会社員の場合、退職日が1日違うだけで社会保険料(健康保険・厚生年金など)に大きな差が出ることをご存知ですか?

私の職場でも、過去に「退職した月の給料から2ヶ月分の社会保険料が天引きされていたけど、なぜ?」という質問を受けたことがあります。

そこで今回は、退職するときの社会保険料の仕組みについて解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。

退職するときの社会保険料の徴収の仕組み

社会保険料 退職2ヶ月分 

資格喪失日と社会保険料の関係

会社を退職すると、社会保険の「被保険者資格を喪失する」ことなりますが、社会保険の場合、退職日の翌日が「資格喪失日」となり、資格喪失日を含む月の保険料は徴収しないという決まりになっています。


例えば、10月31日に会社を退職した場合、資格喪失日は11月1日となりますので、11月分の社会保険料は支払わなくて良いことになっています。


つまり、10月分までの社会保険料が給料から天引きされることになります。

これだけみると、2ヶ月分引かれる理由がわかりませんよね?


では、「なぜ、2ヶ月分の社会保険料が給料から天引きされるのか?」詳しくみていきましょう。

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退職日で社会保険料に差が出る理由

一般的に、毎月の給料から天引きされている社会保険料(健康保険・厚生年金・40歳以上の介護保険料)は、前月分です。


(※会社にもよりますが、給与の支払いが当月払いで、社会保険料が翌月天引きの場合で解説します。)


例えば、退職日が10月31日の場合(資格喪失日11月1日)、会社は11月の給料から天引する予定だった10月分の社会保険料を徴収することができないため、10月の給料から2ヶ月分の社会保険料を天引きすることなります。

退職 社会保険料


一方、10月30日に退職した場合(資格喪失日10月31日)、10月分の保険料は発生しないので徴収されません。


つまり、10月分の給料から天引きされる社会保険料は通常通り9月分(1ヶ月分)となります。

退職時の社会保険料

このように退職する日が1日違うだけで、最後の給与から数万円の社会保険料が引かれる・引かれないというのが分かれます。



じゃ、月末の前日に退職すれば得なわけね!


となりそうですが、、、、そうでもありません!

なぜなら、10月30日に退職した場合、資格喪失日は10月31日なので、10月分の社会保険料は支払わなくて良いことになりますが、退職後、国民健康保険に切り替わった場合は、10月31日が国保加入日となりますので、10月分の国民健康保険料(税)を支払うことになるからです。

<国民健康保険>月の途中で加入orやめたときの保険料の支払いは?



また、任意継続を選択した場合も同様です。


社会保険料というのは、会社と本人(被保険者)で半分ずつ負担することになっていますが、国民健康保険や任意継続の保険料は、全額自己負担となります。


したがって、保険料を少しでも安くしようと考えている方は、事前に国民健康保険と任意継続の保険料を調べたうえで、社会保険料と比較して退職日を検討する必要があります。



「国民健康保険」と「任意継続」の保険料の計算方法については、こちらの記事で解説していますので、よろしければ参考にしてみてください。

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最後に

社会保険料は、月単位で計算することになっていますが、その基準を「資格喪失日」に設定しているため、このような複雑な仕組みになっています。

特に、退職後、親族の加入している健康保険の扶養に入る方は、今回の月末退職には注意してくださいね。

(会社も退職者の社会保険料は負担したくないので、退職日が月末の場合は、退職日を前日にしてほしいと言ってくる場合がありますので。)

こちらの記事では、退職後に行う手続きをまとめて紹介していますので、よろしければあわせて参考にしてみてください。

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