毎年1月~3月頃に猛威を振るうインフルエンザですが、皆さんはインフルエンザで仕事を休んだ場合でも(条件をクリアすれば)傷病手当金を受給することができるのをご存知ですか?

私の勤務先でもインフルエンザで会社を休み、有給がなく傷病手当金を申請する人がいます。

そこで今回は、インフルエンザで仕事を休んだときの傷病手当金について、受給条件支給日数の確認方法申請のタイミングなど、実際に職場で行った手続きの内容をもとにまとめてみましたので、よろしければ参考にしてみてください。

(※こちらの記事は、協会けんぽのケースについてまとめています。)

傷病手当金の受給条件

傷病手当金 インフルエンザ 条件

傷病手当金とは、業務外の病気やケガにより、会社を欠勤し給与が支払われず、医師より「労務不能」という証明を受けたときには、欠勤している期間中の所得補償として健康保険より支給される手当です。


それでは、支給条件を詳しく見ていきましょう。


傷病手当金は以下の4つすべての条件を満たしたときに、支給を受けることができます。

  • 業務外の理由による病気やケガの療養のために休んでいる

  • 働くことができない状態
  • 入院などではなく自宅療養でも該当しますが、その期間については医師から「労務不能」であることの証明が必要です。

    インフルエンザの場合は、出勤停止=労務不能となりますので、この条件はクリアとなります。

  • 連続して4日以上労務不能である
  • 傷病手当金は休んだ日から4日目以降の労務不能な日に対して支給されるため、最初の3日間は待機期間と呼ばれ、傷病手当金は支給されません。

    この待機期間3日間は、有給休暇、公休日を含めてカウントすることができますが、連続して3日間休む必要があります。

    傷病手当金 待機期間 カウント方法

  • 休んでいる期間について給与が支給されない
  • 傷病手当金は休んでいる期間に給与が支払われない場合に支給されますが、給与の支払いがあっても傷病手当金の支給額より少ない場合は、その差額分が支給されることになっています。

    有給を使う場合は(給与が支払われるため)支給対象外となります。



インフルエンザで休んだ場合でも、上記4つすべての条件をクリアしている場合は、傷病手当金の支給対象となります。



支給条件を確認したところで、このあとは具体例を見ながら「待機期間」と「支給日数」を確認していきましょう!

スポンサーリンク

待機期間と支給日数の確認方法

傷病手当金 インフルエンザ

ここからは、インフルエンザで仕事を休んだAさんのケースで支給日数の確認方法を解説していきます。


<Aさんのケース>

16日(木):発熱、会社を早退して病院へ

17日(金):欠勤 熱が下がらず再度病院へ行き、インフルエンザの検査で陽性反応。

18日(土):公休

19日(日):公休

20日(月):欠勤

21日(火):欠勤

22日(水):欠勤

23日(木):出勤(復帰)



待機期間は?

Aさんの場合、待機期間は16日(木)・17日(金)・18(土)の3日で完成します。

Point!
待機期間は、公休・有給を含むことができます。また、今回のケースのように勤務中に労務不能になり会社を早退した場合、この日を待機期間1日目(初日のみ)としてカウントすることができます。(医師から労務不能であると診断される必要があります。)

支給日数は?

支給開始日は待機期間(3日)完成後の4日目以降となりますので、19日(日)~ですね。


よって、19日(日)・20日(月)・21日(火)・22日(水)の4日間です。(後日、この4日間に対して医師からの労務不能であったことを証明する書類が必要です。)

Point!

このとき19日(日)は「公休」となっていますが、傷病手当金は「公休」も支給対象となりますので、支給日数にカウントすることができます。(※ただし、有給は支給対象外です。)


こんなときはどうする?

インフルエンザと診断され、医師からは5日間休むようにと言われましたが、会社の規定が7日間出勤停止だった場合、残りの2日間はどうなるのか?気になる方もいると思います。


この場合は、会社の規定より「医師が労務不能である」と診断した日数が適用されるため、5日間(待機期間は除く)に対しては、傷病手当金の支給対象となりますが、残りの2日間は支給対象外となります。


ただ、実際に休んでいたことを伝えれば、お医者さんもその期間で証明書を作成してくれると思いますので相談してみてくださいね。

こちらの記事では、今回のAさんのケースで傷病手当金の支給額を計算していますので、よろしければ参考にしてみてください。

傷病手当金はいくらもらえるの?支給額の調べ方と計算方法を解説!

スポンサーリンク

傷病手当金を申請するタイミングは?

続いて、今回のAさんのケースで傷病手当金を申請するタイミングを確認していきましょう。(協会けんぽの場合)


手順その①

熱が下がり、職場に復帰してから会社の担当者に「傷病手当金を申請したい」と伝えてください。(もちろん、事前に伝えてもらってもOKです。)


手順その②

会社から「健康保険傷病手当金支給申請書」被保険者記入用療養担当者記入用を受け取ってください。(協会けんぽHPからダウンロードも可能です。)


手順その③

健康保険傷病手当金支給申請書(被保険者記入用)」を本人(申請者)が記入します。(病名などの確認事項欄や傷病手当金の振込先など)


手順その④

病院に「健康保険傷病手当金支給申請書(療養担当者記入用)」を提出し記入してもらいます。

これが医師の労務不能であったことを証明する書類となります。(手数料が300円程度かかります。)


手順その⑤

「健康保険傷病手当金支給申請書」被保険者記入用療養担当者記入用を会社へ提出します。

あとは、会社が事業主記入用とセットで協会けんぽへ提出すれば申請手続きは完了です。

※会社が記入する「事業主記入用」の書類には、給与の締日~締日の出勤状況を記入する箇所があるため、1ヶ月(締日~締日)ごとの申請となります。


手順その⑥

申請後、2~3週間程度で傷病手当金の「支給決定通知書」が自宅へ送られてきます。(不支給の場合は、「不支給決定通知書」が送られてくることになっています。)

傷病手当金は、その数日後に指定の銀行口座へ振り込まれることになっています。


このように傷病手当金の申請は事後申請となりますので、申請が遅れると支給もその分遅くなります。


早めに支給を希望する場合は、事前に会社の担当者に報告をしておいてくださいね。また、医師の書類も病院によっては即日発行してもらえない場合がありますので、こちらも事前に確認しておきましょう。

「傷病手当金支給申請書」の書き方については、こちらで解説をしていますので、よろしければ参考にしてみてください。
傷病手当金支給申請書はどう書けばいい?書き方を記入例付きで解説!

最後に

傷病手当金は、有給がない人が対象と思っている方が多いと思いますが、実は有給が残っていても(有給を使わず欠勤すれば)申請は可能です。

有給を残しておきたいという人は検討してもいいかもしれませんが、会社によっては昇格等に影響する場合があると思いますので、注意してください。

スポンサーリンク