今回は、失業手当の受給資格がある人の中で、障がいのある人やその他の理由で再就職までの期間が長期化しそうな人(就職困難者)が、安定した職業に就いたときに支給される「常用就職支度手当」について、対象者支給要件申請方法などハローワークで確認した内容をまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。

常用就職支度手当ってどんな制度?

常用就職支度手当 条件 申請方法

失業手当を受給している人が、失業手当をもらい終える前に安定した職業に就いた場合は、ハローワークから「再就職手当」「就業手当」「常用就職支度手当」のいずれかが支給される場合があります。


「再就職手当」や「就業手当」は、早期に再就職をした人に対して支給される手当ですが、障害のある人や高年齢の人などは早期に再就職先を見つけることは難しいですよね。


そこで、再就職までの期間が長期化しそうな人(就職困難者)には、再就職手当の代わりになる「常用就職支度手当」という制度が用意されています。


この常用就職支度手当の特徴は、再就職手当のように「失業手当の支給残日数が何日以上残っていないと支給されない」といった条件がないという点です。


つまり、期間の縛りが解除されていますので、就職をするときに失業手当の支給残日数が1日でも残っていれば支給の対象になります。(※支給残日数を多く残して安定した職業に就いた場合は、再就職手当の支給対象になります。)


では、再就職までの期間が長期化しそうな人「就職困難者」とは、どういう人なのか?次の「常用就職支度手当の支給対象者」で確認していきましょう。

常用就職支度手当の支給対象者(就職困難者)を確認

常用就職支度手当の支給対象者(就職困難者)とは、下記①~⑥のいずれかに該当する人です。


①身体・知的・精神障がい者としてハローワークで判定を受けた人

身体・知的・精神に障がいがある人は、離職後、ハローワークで「お仕事探しの登録手続き(面談)」を行うときに、障がい者手帳(身体障がい者手帳・療育手帳・保健福祉手帳)を提示することで就職困難者としての判定を受けることができます。


また、本日ハローワークに確認したところ、「うつ病」などを理由に後日、医師の診断書等を提出して就職困難者として判定を受ける場合もあるということでした。


②就職日において45歳以上である受給資格者

勘違いしている人も多いと思いますが、就職日に45歳以上なら誰でも対象になるというわけではありません。

この45歳以上の受給資格者とは、離職前に勤めていた会社が雇用対策法にもとづき「再就職援助計画」や「大量雇用変動届」をハローワークに提出していて、その会社を離職した45歳以上の人が対象になります。

(例えば、時々ニュースになっている「〇〇会社、1,000人解雇へ」の〇〇会社を離職した45歳以上の人などです。)


「離職理由が会社都合で45歳以上だから。。。」という理由でも就職困難者には該当しませんので、注意してください。


③短期的に季節雇用されていた特例受給資格者

出稼ぎ労働者などが対象になります。


④日雇受給資格者で就職日において45歳以上の方

長年、日雇労働被保険者を繰り返している人で、就職日に45歳以上の人が対象になります。


その他、「⑤刑余者」「⑥社会的事情により就職が著しく阻害されている方」も支給の対象となります。


続いて、常用就職支度手当の支給要件を確認していきましょう。

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常用就職支度手当の支給要件

常用就職支度手当を受給するためには、先ほどの就職困難者に該当し、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 雇用保険の加入要件を満たす雇用であること
  • 就職先が雇用保険の適用事業所であり、雇用保険に加入している必要があります。


  • 失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満であること
  • 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある場合は「再就職手当」「就業手当」を申請することができるため、「常用就職支度手当」は支給対象外となります。


    例:

    所定給付日数が90日の場合で、支給残日数(失業手当がもらえる残りの日数)を30日以上残して就職した→「再就職手当」

    所定給付日数が90日の場合で、支給残日数(失業手当がもらえる残りの日数)が30日未満~1日以上残して就職した→「常用就職支度手当」


  • 1年以上引き続き雇用されることが確実であると認められる職業に就いたこと
  • 常用就職支度手当は、就職困難者が安定した職業に就いた場合に支給される手当なので、就職した際の雇用契約に期間が設定されている場合は「1年以上」が条件となります。


  • ハローワークまたは許可・届出のある職業紹介事業者の紹介で職業に就いたこと
  • つまり、求人サイトや友人の紹介等で就職した場合は、支給対象外となります。


  • 「待機」や「給付制限」期間が過ぎた後に職業に就いたこと
  • 常用就職支度手当は、待機期間または給付制限期間中に就職した場合は支給対象外となります。

    ただし、給付制限期間中に就職した場合は「再就職手当」を受給できる場合がありますので、よろしければこちらの記事を参考にしてみてください。

    ハローワーク再就職手当の申請方法と支給申請書の書き方を記入例で確認

    自己都合退職した人の給付制限が「3ヶ月」→「2ヶ月」に!

    令和2年(2020年)10月1日から自己都合で退職した人の給付制限が、これまでの「3ヶ月」から「2ヶ月」に短縮されました。(つまり、2020年10月1日以降に自己都合で退職された方は、1ヶ月早く失業手当が受給できるようになります。)

    失業手当の初回っていつもらえるの?退職してから振込までの日数を確認


  • 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと

  • 就職日の前3年以内に再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていないこと

以上、すべての要件を満たす場合は、常用就職支度手当を申請することができます。

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常用就職支度手当の申請方法


申請するところ

申請場所は申請者本人の住所地を管轄するハローワークです。

ただし、就職を機に引っ越しをした方は、引っ越し前(常用就職支度手当の案内を受けた)ハローワークへ申請するようにしてください。(日雇受給者の場合は、就職先の会社住所を管轄するハローワークで申請することができます。)


申請に必要なもの

※その他、直近の出勤簿やタイムカードのコピーなどを提出する場合があります。


申請期限

常用就職支度手当の申請期限は、就職した日の翌日から1ヶ月以内です。(常用就職支度手当申請書の事業主記入欄にある「13.雇入年月日」の翌日から1ヶ月以内となっていますので、提出期限には注意してください。)


申請から受給までの流れ

常用就職支度手当の申請から受給までの流れを確認しおきましょう。

①再就職(入社日)が決まる


②ハローワークに報告する


③再就職先に「採用証明書」を記入してもらう
採用証明書は「受給資格者のしおり」の中に入っています。


④入社日の前日にハローワークで「最後の失業認定」を受ける。同時に「常用就職支度手当申請書」をもらう
このとき必要なものは、「採用証明書・失業認定申告書・雇用保険受給資格者証・印鑑」です。(この日までで失業手当の支給が終わります。)


⑤入社
就職先で「常用就職支度手当申請書」を記入してもらう


⑥ハローワークで常用就職支度手当の申請をする


⑦ハローワークから就職先へ在籍確認が入る


⑧ハローワークから常用就職支度手当支給決定通知書が届く


⑨数日(最短1日~2日)後、指定した銀行口座へ「常用就職支度手当」が一括で入金される

という流れになります。

「常用就職支度手当」の支給額を調べている方がいたら、こちらの記事を参考にしてみてください。

<常用就職支度手当>はいくらもらえるの?支給額の計算方法を解説

最後に

今回は、常用就職支度手当の支給対象者などをハローワークで確認してみましたが、就職困難者の判定は「基本的に最初の面談のときに自己申告してもらい判定する」ということなので、自分が該当するかわからないという場合は、面談の際に確認するようにしてくださいね。(受給期間中の申告も受付けてくれるということでした。)

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