今回は、今年(令和3年)の年末調整のときに会社へ提出する<令和4年分>給与所得者の扶養控除等申告書の「B 控除対象扶養親族(16歳以上)」欄の記入方法について解説します。
こちらの記事では、控除対象扶養親族の条件や所得の見積額の記入方法なども確認することができますので、ぜひ参考にしてみてください。
控除対象扶養親族(16歳以上)に該当する人とは?
まず、「控除対象扶養親族」に該当する人の条件から確認していきましょう。
「控除対象扶養親族」とは、次の2つすべてに該当する人です。
※令和4年分の扶養控除申告書に記入する16歳以上とは、平成19年1月1日以前に生まれた人です。
あなたの収入で生活をしている扶養親族のことを指します。
ただし、必ずしも同居が条件ではありませんので、親元を離れ生活している学生さんなど、あなたが生活費や学費、医療費等を仕送りしている場合は、生活面で面倒をみていることになりますので、「生計を一にする扶養親族」となります。
ということで、「控除対象扶養親族(16歳以上)」の欄には、あなたと生計を一にする16歳以上の親族で、所得見積額が48万円以下の人がいる場合に記入してください。
この「控除対象扶養親族(16歳以上)」には、年齢ごとに「一般の扶養親族」「特定扶養親族」「老人扶養親族」の3つに区分されていて、それぞれ控除額(所得から差し引くことができる金額)が異なります。
「特定扶養親族」の控除額
「特定扶養親族」の控除額は「一般の扶養親族」と比べて控除額が大きくなります。
年 齢 | 種 別 | 控 除 額 |
---|---|---|
16歳~18歳 | 一般の扶養親族 | 38万円 |
19歳~22歳 | 特定扶養親族 | 63万円 |
23歳~69歳 | 一般の扶養親族 | 38万円 |
※令和4年分の扶養控除申告書に記入する19歳~22歳は、平成12年1月2日~平成16年1月1日生まれの人です。
「老人扶養親族」の控除額
「老人扶養親族」の控除額も「一般の扶養親族」と比べて控除額が大きくなりますが、「老人扶養親族」の場合は、同居している場合と同居していない場合で、控除額が異なりますので、確認しておきましょう。
年 齢 | 種 別 | 控 除 額 |
---|---|---|
23歳~69歳 | 一般の扶養親族 | 38万円 |
70歳以上 | 老人扶養親族 | 同居老親等58万円、同居老親等以外48万円 |
※令和4年分の扶養控除申告書に記入する70歳以上は、昭和28年1月1日以前に生まれた人です。
<令和4年分>給与所得者の扶養控除等申告書の書き方
それでは、令和4年分・給与所得者の扶養控除等申告書の「B 控除対象扶養親族(16歳以上)」の記入方法を解説していきます。
氏名(フリガナ)
まず、扶養親族に該当する方の氏名・フリガナを記入します。
個人番号・続柄・生年月日
個人番号
扶養親族に該当する方のマイナンバーを記入する欄ですが、会社によっては記入せず提出する場合がありますので、勤務先の指示に従ってください。(記入例では空欄にしています。)
あなたとの続柄
あなた(給与所得者)との続柄を記入します。
あなたの子→「子」または、「長女、次女、長男、次男」
あなたの父親→「父」
あなたの母親→「母」
あなたのおじいさん→「祖父」
あなたのおばあさん→「祖母」
生年月日
和暦で記入します。
老人扶養親族・特定扶養親族
扶養親族に該当する方の中に、平成12年1月2日~平成16年1月1日生まれの19歳~22歳までの方がいる場合は、「特定扶養親族」の□に✔を入れてください。
昭和28年1月1日以前生まれの70歳以上の方がいる場合は、「老人扶養親族(70歳以上)」の□に✔を記入しますが、老人扶養親族と同居している方は「同居老親等」に✔を入れ、同居していない方は「その他」に✔を入れてください。
令和4年中の所得の見積額、非居住者である親族、生計を一にする事実
所得の見積額
ここには、控除対象扶養親族の所得の見積額(令和4年中)を記載します。
