私の職場でも年末調整の時期になると「所得の見積額の書き方がわからない!」という質問が多くなります。特に、配偶者や扶養親族が給与と年金の両方をもらっている場合は、どのように記入すればいいのか?戸惑う人も多いと思います。

そこで今回は、給与(パート・アルバイト含む)と年金を両方もらっている場合の『所得の見積額』の確認方法を解説します。

※令和2年から「給与所得控除額」と「公的年金等控除額」が変更になっています。今年(令和5年)の扶養控除等申告書に記載する「令和6年中の所得の見積額」について調べている方は、こちらの記事を参考にしてみてください。

<所得の見積額>年金と給与、両方もらっている場合の記載方法を解説

給与収入と年金収入があるときの所得の見積額

パートやアルバイトなどの給与と年金の両方から収入がある場合は、給与の所得見積額年金の所得見積額をそれぞれ計算した上で合計します。


つまり、計算式にすると、↓こうなります。


所得の見積額=給与所得の見積額+年金所得の見積額

この「給与所得・年金所得の見積額」とは、給与や年金等の収入額をそのまま記載するのではなく、収入から必要経費(給与所得控除や公的年金等控除など)を引いた額になります。

そこで、まずは「給与所得の見積額」の計算方法から解説していきます。


給与所得の見積額

給与収入(パートやアルバイト含む)を得ている人の所得の見積額は、「給与収入金額」を下記の表に当てはめて求めます。


Point!
「令和元年分・配偶者控除等申告書」は、今年(令和元年)最後の給与をもらう前日までに、今年1年間(平成31年1月1日~令和元年12月31日)の所得の見積額を記載して提出することになっています。つまり、今年最後の給与を受け取る前に提出するため、給与収入金額は直近の給与明細などを参考に1年分の見込み額を計算してください。

給与収入金額 給与所得控除後の金額(所得の見積額)
~650,999円 0円
651,000円~1,618,999円 給与収入-650,000円
1,619,000円~1,619,999円 969,000円
1,620,000円~1,621,999円 970,000円
1,622,000円~1,623,999円 972,000円
1,624,000円~1,627,999円 974,000円
1,628,000円~1,799,999円 給与収入÷4=A Aの金額(1,000円未満切り捨て)×2.4
1,800,000円~3,599,999円 給与収入÷4=A Aの金額(1,000円未満切り捨て)×2.8-18万円
3,600,000円~6,599,999円 給与収入÷4=A Aの金額(1,000円未満切り捨て)×3.2-54万円
6,600,000円~9,999,999円 給与収入×0.9-120万円

(※令和元年分まで)



例えば、給与収入が5,720,000円だった場合の「給与所得の見積額」は、(上記の表から)次の計算式を使いを求めます。

<計算式>

令和元年分 所得の見積額 調べ方

給与収入÷4=A

Aの金額(1,000円未満切り捨て)×3.2-54万円


5,720,000円÷4=1,430,000円

1,430,000円×3.2-540,000円=4,036,000円


この場合の所得の見積額は4,036,000円となります。


続いて、「年金所得の見積額」の計算方法を解説していきます。

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年金所得の見積額

年金収入を得ている人の所得の見積額は、次の計算式を使い求めます。


年金所得の見積額=年金収入-公的年金等控除額


「公的年金等控除額」は、下記のように年齢や受け取る年金額に応じて異なります。


<65歳未満の場合>(※昭和30年1月2日以後に生まれた人)

その年に受け取る年金額(A) 公的年金等控除額(計算式)
130万円以下 70万円
130万円超~410万円以下 (A)×25%+375,000円
410万円超~770万円以下 (A)×15%+785,000円
770万円超 (A)×5%+1,555,000円

(※令和元年分まで)



<65歳以上の場合>(※昭和30年1月1日以前に生まれた人)

その年に受け取る年金額(A) 公的年金等控除額(計算式)
330万円以下 120万円
330万円超~410万円以下 (A)×25%+375,000円
410万円超~770万円以下 (A)×15%+785,000円
770万円超 (A)×5%+1,555,000円

(※令和元年分まで)


例えば、63歳で年金収入が80万円の場合、年金の所得の見積額は80万円-70万円=10万円となります。(計算の結果がマイナスになる場合、所得の見積額は「0円」となります。)


2種類以上の年金収入がある場合は、合計して計算します。ただし、所得税の場合、遺族年金・障害年金は非課税となりますので、年金収入には含みませんので注意してください。


あとは、それぞれの所得の見積額を合計(給与所得の見積額+年金所得の見積額)したものが「所得の見積額」となります。

ピンとこない方は、下記の計算例で確認してみてください。

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特別支給の老齢厚生年金とパート収入(給与)がある場合の所得の見積額は?

Aさんの配偶者Bさん(64歳)は、特別支給の老齢厚生年金(80万円)とパート収入(100万円)があります。この場合、配偶者Bさんの所得の見積額はいくらになるでしょうか。


<配偶者Bさんの所得の見積額>

給与所得の見積額は、100万円(パート収入)-65万円(給与所得控除額)=35万円

年金所得の見積額は、80万円(年金収入)-70万円(公的年金等控除額65歳未満)=10万円


あとは、給与所得と年金所得の見積額を合計35万円+10万円=45万円して、Bさんの所得の見積額は45万円となります。


Point!
①所得の見積額が85万円を超えた場合源泉控除対象配偶者には該当しない

②所得の見積額が38万円を超えた場合控除対象配偶者・控除対象扶養親族には該当しない

上記の①と②の場合は、申告書への記載は不要です。(※この金額は令和元年分です。)


2020年(令和2年)から給与所得控除額と公的年金等控除額が変更になります。つまり、令和2年分の扶養控除等申告書に記入する「令和2年中の所得の見積額」は上記の計算方法と異なりますので、詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

<所得の見積額>年金と給与、両方もらっている場合の記載方法を解説

最後に

今年も年末調整の時期がやってきました!こちらでは、令和元年度に会社に提出する申告書の記載方法についてまとめていますので、よろしければあわせて参考にしてみてください。

<令和2年分>給与所得者の扶養控除等申告書の書き方
<令和元年・年末調整>令和2年分の扶養控除等申告書の書き方と記入例

<令和元年分>給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方
<年末調整>令和元年分・配偶者控除等申告書の書き方をわかりやすく解説

<令和元年分>給与所得者の保険料控除申告書の書き方
<年末調整2019>令和元年分・保険料控除申告書の書き方を解説!

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