就業促進定着手当は、ハローワークで再就職手当をもらった人を対象に「もし、再就職後に給与が減ってしまった場合は、その減収分をカバーしてあげますよ!」というとてもありがたい制度です。

そこで、今回は就業促進定着手当は実際いくらもらえるのか?支給額の計算方法や支給条件、申請期限についてハローワークの窓口で確認した内容をもとにまとめましたので、再就職手当をもらった人、これからもらう予定のある人は、ぜひ参考にしてみてください。

また、就業促進定着手当は申請期限を過ぎても時効を迎えていなければ、申請⇒受給することができますので、期限を過ぎてしまっていても、まだもらえる可能性はありますので、そちらもあわせて確認してみてください。

就業促進定着手当の仕組み

就業促進定着手当 いくらもらえる
就業促進定着手当は、再就職手当をもらっていた人が、再就職後に収入が減った場合に支給される給付金です。


支給額は、原則として「減収分×6ヶ月間の賃金支払い基礎となった日数×40%または30%」となりますが、これは、再就職手当を60%支給されていた人が、就業促進定着手当を40%受給すると(60%+40%)100%となり、再就職後に残っていた失業手当をほぼ全額もらう計算になります。


(再就職手当が70%支給された人の場合は30%です。)


実際には、日額に上限が設定されているため、失業手当を全額もらうより総額では少なくなりますが、以下のように


1.失業手当の受給(失業中にもらえる手当)


2.再就職手当の受給(再就職がきまったときにもらえる手当)
ハローワークの再就職手当はいつ?いくらもらえるの?計算方法と支給日数


3.就業促進定着手当の受給(再就職後に収入が減った場合にもらえる手当)



3段階でもらえる仕組みになっているので、以前より収入が減るという人は、上手に活用したいですよね。

就業促進定着手当の支給対象者

まずは、就業促進定着手当がもらえる人の条件を確認していきましょう。

  • 再就職手当の支給を受けていること
  • 再就職手当の支給を受けた再就職の日から、同じ事業主に引き続き6ヶ月以上雇用されていること
  • 再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が離職前の賃金日額を下回ること



簡単にまとめると、再就職手当をもらって、6ヶ月後にその就職先での給与(6ヶ月分)が、以前より減っていればもらえるということになりますね。


では、その「就業促進定着手当」は、いくらもらえるのか?このあと詳しくみていきましょう!

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「就業促進定着手当」の計算方法

「就業促進定着手当」は、次の①~③の順に計算し、支給額を求めることができます。

①就業促進定着手当の支給額を計算する


②就業促進定着手当の上限額を計算する


③就業促進定着手当の支給額と上限額を比べる
※このとき、支給額が上限額を上回っている場合は、上限額。上限額を下回っている場合は、支給額が就業促進定着手当として支給される仕組みになっています。


それでは「支給額」の計算方法から解説していきます。

支給額の計算方法

支給額は、次の計算式で求めるとこができます。


<支給額の計算式>
支給額=(離職前の賃金日額-再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額)×再就職後6ヶ月間の賃金の支払基礎となった日数


支給額の計算に必要な項目を順番に確認していきましょう。

「離職前の賃金日額」の確認方法



離職前の賃金日額は、「雇用保険受給資格者証」の↓で確認することができます。

雇用保険受給資格者証 離職前の賃金日額
ただし、賃金日額には上限・下限が設定されていますので、ご自身の退職時の年齢と離職前の賃金日額を下の表に当てはめて、オーバーしている場合は上限額を使い計算していきます。


(※離職前の賃金日額が下限額の場合には、再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ることはないので、「就業促進定着手当」をもらうことはできません。)


<上限額>

離職時の年齢が29歳以下の人 13,890円
離職時の年齢が30歳~44歳の人 15,430円
離職時の年齢が45歳~59歳の人 16,980円
離職時の年齢が60歳~64歳の人 16,210円



<下限額>

全年齢共通 2,746円

(※令和5年8月1日~令和6年7月31日までの金額です。)


「再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額」の計算方法

「再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額」は、次の計算式で求めます。


再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額=再就職後にもらった6ヶ月間の賃金の合計額÷180

ここでの賃金とは、税金や社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)、通勤手当など各種手当を引く前の金額です。(例:給与=基本給+残業代+交通費)


