今回は、平成29年分の確定申告から適用された医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の確定申告について、セルフメディケーション税制明細書の記入例や申告書(令和元年分)の書き方、税額の計算方法までをわかりやすく画像付きでまとめてみました。
実は、今回も職場の同僚から「セルフメディケーション税制で確定申告すると、税金はいくら戻ってくるの?」と聞かれ、その同僚の分を参考に記事を作成しましたので、よろしければ参考にしてみてください。
(こちらの記事は、給与所得⇒年末調整が済んでいる方を対象にまとめた記事となります。)
医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の確定申告書の書き方
医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)の確定申告は、以下の順に書類を記入していきます。
そのため、記入の際は事前に以下のものを用意してから始めてくださいね。
事前に準備するもの
セルフメディケーション税制の明細書を記入する
まず、「セルフメディケーション税制の明細書」を記入していきます。
<セルフメディケーション税制の明細書(令和元年分)の記入例>
▶市販薬で節税!医療費控除の特例セルフメディケーション明細書の書き方
確定申告書A(第一表)を記入する
次に、「確定申告書A(第一表)」の記入方法を、下記の1~3の順に解説していきます。
1.源泉徴収票から転記する
まず、源泉徴収票を見ながら、①~④の金額を「確定申告書A(第一表)」へ転記していきます。
【収入金額等】
「給与」欄に源泉徴収票の①「支払金額」を転記します。
【所得金額】
「給与」欄に源泉徴収票の②「給与所得控除後の金額」を転記します。
「合計」欄には、②の金額を記入します。(※他の所得がある場合は、その所得も含めた合計額を記入してください。)
【所得から差し引かれる金額】
「⑥から⑮までの計」欄は、年末調整時と同じ場合、③「所得控除の合計額」を転記します。
(確定申告で控除をする場合は、⑥~⑮の該当する控除欄に金額を記入し、その合計額を記入してください。)
【税金の計算】
「源泉徴収税額」欄に源泉徴収票の④「源泉徴収税額」を転記します。
2.セルフメディケーション税制明細書から転記する
続いて、「セルフメディケーション税制明細書」から確定申告書A(第一表)へ転記していきます。
セルフメディケーション税制の明細書の「医療費控除額」を確定申告書A(第一表)へ図のように転記します。ここの区分は「1」と記入してください。
(※区分について、セルフメディケーション税制は「1」、通常の医療費控除は「空欄」です。)
3.税金を計算する
最後に⑤~⑧を順番に計算し、税金を求めます。
⑤所得から差し引かれる金額を合計します。
今回の例では、1,400,744+18,000=1,418,744となります。
⑥課税される所得金額とその税額を計算します。
課税される所得金額は⑤-⑳なので、この例では、3,140,000-1,418,744=1,721,256
「1,000円未満は切り捨て」となりますので、1,721,000となります。
その下の「上の㉑に対する税額」は、「課税所得金額×税率-控除額」で求めますが、「税率」と「控除額」は課税される所得金額で変わってきますので、よろしければこちらの記事でご確認ください。
▶確定申告書A:税金の計算「上の㉑に対する税額」の計算方法を解説!
今回の例では、課税される所得金額が1,721,000円なので、「5%」の税率を使い計算します。
1,721,000×5%-0=86,050となります。
⑦復興特別所得税額を計算します。
86,050×2.1%=1,807(1円未満切り捨て)
⑧所得税+復興特別所得税を計算します。
86,050+1,807=87,857
これが今回の医療費控除の特例を受けた場合の税額となります。
最後に、この87,857円から源泉徴収票の税額88,700円を引いて出た差額が還付される(または納付する)金額です。
87,857-88,700=-843円
今回の例では、納めた源泉徴収税が843円戻ってくるという計算になります。
(計算の結果がプラスになる場合は、「納める税額」欄に記入してください。)
※一部のネット銀行では、還付金を受け取ることができません。還付金の受取先をネット銀行に指定する場合は、以下の記事を確認してみてください。
▶<確定申告の還付金>受取れるネット銀行と振込先を間違えたときの対処法
還付金を郵便局の窓口で受け取る場合は、こちらの記事を参考にしてみてください。
▶<確定申告の還付金>郵便局の窓口で受取る方法と受取先を変更する手続き
これで、確定申告書A(第一表)の記入が終わりました。
続いて、確定申告書A(第二表)の記入をしていきましょう。
確定申告書A(第二表)を記入する
ここからは、「確定申告書A(第二表)」の記入方法について解説していきます。
まず、「確定申告書A(第二表)」をA・B・C・Dに区切り、それぞれ順番に確認していきましょう。
A:所得の内訳
源泉徴収票の①④⑥を、図のように転記していきます。
最後に合計額の記入を忘れないようにしてください。
B:住民税に関する事項
16歳未満の子ども(扶養親族)がいる場合は、(源泉徴収票⑤)氏名・続柄・生年月日・マイナンバーを記入します。
また、平成31年(平成30年分)の申告から「同一生計配偶者」欄が設けられていますので、同一生計配偶者がいる場合は、配偶者の氏名・生年月日・マイナンバーも記入するようにしてください。
▶マイナンバー<通知カード>を紛失したときは?再発行の手続き方法
C:所得から差し引かれる金額に関する事項
こちらは、申告の際に源泉徴収票を添付しますので、源泉徴収票と同じ場合は、記入は不要です。
(※記入する場合は、源泉徴収票から図のように転記していきます。)
D:医療費控除欄を記入する
こちらは、「セルフメディケーション税制の明細書」の「3.控除額の計算」から図のように金額を転記してください。
以上で、「確定申告書A(第二表)」の記入も完了です。
最後に
平成29年分の確定申告から領収書(レシート)の添付が不要になる代わりに、「セルフメディケーション税制の明細書」の添付が必要です。また、明細書に記載した領収書(レシート)は、5年間保管するという決まりになっていますので、捨てずに自宅で保管するようにしてくださいね。