現在、「育児休業を取得している期間は社会保険料が免除される」制度が用意されていますが、現行の免除制度には欠点があるため、令和4年(2022年)10月1日から育児休業中の社会保険料の免除ルールが改正されることになりました。

そこで今回は、令和4年(2022年)10月1日から育児休業期間中の社会保険料の免除制度はどのように変わるのか?わかりやく解説していきます。

現行の免除ルール

令和4年 育児休業期間中 社会保険料免除 変更点

まず、現行の社会保険料の免除ルールから確認していきましょう。


現在、育児休業期間中に社会保険料が免除される期間は、次のようになっています。


「育児休業等を開始した日が属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月まで」


何を言ってるのか?わかりにくいと思いますので、ここから例を使い、文を分解して解説します。


(例1)育児休業を10月10日~10月31日の期間で取得した場合

育児休業等を開始した日⇒10月10日


が属する月から10月から

その育児休業等が終了する日⇒10月31日


翌日が⇒11月1日


属する月の⇒11月


前月まで10月まで



つまり、この(例1)場合は、10月~10月までが社会保険料免除対象期間となりますので、10月分の1ヶ月間の社会保険料が免除されることになります。


では、次の例はどうでしょう?

(例2)育児休業の期間を2021年10月10日~10月30日の期間で取得した場合

育児休業の期間が、2021年10月10日~10月30日までだった場合は、

育児休業等を開始した日⇒10月10日


が属する月から10月から

その育児休業等が終了する日⇒10月30日


翌日が⇒10月31日


属する月の⇒10月


前月まで9月まで



この(例2)場合は、2021年10月~2021年9月までとありえない期間となってしまいますので、このケースでは、社会保険料は免除されないということになります。


つまり、現行の免除ルールのポイントは、「月末の日」が育児休業期間に含まれるかどうかで、社会保険料が免除されるかどうかが決まるということになっています。

極端な話をすると、月末の1日だけでも育児休業を取得していれば、社会保険料は免除されるという状態です。


育児休業期間(例) 判定
10月1日~10月30日 免除されない
10月31日(月末日)のみ 免除される

でも、これってちょっと不公平ですよね??

そうなんです!現行の免除ルールには不公平感があり、おかしな状態になっています。



そこで、今回の改正で令和4年10月1日から次のようになります。

令和4年(2022年)10月1日からの免除ルール

現行の免除ルール「育児休業等を開始した日が属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月まで」


に加えて、

「同月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の社会保険料を免除する」


ということが追加されました。

新たな免除ルールが追加されたことで、現行の免除ルールでは「免除されない」となっていた↓



<現行の免除ルール>

育児休業期間(例) 判定
10月1日~10月30日 免除されない
10月31日(月末日)のみ 免除される

「育児休業期間(例)10月1日~10月30日」は、「同月内に2週間以上」が適用されるので、

<改正後の免除ルール>

育児休業期間(例) 判定
10月1日~10月30日 免除されない 免除される
10月31日(月末日)のみ 免除される

改正後は免除されることになります。また、「10月31日(月末日)のみ」についても現行の免除ルールが適用されるので、今まで通り免除されるとなります。


続いて、育児休業期間が月末をまたぐ場合を確認してみましょう。

(例)

育児休業開始日:10月20日(10月は12日間) ~ 育児休業終了日:11月4日(11月は4日間)

令和4年 育児休業期間 社会保険料免除


この場合は、それぞれの月で2週間を達成していないので、新しい免除ルールには該当しないことになりますが、「月末の日」が育児休業期間に含まれているため、現行の免除ルールが適用され、10月分の社会保険料が免除されることになります。

だいぶ不公平感がなくなったと思います。


では次に、ボーナス(賞与)のケースを確認してみましょう。

ボーナス(賞与)の場合

育児休業期間中に支給されるボーナスについても社会保険料の免除対象になりますが、現行の免除ルールは、毎月の給与と同じく「月末の日」が育児休業期間に含まれるかどうかです。


育児休業の月末の日の月にボーナスが支給される場合は、社会保険料が免除となります。


給与と同じくたった1日で判定されてしまうため、こちらも不公平感があるルールになっています。


そのため、改正後は、次のようになります。



1ヶ月を超える育児休業を取得している場合に限り社会保険料が免除される


つまり、給与で免除対象になった下記のケースは、ボーナスの場合は免除されないということになります。

育児休業期間(例) 判定
10月1日~10月30日 免除されない
10月31日(月末日)のみ 免除されない

このようにボーナス(賞与)の場合は、「育児休業の期間が1ヶ月を超える」ということと、「月末の日が含まれる月」(※)が社会保険料免除の対象となります。



(※「1ヶ月を超える」となっていますので、必ず月末の日が含まれる形になりますね。)


(例)育児休業期間:6月5日~7月5日(1ヶ月超え)

この場合、月末の日は6月30日になるので、6月分の社会保険料が免除対象となります。


ただし、


6月にボーナスが支給される場合⇒免除される


7月にボーナスが支給される場合⇒免除されない


となりますので、注意してください。


Point!

1ヶ月超えとは?

例えば「10月5日~11月5日」となります。

「10月1日~10月31日」や「10月15日~11月14日」はちょうど1ヶ月となります。この場合、(1ヶ月以上であれば対象になりますが)1ヶ月を超えてないため、対象外となります。

最後に

今回の改正は令和4年(2022年)10月1日からなので、少し先の話になりますが、今後育児休業を取得する予定のある方は、チェックしておくことをおススメます。

令和4年(2022年)9月30日までは、現行の免除ルールとなりますので、注意してください。

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