今回は、ひとり親控除を受ける方向けに、国税庁からリリースされている年末調整アプリ（ソフト）を使って申告書を作成する方法を解説します。
昨年（令和2年）から年末調整のときに提出する申告書類は、年末調整アプリ（ソフト）を使って作成することができます。
勤務先が年末調整の電子化に対応している場合は、電子データのまま送信することができるようになっていますが、勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合でも、（今まで通り申告書に手書きで記入するか、）今回の「年末調整ソフト」を利用して作成した申告書データをプリントアウトして提出することができますので、よろしければ参考にしてみてください。
年末調整アプリで「ひとり親控除」を申告する方法
アプリをインストール（ダウンロード）する
まず、国税庁からリリースされている年末調整アプリをインストールします。
年末調整アプリのインストールが済んだら、アプリを起動させて「控除申告書を作成する方はこちら」をタップします。
続いて、「新規作成」をタップ。
基本情報の入力
はじめに、あなた（本人）の情報（氏名・住所・生年月日など）や「令和3年中の所得の見積額」を入力します。
「令和3年中の所得の見積額」には、収入から必要経費を引いた金額を入力しますが、給与収入のみの方は、「給与収入」欄に給与収入を入力すれば自動的に計算されることになっています。
また、給与以外の収入がない方は、「給与以外の所得」欄に「0」円と入力してください。
給与以外（事業所得・雑所得・不動産所得など）の収入がある方は、「計算表を利用する」をタップして、給与所得以外の収入と必要経費を入力し、「計算する」→「計算結果を申告書へ反映する」の順にタップすると自動的に計算された金額が表示されることになっています。
ひとり親情報の入力
続いて、ひとり親の情報を入力します。
「寡婦・ひとり親」の「ひとり親である」選択し、次の項目を入力してください。
「住民票において事実上婚姻関係であることが明記されていない」→「はい」を選択。（「いいえ」の場合は、ひとり親対象外です。）
「生計を一にする子」→「有」を選択。（「無」の場合は、ひとり親対象外です。）
ひとり親の要件について、調べている方がいたらこちらの記事を参考にしてみてください。
続いて、お子さんに所得がある場合は、「合計所得額を計算する」をタップして、令和3年中の所得の見積額を入力してください。
「令和3年中に異動はありましたか？」については、（2021年の年末調整のときは）「いいえ」を選択してください。
IDパスワードの入力
「あなたの住所等の市区町村の入力」
こちらは、先ほど住所を入力した際に自動入力されています。お住まいの市区町村名が正しく入力されているか確認してください。
「従たる給与についての扶養控除等申告書の提出」
こちらは、2か所以上から給与の支払いを受けている人が、他の給与支払者に「従たる給与についての扶養控除申告書」を提出している場合は、「有」を選択してください。
「IDパスワードの入力」
最後に、（次回ログインするときなどに使用するため）IDとパスワードを設定します。
勤務先からIDとパスワードについての指示がある場合は、勤務先の指示に従って設定してください。
入力が済んだら「次へ」をタップします。
給与支払者の情報の入力
こちらには、勤務先の情報を入力します。
法人番号の入力は必須ではありませんが、入力する場合は国税庁の「法人番号公表サイト」から調べることができますので、チェックしてみてください。
入力が済んだら「入力完了」をタップします。
ここまで入力した「あなたの情報」と「給与支払者（勤務先）の情報」を確認し、間違いがなければ「次のステップ進む」をタップしてください。
保険会社から送られてきた証明書のインポート
これまで保険会社や金融機関などからハガキ等の書面で送られてきた「生命保険料・個人年金保険料・介護医療保険料・地震保険料控除証明書」は、電子データでも取得できるようになりましたので、電子データで取得した方は、「証明書の電子データをインポートする」を選択してデータをインポートしてください。
今まで通りハガキをお持ちの方（または生命保険料控除等を受けない方）は、「インポートしない」を選択して「次へ」をタップしてください。