所得の見積額とは、来年1年間にもらう予定の所得額のことで、給与等の収入額を記載するのではなく、収入から必要経費(給与所得控除や公的年金等控除など)を引いた額を記載してください。
<給与収入のみの場合>
給与収入(パートやアルバイト含む)の方の所得の見積額は、次の計算式を使い求めます。
所得の見積額=給与収入-給与所得控除額
「給与所得控除額」とは、給与収入を得ている人を対象にした経費です。
給与所得控除額は、収入額に応じて変動しますが、給与収入が1,625,000円未満の場合は55万円となります。(※令和2年から給与所得者の給与所得控除額が65万円→55万円に変更されています。)
例えば、
給与収入が100万円の場合の所得の見積額:100万円-55万円=45万円
給与収入が70万円の場合の所得の見積額:70万円-55万円=15万円
計算の結果がマイナスになる場合は「0円」と記載します。
給与収入のみ方は、給与収入が103万円を超えると、所得の見積額が48万円を超えるため、控除対象扶養親族には該当しません。(氏名等の記入は不要です。)
<公的年金のみの場合>
収入が公的年金のみという方の所得の見積額は、次の計算式となります。
所得の見積額=年金受給額-公的年金控除額
(所得税の場合、遺族年金・障害年金は非課税となりますので、受給額には含みません。)
「公的年金の控除額」は、年齢や受け取る年金額に応じて控除額が異なります。
年 齢 | 受け取る年金額 | 公的年金等控除額 |
---|---|---|
65歳未満 | 130万円未満 | 60万円 |
65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 |
例えば、63歳で年金の受給額(見込み)が100万円の場合は、100万円-60万円=40万円
所得の見積額は40万円となります。(計算の結果がマイナスになる場合、所得の見積額は「0円」となります。)
所得の見積額が48万円を超えた場合は、控除対象扶養親族には該当しないので、記入は不要です。
▶<所得の見積額>年金と給与、両方もらっている場合の記載方法を解説
非居住者である親族
海外に住んでいる扶養親族がいる場合は、「非居住者である親族」に〇を記入してください。
生計を一にする事実
「非居住者である親族」に〇を記入した場合は、その横の「生計を一にする事実」に、送金した生活費や学費、医療費等の合計金額を記入します。
※今年の年末調整で提出する<令和4年分の扶養控除等申告書>には、令和3年1月1日~令和3年12月31日までに送った金額を記入するようにしてください。
また、非居住者である親族がいる場合は、送金関係書類と親族関係書類を添付する必要があります。
▶年末調整:親族関係書類と送金関係書類って具体的に何を添付すればいい?
住所又は居所
あなたと住所が同じ場合は「同上」と記入し、給与所得者と同居していない場合は、そちらの住所を記入してください。
以上で、扶養控除等申告書の「B 控除対象扶養親族(16歳以上)」の記入は完了ですが、私の勤務先では「特定扶養親族」や「老人扶養親族」の✔️漏れが多いです。
特定扶養親族や老人扶養親族に該当する場合は、一般の扶養親族より控除額が大きくなりますので、記入漏れのないように注意してください。
<令和4年分>給与所得者の扶養控除等申告書全体の書き方については、こちらの記事で確認することができますので、あわせて参考にしてみてください。
最後に
昨年(令和2年)から年末調整の電子化が実施されていますが、勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合は、今まで通り手書きで申告書を作成するか、国税庁からリリースされている「年末調整ソフト」を利用して作成したデータをプリントアウトして提出する必要があります。
年末調整ソフトは、入力するだけで簡単に申告書を作成できるため、PCやスマホ操作に慣れている方は、ぜひ活用してみてください。
▶令和4年分・扶養控除等申告書を年末調整アプリで簡単に作成する方法