私の職場でも年末調整の時期になると「所得の見積額の書き方がわからない!」という質問が多くなります。特に、配偶者や扶養親族が給与と年金の両方をもらっている場合は、どのように記入すればいいのか?戸惑う人も多いと思います。
そこで今回は、給与(パート・アルバイト含む)と年金を両方もらっている場合の『所得の見積額』の確認方法を解説します。
給与収入と年金収入があるときの所得の見積額
パートやアルバイトなどの給与と年金の両方から収入がある場合は、給与の所得見積額と年金の所得見積額をそれぞれ計算した上で合計します。
つまり、計算式にすると、↓こうなります。
所得の見積額=給与所得の見積額+年金所得の見積額
この「給与所得・年金所得の見積額」とは、給与や年金等の収入額をそのまま記載するのではなく、収入から必要経費(給与所得控除や公的年金等控除など)を引いた額になります。
そこで、まずは「給与所得の見積額」の計算方法から解説していきます。
給与所得の見積額
給与収入(パートやアルバイト含む)を得ている人の所得の見積額は、「給与収入金額」を下記の表に当てはめて求めます。
給与収入金額 | 給与所得控除後の金額(所得の見積額) |
---|---|
~650,999円 | 0円 |
651,000円~1,618,999円 | 給与収入-650,000円 |
1,619,000円~1,619,999円 | 969,000円 |
1,620,000円~1,621,999円 | 970,000円 |
1,622,000円~1,623,999円 | 972,000円 |
1,624,000円~1,627,999円 | 974,000円 |
1,628,000円~1,799,999円 | 給与収入÷4=A Aの金額(1,000円未満切り捨て)×2.4 |
1,800,000円~3,599,999円 | 給与収入÷4=A Aの金額(1,000円未満切り捨て)×2.8-18万円 |
3,600,000円~6,599,999円 | 給与収入÷4=A Aの金額(1,000円未満切り捨て)×3.2-54万円 |
6,600,000円~9,999,999円 | 給与収入×0.9-120万円 |
(※令和元年分まで)
例えば、給与収入が5,720,000円だった場合の「給与所得の見積額」は、(上記の表から)次の計算式を使いを求めます。
5,720,000円÷4=1,430,000円
1,430,000円×3.2-540,000円=4,036,000円
この場合の所得の見積額は4,036,000円となります。
続いて、「年金所得の見積額」の計算方法を解説していきます。
年金所得の見積額
年金収入を得ている人の所得の見積額は、次の計算式を使い求めます。
年金所得の見積額=年金収入-公的年金等控除額
「公的年金等控除額」は、下記のように年齢や受け取る年金額に応じて異なります。
<65歳未満の場合>(※昭和30年1月2日以後に生まれた人)
その年に受け取る年金額(A) | 公的年金等控除額(計算式) |
---|---|
130万円以下 | 70万円 |
130万円超~410万円以下 | (A)×25%+375,000円 |
410万円超~770万円以下 | (A)×15%+785,000円 |
770万円超 | (A)×5%+1,555,000円 |
(※令和元年分まで)
<65歳以上の場合>(※昭和30年1月1日以前に生まれた人)
その年に受け取る年金額(A) | 公的年金等控除額(計算式) |
---|---|
330万円以下 | 120万円 |
330万円超~410万円以下 | (A)×25%+375,000円 |
410万円超~770万円以下 | (A)×15%+785,000円 |
770万円超 | (A)×5%+1,555,000円 |
(※令和元年分まで)
例えば、63歳で年金収入が80万円の場合、年金の所得の見積額は80万円-70万円=10万円となります。(計算の結果がマイナスになる場合、所得の見積額は「0円」となります。)
2種類以上の年金収入がある場合は、合計して計算します。ただし、所得税の場合、遺族年金・障害年金は非課税となりますので、年金収入には含みませんので注意してください。
あとは、それぞれの所得の見積額を合計(給与所得の見積額+年金所得の見積額)したものが「所得の見積額」となります。
ピンとこない方は、下記の計算例で確認してみてください。
特別支給の老齢厚生年金とパート収入(給与)がある場合の所得の見積額は?
Aさんの配偶者Bさん(64歳)は、特別支給の老齢厚生年金(80万円)とパート収入(100万円)があります。この場合、配偶者Bさんの所得の見積額はいくらになるでしょうか。
<配偶者Bさんの所得の見積額>
給与所得の見積額は、100万円(パート収入)-65万円(給与所得控除額)=35万円
年金所得の見積額は、80万円(年金収入)-70万円(公的年金等控除額65歳未満)=10万円
あとは、給与所得と年金所得の見積額を合計35万円+10万円=45万円して、Bさんの所得の見積額は45万円となります。
②所得の見積額が38万円を超えた場合→控除対象配偶者・控除対象扶養親族には該当しない
上記の①と②の場合は、申告書への記載は不要です。(※この金額は令和元年分です。)
最後に
今年も年末調整の時期がやってきました!こちらでは、令和元年度に会社に提出する申告書の記載方法についてまとめていますので、よろしければあわせて参考にしてみてください。
<令和2年分>給与所得者の扶養控除等申告書の書き方
▶<令和元年・年末調整>令和2年分の扶養控除等申告書の書き方と記入例
<令和元年分>給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方
▶<年末調整>令和元年分・配偶者控除等申告書の書き方をわかりやすく解説
<令和元年分>給与所得者の保険料控除申告書の書き方
▶<年末調整2019>令和元年分・保険料控除申告書の書き方を解説!