今年（令和3年）の年末調整の際に、電子データで取得・提出できる証明書は、「保険料控除証明書（生命保険料（新・旧）、個人年金保険料（新・旧）、介護保険料、地震保険料）」「住宅借入金等特別控除証明書（居住年が平成31年以後のみ）」「年末残高等証明書（居住開始年が平成31年以後のみ）」です。
その他の書類（社会保険料控除証明書など）については、電子データで取得することができますので、今まで通り書面（ハガキ等）を提出（提示）する必要があります。
作成する控除申告書を選択する
年末調整アプリでは、複数の申告書が同時に作成ができるため、控除を受ける申告書を選択して「確定」をタップしてください。
ここで間違った選択をしても、該当しない場合は途中で案内が表示されますので、安心してください。
扶養親族の情報を入力
続いて、お子さん（扶養親族）の情報を入力していきます。
16歳未満（平成19年1月2日以降生まれ）の親族も入力しますので、「扶養親族の情報の入力」→「する」を選択します。
続いて、こちら↓に扶養親族（お子さん）の情報を入力してください。
入力が済んだら「入力完了」をタップします。
すると、確認画面が表示されますので、入力した内容を確認し、「保存して次の申告書作成に進む」をタップします。
基礎控除の額の確認
続いて、（自動計算された）基礎控除額が表示されますので、「保存して次の申告書作成に進む」をタップします。
これまで基礎控除額というと「一律38万円」でしたが、昨年（令和2年）からは合計所得金額が2,400万円（年収2,595万円）以下の人は、「48万円」に引き上げられています。
詳細は、こちらの記事で確認することができますので、調べている方がいたら参考にしてみてください。
保険料控除を受ける場合に入力する
「生命保険料控除」「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済掛金控除（iDeCo）」など各種控除を受ける場合は、選択して必要事項を入力してください。（※電子データをインポートした方は自動入力されます。）
電子データを取得していない場合でも、入力するだけで控除額は自動計算されます。入力方法等は、こちらの記事で解説していますので、調べている方がいたら参考にしてみてください。
入力が済んだら「保存して次の申告書作成に進む」をタップしてください。
入力内容を確認する
これまで入力したすべての申告書データが表示されます。
誤りがないかを確認してから「確定」をタップしてください。
出力形式の選択
続いて、入力したデータの出力方法を選択します。
勤務先が年末調整の電子化に対応している場合
データのまま勤務先に提出できるようになっていますので、「電子データで出力する」を選択して、「出力する控除申告書」を確認してから「次のステップに進む」をタップしてください。
（※勤務先の指示に従って対応するようにしてください。）
勤務先が年末調整の電子化に対応していない場合
「年末調整アプリ」を利用して作成した申告書データをプリントアウトして提出する必要がありますので、「書面印刷」を選択して、「出力する控除申告書」を確認してから「次のステップに進む」をタップしてください。
マイナンバーの入力
あなた（本人）とお子さん（扶養親族）のマイナンバーについてですが、こちらは勤務先の指示に従って入力するようにしてください。
勤務先の指示が入力不要ということであれば、「マイナンバーは提供済み」を選択して、「電子データで出力する」または「書面印刷する」をタップしてください。
これでアプリでの入力は終了です。
あとは、勤務先の指示に従って電子データで送信か書面を印刷してから勤務先に提出するようにしてください。
年末調整アプリを利用して作成したデータをプリントアウトすると↓の様式となりますが、この様式のまま提出してokです。
最後に
令和2年4月から寡婦控除が見直され、新たに「ひとり親控除」が新設されました。これまで「寡婦」「寡夫」「特別の寡婦」の３通りだったものが、「寡婦」か「ひとり親」のいずれかとなっています。
こちらの記事では、寡婦・ひとり親の要件や申告書（手書き版）の記入方法についてまとめていますので、よろしければ参考にしてみてください。
▶寡婦・ひとり親の要件と＜令和4年分＞扶養控除等申告書の書き方を解説
