育児休業を取るときは、「社会保険料(健康保険・厚生年金)の免除」や「育児休業給付金の支給」「復帰後の社会保険料の特例」など、お得な制度を利用することができるのをご存知ですか?
実際に私の勤務先でも育児休業を取得する社員には、詳しく説明しています。(会社側にもメリットが大きいので)
そこで今回は、育休中の社会保険料(健康保険・厚生年金)の免除について、免除される期間や申請方法などをまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。
育児休業中は社会保険料(健康保険・厚生年金)が免除されます!
育児休業やそれに準じる休業(3歳未満の子どもを養育する期間)期間中は、健康保険(介護保険含む)、厚生年金保険の保険料が(会社・本人負担分ともに)免除されることになっています。
つまり、育児休業中は、社会保険料(健康保険・厚生年金)を払わなくて良いということです。
「でも、将来の年金への影響が気になる・・・」という方もいると思います。
ご心配なく!
育児休業中に社会保険料の免除を受けた場合でも、将来受給する年金額の計算には、社会保険料を支払ったもとのして扱われるため、受け取る年金が減るということはありません。
このように、育児休業中の社会保険料免除は「実際に保険料を納めている」という扱いになるため、かなりお得な制度になっています。(もちろん、今まで通り医療機関等で保険証を利用することも可能です。)
では、「実際にいつからいつまで免除されるのか?」免除される期間について、確認していきましょう。
免除される期間を確認
社会保険料が免除される期間は、次のとおりです。
「育児休業等を開始した日が属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月まで」
わかりにくいので、例を使い、文を分解して解説します。
(例1)育児休業を10月10日~10月31日の期間で取得した場合
つまり、この(例1)場合は、10月~10月までが社会保険料の免除対象期間となりますので、10月分の1ヶ月間の社会保険料が免除されることになります。
例(2)1月10日~11月15日まで育児休業を取った場合
この(例2)場合は、1月分~10月分まで10ヶ月間の社会保険料が免除されることになります。
では、次の例はどうでしょう?
(例3)育児休業の期間を2021年10月10日~10月30日の期間で取得した場合
育児休業の期間が、2021年10月10日~10月30日までだった場合は、
この(例3)場合は、2021年10月~2021年9月までとありえない期間となってしまいますので、このケースでは、社会保険料は免除されないということになります。
つまり、「月末の日」が育児休業期間に含まれるかどうかで、社会保険料が免除されるかどうかが決まるということです。
極端な話をすると、月末の1日だけでも育児休業を取得していれば、社会保険料は免除されるという状態です。
育児休業中の社会保険料の免除は、賞与(ボーナス)も対象です。
免除の対象になるのは、毎月の給与と同様に「月末の日」が育児休業期間に含まれるかどうかです。
例えば、6月10日に賞与が支給され、6月26日~6月30日の5日間だけ育児休業を取得した場合、(月末の日が含まれているため)6月の給与と賞与、両方の社会保険料が免除されます。(※賞与が7月に支給された場合は、社会保険料の免除対象外となりますので、注意してください。)
給与(標準報酬月額)36万円の人の場合で、1ヶ月約5万円※の社会保険料を払わなくていいことになりますので、これから育児休業を取得する方は「月末の日」を含めるように、調整してみてください。(※東京都・令和3年3月分~・介護保険料なしの場合)
でも、育児休業した日数に関係なく、「月末の日」1日だけ育児休業を取得すれば社会保険料が免除されるというのは、ちょっと不公平感ありますよね。。。。
そこで、令和4年10月1日から免除対象期間が変更されることになりました。詳しくはこちらの記事にまとめていますので、調べている方がいたら、チェックしてみてください。
▶令和4年10月~育休中の社会保険料の免除が変わります!変更点を解説
育児休業が取得できる期間を確認
育児休業が取得できるのは、原則として子どもが生まれたあと、養育を開始した日から子どもが1歳になるまで(1歳の誕生日の前日)の間で本人が希望する期間です。(パパ・ママ育休プラスを利用すると2ヶ月間延長することができます。)
ただし、保育所に入ることができない場合など特別な理由がある場合は、さらに6ヶ月の延長が認められています。また、平成29年10月1日からは、さらに6ヶ月(2歳になるまで)の再延長も認められるようになりました。
もちろん、産休(産前・産後)中も社会保険料の免除を受けることができます。
▶産休中の社会保険料は払わなくていい!免除される期間と申請方法を確認
申請方法と申請期限
ここからは、社会保険料の免除を受けるときの申請方法と申請期限を確認していきましょう。
申請方法
育児休業期間中の社会保険料の免除を希望する場合は、勤務先に「育休中の社会保険料の免除をお願いします!」と、伝えるだけでokです。(もちろん、男性でも申請可能です。)
あとは、会社が年金事務所へ「育児休業取得者申出書」を提出しますので、申請者本人が手続きすることはありません。
申請期限
育児休業中の社会保険料の免除申請は、育児休業期間中に行うことになっています。
育児休業から復帰すると、「時短勤務」や「残業ができない」などの理由から、給与が育児休業を取る前よりも減ることがありますが、この場合は減った給与に対して報酬月額を見直し健康保険・厚生年金保険料を安くする制度が用意されています。
最後に
育児休業中の給与や賞与(ボーナス)に対する社会保険料(健康保険・厚生年金)は免除されますが、雇用保険料や住民税は免除されませんので、注意してくださいね。
▶育児休業中の住民税の支払はどうなる?支払方法と免除・猶予制度を確認