ただし、ボーナスなど(3ヶ月を超える期間ごとに支払われるもの)は、計算には含みません。


Check!
ここで出た金額が「離職前の賃金日額」を下回っていないと、就業促進定着手当をもらうことができません。


「再就職後6ヶ月間の賃金の支払基礎となった日数」の確認方法

「再就職後6ヶ月間の賃金の支払基礎となった日数」は、次のようにカウントします。


<月給制の場合>
歴日数(30日、31日など)でカウントします。例えば、5月は「31日」、6月は「30日」というように、その月の日数を合計していきます。


<日給月給の場合>
基本給が支給された日数をカウントしてください。


<日給制・時給制の場合>
労働した日数でカウントしてください。


ここで、支給額の計算例を用意したので、確認してみてましょう。

今回のモデル
雇用太郎さん35歳は、4月に再就職して再就職手当をもらいました。

再就職先の給与は月給制で25万円になり、再就職後6ヶ月間の給与が前職(退職前の6ヶ月間)の給与より少なくなりました。(離職前の賃金日額は12,000円とします。)


先ほど確認した方法で、計算に必要な項目を求めていきます。


離職前の賃金日額:12,000円(上限額は15,430円なので、そのまま計算に使います。)


再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額:8,333円
(25万円×6ヶ月)÷180=8,333円



6ヶ月間の賃金の支払基礎となった日数:183日
4月~9月の歴日数の合計=183


計算式に当てはめ、(12,000円-8,333円)×183日=671,061円


雇用太郎さんの支給額は671,061円となりました。

ここで出た支給額は、次に計算する上限額と比べて低ければ全額支給となりますが、上限額をオーバーしている場合は、上限額が支給されることになります。

それでは、最後に上限額の計算方法を確認していきましょう。

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上限額の計算方法

<上限額の計算式>

上限額=基本手当日額×支給残日数×(40%or30%)


計算に必要な項目を順番に確認していきましょう。

「基本手当日額」の確認方法



基本手当日額は、「雇用保険受給資格者証」の表面の↓に印字されている金額です。

雇用保険受給資格者証 基本手当日額


ただし、基本手当日額には年齢によって上限額が設定されています。基本手当日額が、次の額をオーバーしている人はこの上限額を使って計算していきます。

年齢が59歳以下の人 6,290円
年齢が60歳~64歳の人 5,085円

(※令和5年8月1日~令和6年7月31日までの金額です。)


「支給残日数」の確認方法



支給残日数は、「雇用保険受給資格者証」の裏面の↓に印字されています。

支給残日数

最後の失業認定を受けたあとの日数が計算で利用する支給残日数です。


「40%or30%」の確認方法



計算で利用する「40%」または「30%」の選び方は、再就職手当の支給率で異なります。

再就職手当の支給率が70%だった人 30%
再就職手当の支給率が60%だった人 40%

ここからは、先ほど(雇用太郎さん)の例を使い計算方法を確認してみてましょう。

雇用太郎さんの雇用保険受給資格者証に記載されている基本手当日額は6,063円、支給残日数は65日とします。

また、再就職手当の支給率は(支給残日数を3分の1以上残して再就職したので)60%とします。


計算に使う項目を順番に確認していきます。


基本手当日額:6,063円(上限額クリア)


支給残日数:65日


30%or40%:40%

これを上限額の計算式に当てはめると、6,063円×65日×40%=157,638円



上限額は157,638円となりました。


ここで先ほどの計算した支給額と比べてみましょう。


支給額は671,061円


上限額は157,638円


今回の雇用太郎さんの場合は、支給額が上限額を上回っているため、上限額157,638円が就業促進定着手当となります。


支給額と上限額のギャップでショックを受けてしまう人もいると思いますが、本来はもらえないお金だと考えると、もらえるだけありがたいですよね。

申請期限と時効を確認

就業促進定着手当の申請をする時期は、再就職した日の翌日⇒6ヶ月雇用された日の翌日から2ヶ月以内となっていますので、該当しそうな人はタイミングをみて必要書類等を用意しておくようにしてださい。

就業促進定着手当の申請に必要な書類等は、こちらの記事で確認することができますので、よろしければ参考にしてみてください。

就業促進定着手当の申請方法と支給申請書の書き方を記入例で確認!

2ヶ月を過ぎてしまったら、もらえないの?


ご安心ください。


以前は、申請期限を1日でも過ぎると支給されませんでしたが、現在は時効が2年に設定されていますので、就業促進定着手当は、6ヶ月雇用された日の翌日から2年を経過する日までであれば申請⇒受給が可能です。

就業促進定着手当 申請期限 時効

最後に

就業促進定着手当は、再就職手当をもらった人に付いてくる「おまけ」のような手当です。

といっても、転職後の減収分を補てんしてくれる立派な手当です!対象になる人は、もらわないと損なので、忘れず申請するようにしてくださいね。

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