2020年6月29日(月)から持続化給付金の対象が拡大され、給与所得・雑所得で申告していた個人事業主やフリーランスの方の申請がスタートしましたが、従来の持続化給付金より給付条件が厳しくなったため、「雑所得から事業所得に変更して申請しようか」考えている方もいると思います。
そこで今回は、収入を雑所得から事業所得に変更することはできるのか?本日、税務署に行って確認してきましたので、疑問に思っている方がいたら、ぜひ参考にしてみてください。
※持続化給付金の申請は2021年2月15日で終了しています。
雑所得から事業所得に変更することはできるのか?
この件について、税務署の職員の方に確認した内容を、下記にまとめました。
すでに確定申告が済んでいても、雑所得から事業所得に修正申告できると聞いたのですが、本当に可能なんですか?
職員の方:「その考え方は、半分合っていて、半分間違っています。
修正申告というのは、確定申告の内容が間違っていて、税額を実際より少なく申告していた場合に、後から修正することができる手続きです。
一方、税額を実際より多く申告していた場合は、更正の請求と言って、後から修正することで収め過ぎた税金の還付を受けることができます。
つまり、税額に変更がない場合は、修正申告(更正の請求)はできないことになります。」
なるほど。。。
では、税額に変更があり、修正申告(更正の請求)をするときに、それと同時に「雑所得」を「事業所得」に変更して申告することはできるのでしょうか?
職員の方:「はい。それは可能です。」
何かペナルティはあるんですか?
職員の方:「修正申告の場合は、延滞税(※)が発生する場合がありますが、更正の請求の場合は、特にペナルティはありません。(ただし、請求できる期間は、申告期限から5年以内となっています。)
また、そのときに雑所得から事業所得に変更しても特にペナルティはありません。」
最後に、念のため確認させてください。
例えば、雑所得で申告した令和元年分の確定申告から経費を削り(税額に変更が生じるため)、修正申告をするとします。
このとき提出する確定申告書の「収入金額等」の「雑・その他」を「事業(営業等・農業)」に変更して修正申告しても問題ないということですね?
職員の方:「はい。」
(※)延滞税はいくら?
気になる延滞税についてですが、延滞税は2ヶ月間は年2.6%、それ以降は年8.9%です。
ただし、本税が1万円未満の場合は切り捨てなので、修正後の税額が1万円未満になった場合は延滞税はかかりません。(本税だけ支払えばokです。)
例えば、本税が100万円で90日遅れた場合は、
{(100万円×2.6%×60日)+(100万円×8.9%×30日)}÷365=11,589
延滞税については1,000円未満切り捨てなので、11,000円となります。
延滞税については、金利も低いので、それほど気にしなくて良いと思います。(過少申告加算税は、自主的な申告の場合はかからないので、説明を省略しています。)
従来の持続化給付金は、会社員(サラリーマン)でも副業が「事業所得」になっていれば申請はできますが、今回の特例(給与所得・雑所得)では、会社員(サラリーマン)は対象外となっていますので、今後、雑所得を事業所得に変えて持続化給付金を申請する人は出てきそうですね。
では、修正申告をするときの必要書類を確認していきましょう。
修正申告するときの必要書類
修正申告をする場合は、次の3つの書類が必要です。(※税額を実際より少なく申告していた場合に行う修正申告で必要になる書類です。)
①修正申告書(別表)第五表
修正前の確定申告書を見ながら「修正申告書(別表)第五表」に転記してください。
②収支内訳書
事業所得で申告する場合は、こちらの「収支内訳書」を作成する必要があります。
具体的には、売上金額(明細)や経費(旅費交通費・通信費など)を記入する必要があります。記入方法など分からない場合は、「国税庁電話相談センター」で確認することもできますので、相談してみてください。
③確定申告書B第一表
収入金額を雑所得から事業所得に変更した「確定申告書B(第一表)」を作成します。
あとは税務署に提出するだけですが、申告書類にはマイナンバーを記載し、本人確認書類の提示または写しを添付するのを忘れないようにしてください。(e-Taxでも申請可能です。)
持続化給付金の申請には、「収受印」が押印されている確定申告書第一表(控え)が必要なので、税務署の窓口で提出する場合は、提出用と控え用の2部持参して「収受印」をもらうようにしてください。
税務署の窓口で書類作成の相談を受けたい場合は?
現在、新型コロナウイルス感染対策として、窓口で相談を受ける場合は事前に予約が必要です。
窓口で相談を受けながら書類を作成する場合は、事前に予約をして以下のものを持参するようにしてください。
- 令和元年分確定申告書類の控え(申告済みのもの)
- マイナンバー個人番号カード(通知カードの場合は本人確認書類も持参してください。)
- 印鑑
<給付金第二弾!>
持続化給付金に続き、「家賃支援給付金」が創設されました!家賃支援給付金は、家賃の3分の2を半年間分、一括で支給してくれる制度なので、ぜひ参考にしてみてください。
最後に
今回税務署で確認したところ、修正申告をするときに「雑所得」から「事業所得」に変更することができるということですが、顧問税理士のサポートを受けている方は、一度相談してから手続きをするようにしてください。