現在、国民健康保険に加入している方の中には「保険料が払えない!」という方や「既に保険料を滞納している」という方もいると思います。実は私も過去に保険料の滞納を経験しています。
国民健康保険料(税)を滞納し続けると、最悪「預貯金や給与の差押え」などの滞納処分を受けることになります。「差押えなんて大げさなぁ~」と思っている方、油断しないようにしてください!
実際に東京都杉並区では、平成28年度に「477件」の滞納処分が実施されています。また、静岡県浜松市のように「やります!速やかな滞納処分!」というスローガンを掲げ、差押えに積極的な市区町村もあります。
そこで今回は、国民健康保険料(税)を滞納したときに気になる、差押え処分までの流れや延滞金の計算方法などについてまとめてみました。
国民健康保険料(税)を滞納するとどうなる?
国民健康保険料(税)を滞納すると、預貯金や給与の差押えなどの滞納処分を受ける恐れがあります。
滞納したからと言って、いきなり差押えを受けるケースは少ないですが、差押えまでにいくつかのペナルティがありますので、チェックしていきましょう。
(※悪質と判断された場合は、いきなり「差押え」というケースもあるそうです。)
差押えまでの流れは、次の①~⑤となります。
では、①~⑤の内容を詳しく見ていきましょう。
①督促状と催告
国民健康保険料(税)は、納付書に記載されている指定期限までに納付することになっていますが、支払が遅れると、まず督促状が送られてきます。
督促状を無視してそのまま滞納し続けると、次に電話や訪問での催告が行われます。
私の場合は、この時点で市区町村の担当課に連絡を入れ「分割払い」の相談を行いました。そのときの相談内容は、こちらの記事にまとめていますので、良かったら参考にしてみてください。
▶国民健康保険料が払えない!滞納処分の前にやるべきこと【実体験版】
②短期被保険者証が発行される
督促状や催告を受けたにも関わらず保険料を支払わないでいると、次回、保険証を更新する際に有効期間の短い「短期被保険者証」が発行される場合があります。
通常、保険証の有効期限は1~2年間(市区町村ごとに異なる)となっていますが、この「短期被保険者証」の場合は、有効期限が3~6ヶ月(市区町村ごとに異なる)の保険証となります。
「短期被保険証」を発行することで、更新手続きの頻度を上げ、滞納している人と納付相談をする機会を増やすことが目的だと考えられます。
③被保険者資格証明書が発行される
それでも保険料の滞納(1年以上)が続くと、今度は保険証を返還し、保険証の代わりに「被保険者資格証明書」が発行されることになっています。
この「被保険者資格証明書」の特徴は、医療機関窓口で一旦医療費の全額(10割)を払い、後日市区町村へ申請することで自己負担分を返してもらうことになる点です。
但し、市区町村から返金される額から滞納分の保険料が差し引かれる仕組みになっています。
④給付金の受給制限
被保険者資格証明書が発行されたあとも保険料を払わないでいると、次は特別療養費、高額療養費、出産育児一時金、葬祭費などの支給申請があった場合、その給付金の全部または一部が差し止められることなります。
⑤預貯金や給与などの差押え
ここでも、保険料の納付相談をせずに滞納を続けた場合、いよいよ滞納処分(預貯金や給与の差押え)となる可能性があります。
この滞納処分(預貯金や給与の差押え)は予告なく行われますので、すぐに保険料の納付ができない場合でも、納付相談をするようにしてください。
私のときもそうでしたが、正直に話せば、職員の方も親身になって対応してくれますので、安心してください。
滞納すると延滞金が発生する!?
保険料を滞納すると、その滞納期間に応じて延滞金が発生します。
この延滞金は、滞納分の支払いが終わったあとに請求されることになっています。
延滞金の計算方法
それでは、延滞金はいくらになるのか?ここからは例を使って計算方法を解説していきます。
今回のモデルはJさんです。
Jさんは、納付期限が平成29年3月31日の保険料25,000円を滞納し、平成29年12月25日に納付しました。この場合の延滞金はいくらか?計算してみましょう!
まず、延滞金の計算で基礎となる「滞納保険料額」を確認します。
滞納保険料額は、滞納している保険料の納付書に記載されている金額で1,000円未満の端数は切り捨てた金額です。Jさんの滞納保険料額は25,000円ですね。
続いて、計算に利用する延滞金の割合を下の表から確認していきます。
<延滞金の割合>
期間 | A | B |
---|---|---|
平成27年・28年 | 年2.8% | 年9.1% |
平成29年 | 年2.7% | 年9.0% |
平成30年~令和2年 | 年2.6% | 年8.9% |
Jさんの場合は、納付期限と納付した日が平成29年なので、平成29年のA・Bの割合を使い計算をしていきます。
次に、Aの日数を確認します。
A=納期限の翌日から1ヶ月を経過する日まで
Jさんの場合、納付期限3/31の翌日は4/1なので、4/1~4/30までの「30日間」がAの日数となります。
同じようにBの日数を確認します。
B=1ヶ月を経過した日以降から納付した日まで
Jさんの場合、1ヶ月を経過した日以降は5/1なので、5/1~12/25までの「178日間」がBの日数となります。
ここまでをまとめると、JさんのAの割合と日数は「2.7%と30日」で、Bの割合と日数は「9.0%と178日」となりました。この数字を計算式に当てはめて延滞金を算出します。
それでは、下の計算式に当てはめてみましょう。
延滞金=(滞納保険料額×A%×Aの日数÷365)+(滞納保険料額×B%×Bの日数÷365)
(25,000円×0.027×30÷365)=55.497・・(1円未満の端数は切り捨て)→55円
(25,000円×0.09×178÷365)=1,097.260・・(1円未満の端数は切り捨て)→1,097円
55円+1,097円=1,152円(100円未満の端数は切り捨て)→1,100円
よって、Jさんの延滞金は1,100円となります。
延滞金が発生しなかった例
私の場合、滞納分の保険料を払い終えるまで約2年かかりましたが、延滞金は発生しませんでした。
その理由を、以下にまとめましたので、参考にしてみてください。
というように、私の場合は定期的に連絡を入れ、返済する意思をみせていたので、延滞金は発生せず保険料のみの支払いで済みました。
ただ、職員の方の言うとおり、ちゃんと期限内に支払っている方もいるため、反省しないといけませんね。
※国保は各都道府県+各市区町村ごとに運営されているため、すべての市区町村で同じ対応になるとは限りませんので、ご注意ください。
最後に
国民健康保険料(税)の支払いには「時効」があります。この時効は市区町村ごとに設定されている「保険料」と「保険税」で異なります。
保険料 | 2年 |
---|---|
保険税 | 5年 |
但し、時効が成立するのは、納付期限を過ぎた日(滞納した日)から上記の期間までに一度も督促や催告が無かった場合です。
滞納期間中に督促状などが届くとその督促状の発行日から再び起算されることになっているため、時効の成立は厳しいと考えた方がよさそうです。
国民健康保険には、保険料を軽減・減免できる制度があります。下の記事に詳しくまとめていますので、是非、こちらも参考にしてみてください。