または従業員50人以下 |
---|---|
サービス業 | 資本金5,000万円以下または従業員100人以下 |
卸売業 | 資本金1億円以下または従業員100人以下 |
その他の業種 | 資本金3億円以下または従業員300人以下 |
上記に該当しない会社にお勤めの場合は、会社から休業手当(雇用調整助成金)が支給されることになっていますので、勤務先で確認するようにしてください。
新型コロナ対応休業支援金・給付金の支給額
「新型コロナ対応休業支援金・給付金」は、月額33万円(日額11,000円)を上限に、休業前の賃金の8割が給付されることになっています。
具体的には、いくらもらえるの?
給付額の計算方法については、こちらの記事で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。
▶最大33万円の休業支援金って実際いくらもらえるの?給付額の計算方法を解説
新型コロナ対応休業支援金・給付金の申請方法
新型コロナ対応休業支援金・給付金の申請は、郵送またはオンライン申請となります。
<申請開始日>
郵送申請 | 2020年7月10日(金)~ |
---|---|
オンライン申請 | 2020年10月9日(金)~ |
(ようやく、オンライン申請ができるようになりました。)
郵送で申請する場合
郵送申請の流れは、下記のとおりです。
郵送申請には、従業員(労働者)が直接申請するパターンと事業主(会社)経由で申請するパターンがあり、それぞれ必要書類が異なります。
従業員本人が(初回・2回目以降)申請する場合の必要書類
必要書類については、こちらの記事に詳しくまとめましたので、参考にしてみてください。
▶<休業支援金・給付金>自分で直接申請するときの必要書類を確認!
会社経由で(初回・2回目以降)申請する場合の必要書類
勤務先から申請をする場合は、下記の①~⑥の書類を提出します。
申請先
申請先(郵送先)は、こちら↓です。
厚生労働省HPの「労働者申請用(初回)」または「事業主提出用(初回)」から「宛名」をプリントアウトして、封筒に貼り付け、切手を貼って郵送してください。
2回目以降の申請は、こちら「労働者申請用(2回目以降)」「事業主提出用(2回目以降)」の宛名をプリントアウトして利用することも可能です。
オンラインで申請する方法
2020年10月9日(金)からオンライン申請の受付が開始されました。
申請先は、厚生労働省HP内のこちら「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金オンライン申請サイト」です。
申請時に添付する書類は、「郵送申請」の書類と同様です。(※アップロードできるファイル形式は、PDF、JPEG、PNGとなります。)
申請期限
休業支援給付金の対象期間は、令和2年4月1日~令和3年5月31日までとなっていますが、申請期限は休業した期間によって下記のように異なりますので、チェックしておいてください。
休業した期間 | 申請期間(郵送の場合は必着) |
---|---|
令和2年4月~9月 | ~令和2年12月31日(木)まで |
令和2年10月~12月 | 令和3年3月31日(水)まで |
令和3年1月 | 令和3年5月31日(月)まで |
令和3年2月 | 令和3年5月31日(月)まで |
<2020年12月21日 追記>
※4月分~9月分の申請期限については、令和3年1月末まで延長される可能性があります。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について、個別のケースを確認されたい方は、下記の「コールセンター」にお問い合わせください。
最後に
休業支援給付金は、令和2年12月10日時点で予算額5,442億円のうち支給は501億円となっていますので、まだまだ制度を知らない従業員さんも多いと思います。
会社側としては、従業員へ休業手当を支払わなかったというペナルティが気になると思いますが、厚生労働省はこの件について「ペナルティは課さない」ということなので、困っている従業員さんがいたら協力するようにしてください。